見出し画像

飲食店においしさって必要?

こんにちは。


せっかく飲食店で働いているので、飲食に関する知識や考え方をお話ししていこうかなと思います。

みなさんは、飲食サービス業ってどんな職業か知っていますか??


ざっくり言うとお客様のニーズを読み取って、お客様が欲しているものをサービスや商品を介して提供する職業です。

みなさんこういう認識を持っているんじゃないでしょうか。


しかし、この認識では不十分かなと自分は思っています。

お客様が欲しいものだけを提供するということは、ある意味正しいのですが、現代においてはこの考えだけで売上が取れるかというとそうはいきません。

なぜかというと

世間や業界、価値観の変化と共に飲食を利用する消費者の動機も変化しています。昔の飲食店は良いサービスや美味しいものを提供していれば売上が取れましたが、今の時代それだけでは売上は上がりません。



料理人の技術はもはや特別なものではない


技術の進歩とレシピやノウハウの共有により、以前は一部の料理人だけしか持っていなかったスキルが一般化しました。昔は飲食店で下積みから何年も働かないと知りえなかった技術を、YouTubeや本で気軽に見ることができます。

そのため、素人でもおいしい料理が作れるようになり、お店ごとの料理の味の差は極めて狭くなっています。


例えば低温調理機やスチームコンベクションを使えば素人でもプロレベルの火入れができますし、中途半端に料理をかじって火入れを行っている人よりもおいしく調理ができてしまいます。

このように、トップクラスの料理人の技術を除き、調理技術という部分で差別化を行うことは非常に難しくなっています。



味の時代から空間と体験の時代へ


味での差別化が難しくなり、消費者の興味は飲食の価値を空間に見出しました。

スターバックスのサードプレイスという考え方がそうですね。これは家でも職場でもない第三の場所としてスタバを利用して欲しいという考え方です。

「スタバのコーヒーが飲みたいからスタバに行く」というのももちろんあると思いますが、「スタバのあの空間でスタバのコーヒーを飲むという行為自体」に消費者は価値を感じるようになってきました。


言うなれば、美味しいものを食べることを目的としているのではなく、どこで何をするかという体験に価値を感じているということです。


インスタなどで人気があるお店に人が集まるのも、体験したいからという思いが強いです。SNSでは特に、「お店に行って商品を購入して写真を撮ってSNSにアップする」ということがお店に行く目的になっています。お店によってはそこまで味にこだわっておらず、見た目だけが奇抜なものもあるので、なぜこの程度のものが流行っているんだろう…って思ってしまうこともあります。

人気のお店を使っている私はイケているっていう承認欲求が背景にはあり、言い方によっては自分を認めてもらうために飲食店を利用するっていうことにもなります。



飲食店に「おいしい」は必要ないのか?


味以外の部分に消費者の目線がフォーカスされていたり、飲食店を利用する欲求の根幹が、食欲ではなく承認欲求であったり…じゃあ味ってもう必要ないのかな?って考えてしまいそうです。


しかし、やはり三大欲求のひとつである食欲の存在は大きいと思いますし、美味しい料理を出すことは必要不可欠であると思います。


どんなに人気店でも味があまり良くないとお客様は減っていきますし、お店は存続できなくなります。

良いお店よりもおいしくて良いお店の方が行きたくなるし、おいしくて良いお店よりも、すごくおいしくて良いお店の方がより行ってみたいって思います。

やはりおいしいは価値なんです。



「おいしい」には二種類ある


僕はおいしいには二種類あると思っています。

舌で感じるおいしいと心で感じるおいしいです。


舌で感じるおいしいは一般常識的に使われる味です。

心で感じるおいしいは食べると心が安心する味。


料理の味は人々の原体験に基づくものが多く、幼い頃に食べた、お母さんの作った料理の味なんかは、味は一流の料理人レベルではありませんが、食べると心が安らぐと思うんです。

そういう味の感じ方の味を心で感じるおいしいだと思います。



そんな味を作れるように、常に思いやりを持ってお客様を見て、真摯に業務を行っていかなければと思う今日この頃です。


それでは、また。


いいなと思ったら応援しよう!