「確かに頼んだものと似ているけれど、そりゃ違うだろ!」的なエピソード!!|『キルミーベイベー』に学ぶテクニック
アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「キルミーベイベー」に【誰かに何かを頼んだところ、「確かに頼んだものと似ているけれど、そりゃ違うだろ!」的なものを持ってきやがった】タイプのエピソードを学びます。
※「キルミーベイベー」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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テーマ発表!!
アニメ「キルミーベイベー」には、魅力的なシーン・エピソードがたくさんあります。
本記事では、その中でも特に目を引くものをご紹介しましょう。
確かに頼んだものと似ているけれど、そりゃ違うだろ!
今回ご紹介するのは、第4話終盤(物語開始から16分58秒経った辺り)のこのシーンです。
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学校の教室。
昼休み。
やすなが笑顔で弁当箱を取り出した「今日のお弁当は、頭がよくなる特別メニューなんだ」。
やすな曰く「『いつもの海苔弁を魚にして』ってお母さんに言っといたの」「魚を食べると頭よくなるっていうでしょ」。
ところが、嬉々として弁当箱のフタを開けると……白米の上に、魚形に切り抜かれた海苔が乗っていた。
やすなは愕然とする「あっ……魚形の海苔弁……」。
間もなく、「悔しいから、購買で何か魚のもの買ってくる!」と言ってやすなは駆け出した。
しばらくして戻ってくる。
彼女が手にしていたのは……タイ焼きだ。
やすなが言った「タイ焼きしかなかった……」。
抽象化してみよう!
やすなは、母に「海苔弁を魚にしてほしい」と頼んだ。すると、海苔が魚形に切り抜かれていた。いや、確かに「魚にしてほしい」と頼んだけどさぁ、そりゃ違うだろ……!
抽象化するなら【誰かに何かを頼んだところ、「確かに頼んだものと似ているけれど、そりゃ違うだろ!」的なものを持ってきやがった】タイプのエピソードと言えるでしょう。
また、この手のエピソードで重要なのは、
・1:アイデアのユニークさ:(「魚形の海苔」!そうきたか!)
・2:ツッコみ誘発性(鑑賞者が「魚形の海苔かよ!結局海苔弁じゃねぇか!」なんて具合にツッコみたくなるかどうか)
・3:頼んだ側の被害者感(鑑賞者が「フタを開けるまであんなにワクワクしていたのに!やすながかわいそう!……でも笑える」と感じてくれたら成功)
・4:わざとらしくない(あからさまにウケ狙いでは、痛々しくなりますからね)
……といった辺りでしょう。
応用してみよう!
では、ここからは応用編です。
【誰かに何かを頼んだところ、「確かに頼んだものと似ているけれど、そりゃ違うだろ!」的なものを持ってきやがった】タイプのエピソードを実際に作ってみましょう。
<1>
例えば、主人公は不良。
彼は子分に命じた「おう、移動するぞ。車をパクってこいや!」。
しばらくして、子分が戻ってきた。
彼がパクってきたのは……さて、何にしましょうか?何をパクってくれば面白くなるでしょう?
<2>
三輪車なんてどうでしょう?
そう、子分は三輪車をパクってきた!
「不良が三輪車にまたがる」という構図はなかなかユニークなものですよね。悪くない。
しかし、どうでしょう。狙いすぎな感じがします。ちょっと寒い。
<3>
では、耕耘機は?
なるほど、これまた絵面は悪くない。「不良が耕耘機」、面白い。
とはいえ、やはり狙いすぎな感じがしないでもありません。
私案:バキュームカー
<1>
アレコレ知恵を絞ってみまして、手前味噌で恐縮ですが我ながら悪くないと思ったのが……「バキュームカー」です。
そう、子分はバキュームカーをパクってきた!
主人公は唖然とするに違いない「お前……何パクってきてんの!?」。
しかし、子分は褒められたと勘違い。「ヘヘッ。こいつぁ馬力がありますよ。かっ飛ばしましょう!」と調子づく。
主人公は言葉を失います。
彼は子分を叱れない。
こいつ、途方もないアホだが、しかし悪いヤツじゃねぇんだよなぁ。見ろよ、こいつの目。澄んでるぜ。まるで忠犬だ。
かくして、主人公は鷹揚に頷いてみせた「便所が糞尿でいっぱい、使い物にならねぇってんで、いま頃みんな困ってるだろうぜ。世間様にご迷惑をおかけしてこその不良。お前もやるじゃねぇか!」。
<2>
……なんてのはいかがでしょうか?
前掲の4条件、すなわち、
・1:アイデアのユニークさ:(「魚形の海苔」!そうきたか!)
・2:ツッコみ誘発性(鑑賞者が「魚形の海苔かよ!結局海苔弁じゃねぇか!」なんて具合にツッコみたくなるかどうか)
・3:頼んだ側の被害者感(鑑賞者が「フタを開けるまであんなにワクワクしていたのに!やすながかわいそう!……でも笑える」と感じてくれたら成功)
・4:わざとらしくない(あからさまにウケ狙いでは、痛々しくなりますからね)
……は一通り満たしているのではないでしょうか。
みなさんもアレコレ考えてみてくださいねー!!
※補足:バキュームカーについては、こちらの記事でも考察しました。合わせてご参照ください → ダークヒーローはバキュームカーでやって来る|『ああ爆弾』(3)
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(担当:三葉)