冬アニメ「魔都精兵のスレイブ」の研究 ~八千穂さんは跡部景吾でありネテロ会長であり、そしてまたトゥルーデでもある……!
<座談会の参加者紹介>
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。好きな魔法少女アニメは「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」。
👉村上空気 好きな魔法少女アニメは「撲殺天使ドクロちゃん」。 →X(旧Twitter)でフォローしてね!!
😈ガチな戦闘シーンの格好よさ
※前記事に引き続き、冬アニメ「魔都精兵のスレイブ」について議論します→ 前記事はこちら
村上:本作の特徴の1つとして、戦闘シーンの格好よさがあげられると思う。
清水:そうね。っていうか、当初はゆるめの作品だと思っていたから、バトルがガチで驚いたな。八千穂さんなんて、主人公の優希くんに相当ひどく殴られていたよね(笑)?
村上:いやぁ、あのシーンはよかったね(笑)。
清水:(笑)。
村上:俺が本作で1番好きなのは八千穂さんなんだけれど、彼女はボコボコにされてこそ光るキャラですよ(笑)。
清水:なるほど(笑)。
村上:そういえば、「魔法少女にあこがれて」の各キャラにしろ、「ダンジョン飯」のマルシルにしろ、今期はひどい目に遭った時にこそ光る女性キャラが多いな(笑)。
😈八千穂さんの魅力を大いに語る!!
村上:えーと……八千穂さんの魅力について語っていい?
清水:どうぞ(笑)。
村上:では遠慮なく(笑)。一言で言うならば、泥臭さね。時間操作能力なんてラスボス級の力を持ちつつ、しかし泥臭い。これこそが彼女の魅力ですよ。
清水:ほぉ。
村上:八千穂さんの初陣は対日万凛戦なんだけれど、もうね、この戦いからしてメチャクチャに泥臭いんだ。攻撃を受けるたびに時を戻す。何度やられても時を戻す。何度も何度も時を戻し、時を止め、自分が勝利するまで能力を使い続ける――実際には使用回数などの制約があるから無限に使うことはできないわけだけれど、しかしまぁとにかくこの泥臭さ。勝利への執念。いわば心を摘む戦いってやつですね。「テニスの王子様」で言えば跡部景吾に近いものを感じる(笑)。
清水:なるほど(笑)。
村上:そしてまた素晴らしかったのが、第6話の人型醜鬼との戦いです。
清水:ふむ。
村上:そもそも八千穂さんは能力を発動するにあたって、両腕を使ってポーズを取る必要がある。ところが戦闘中に腕を負傷。かくして人型醜鬼は言った「これであの怪しげなポーズはできまい!」。――まったく憎たらしいですね!
清水:(笑)。
村上:しかし我らが八千穂さんは言った「甘いわ!雅な私様ならいかなる形でもポーズとなる!」。そして彼女は腕の代わりに足を使っていつも以上に奇妙なポーズを取り、「東の辰刻(ゴールデンアワー)!5秒戻れ!」と叫んだ。
清水:うん。
村上:こんなんもう、「HUNTER×HUNTER」のネテロ会長じゃん!「祈りとは心の所作」ってやつですよ(笑)!
清水:あー(笑)。
村上:さらにまた、第8話には黙々とトレーニングを積む八千穂さんの姿が描かれる。他のメンバーが呑気に居眠りしたり、会議をしたりする中……彼女は1人だけバーベルを上げている!しかも結構筋肉がついている!こんなん、「ストライクウィッチーズ」のトゥルーデじゃん(笑)!
清水:妹が大好きってところもちょっと似ているかもね(笑)。
村上:そうそう!つまりは、筋トレシスコン女の系譜に連なるキャラってわけだ。
清水:なるほど(笑)。
村上:とまぁ要するにね、八千穂さんとは跡部でありネテロ会長であり、そしてまたトゥルーデでもある……!どうよ、清水さんも好きになった(笑)?
😈矜持を持つキャラは格好いい!
村上:とはいえね、本作には八千穂さん以外にも格好いいキャラがいる。例えば朱々だ。
清水:ふむ。
村上:彼女は「体の大きさを自由に変えられる」という能力の持ち主だ。
清水:そうね。
村上:かくして対サハラ戦では巨大化してぶちのめそうとするんだけれど、それが裏目に出た。巨大化したせいであっさり攻撃を避けられたり、逆に的が大きくなったということでいいように攻撃されたりしてしまう。
清水:ふむふむ。
村上:で、サハラは言った「もうちょっと小ぶりな方が動きやすいんじゃないかなぁ?状況によって能力の出力を見極めるの、大事!」。しかし朱々は――「小ぶりの方がいい?そんな抑制はつまんないよ!私は何事も、楽しく派手にバーンといくんだい!玉体革命(パラダイムシフト)!!」「もっと体を大きく……限界を超えて!!」というわけでさらに巨大化。そして、前方に倒れ込んでサハラを押し潰す。サハラは、朱々が大きすぎて避けられず潰される――という展開をたどるわけだけれど。
清水:うん。
村上:「巨大化したせいでピンチになる → では小さくなろう」ではなくて、「より一層巨大化してやらぁ!」というこれね!
清水:(笑)。
村上:このバカさ加減、ど根性っぷりが最高だと思うんだ。
清水:なるほど。
村上:八千穂さんにしろ朱々にしろ、自らの能力に矜持を持つキャラって格好いいよなぁ!
😈人類はすでに滅びかけている?
清水:そういえば話は変わるけれど――いまのところ、魔都の寮やその周辺しか描かれていないよね。
村上:そうね。
清水:それ以外の場所はどうなっているんだろうね?
村上:あー、確かに。
清水:魔都には何があるのか、どれくらいの広さがあるのか。それから、魔都ではなくて、人間が暮らすこちら側の世界がどうなっているのか。
村上:人間界といえば、第1話序盤に優希くんが通っていた高校が映ったのと、あとは京香さんが墓参りなどで訪れた山形県、寧ちゃんの通学シーンに登場した高知県、その辺りがちょっと描かれただけか。
清水:そうそう。
村上:んー……じつは人類はすでに滅びかけていたりしてね(笑)。
清水:えー(笑)。
村上:ほら、本作の原作者はタカヒロさん。「結城友奈は勇者である」の原案者だ。そして「結城友奈は勇者である」では四国以外はすべて滅んでいた。というわけで本作も……。
清水:なるほど。醜鬼のせいで人類はすでに滅亡の危機にある、と(笑)。
村上:そう(笑)。
清水:もしそうだとすると、魔防隊の人数があんなに少ないのも納得できるね。本当なら少なくとも千人単位の部隊を送り込むべきだと思うけれど、それができない。なぜならすでに人類は絶滅しかけているから。ゆえに少数精鋭で対処するしかない、と(笑)。