冬アニメ「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」の研究 ~他人が手のひらから出した水、あなたは飲める?
<座談会の参加者紹介>
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」で好きなのはアイシャ・ベルカ。
👉村上空気 「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」で好きなのは、もちろんリリ(リリルカ・アーデ)。 →X(旧Twitter)でフォローしてね!!
🔮他人が手のひらから出した水、あなたは飲める?
※#1、#2、#3に引き続き、冬アニメ「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」について議論します→ #1、#2、#3はこちら
村上:第3話の回想シーンなんだけれどさ。
清水:うん。
村上:アイビーのお父さんが生活魔法の使い手で、「手から水を出してコップに注ぐ → アイビーがそれを飲んで喉を潤す」っていう場面があったよね。
清水:うんうん。
村上:ファンタジー作品では往々にして見かける描写だけれど――改めて考えてみると、他人の手のひらから出た水なんて飲みたくないよね(笑)。
清水:なるほど(笑)。
村上:俺はちょっと潔癖症っぽいところがあるからかもしれないけれど、「うえー……アイビー、お前それ飲むのかよ」って思っちゃったよ。
清水:あー。
村上:なんかそのせいで物語に集中できなくなった(笑)。
清水:(笑)。
村上:清水さんはどう?
清水:うーん、まぁあの世界では普通のことなんだろうからなぁ。
村上:それもそうか。じゃあ、異世界転生者・転移者にとってはどうかね?きつくない(笑)?
清水:それは抵抗があるかもしれないな(笑)。
村上:俺だったら「あっ。川の水を飲むんでいいです……」とか言っちゃいそう(笑)。
清水:問題は、あの水がどこから出ているかという点かもしれないね。体内から出てきたものなのか、空気中から取り出したものなのか。
村上:体内からだったらなおさら飲みたくない(笑)。
🔮アイビーの「前世」とは何なのか?
清水:そういえばさ、「アイビーは前世の声が聞こえる」という設定があるけれどさ。
村上:うん。
清水:あれ、何なんだろうね。
村上:確かになぁ。これまでのところ特に何かに役立つこともなかったし……よくわからない要素だね。
清水:うん。原作を読んでいる人に訊いたところ、やっぱりよくわからないって言ってた(笑)。
村上:あっ、この先も本筋には絡んでこないのね(笑)。
清水:そうみたい(笑)。
村上:ふーむ……。でもまぁ、「前世の声が聞こえる」という設定は少なくとも第1話に限って言えば有益だったと思うな。
清水:ほぉ。
村上:ほら、「アイビーが特定の村に滞在する → その村の人々と交流する」という展開になる第2話以降と比べて、第1話に登場するのはほぼアイビーだけだ。ソラは傍にいたければ、あれはスライムで言葉も話せないからね。
清水:うんうん。
村上:そんな状況にあって、前世の人格は「物語の賑やかし役」というか「ちょっとしたコメディリリーフ」というか、そんな役割を果たしていたと思うな。
清水:あー、なるほど。
村上:例えば、「『スライムがかわいくない』って?なんでこの前世、魔物にかわいさを求めているの?」「『かわいくない上に怖い』?だって魔物だもの。何だかなぁ……。この前世、違うスライムのこと言っているのかな?」なんてアイビーが困惑するシーンとかね。
清水:確かになぁ。
村上:しかしあれだよね、「前世の記憶がある」というのは異世界ものではお約束のひとつと言えるけれど。
清水:うん。
村上:「前世の記憶が別人格として存在している」というのはちょっと珍しいんじゃないかな。
清水:そうね。
村上:うん。
清水:ただし、「『ヒロイン + 読者・鑑賞者と同レベルの知識を持つ人物』のバディ」と考えれば、例えば先期やっていた「豚のレバーは加熱しろ」も同様の構図と言えるかもしれない。
村上:あー、そうか。あちらは「ジェスと豚」、こちらは「アイビーと前世の記憶」か。
清水:そうそう。まぁ「前世の記憶」は「豚」ほどには存在感がないけれど。
🔮「小さなカバンをたくさんぶら下げている」というかわいらしさ
村上:話は変わるけれど、アイビーは小さなマジックバッグを4つ持っていて、それを2つずつ両肩からかけているじゃん。
清水:うん。
村上:あれ……かわいいよね(笑)。
清水:わかる(笑)。
村上:何がいいのか上手く説明できないんだけれど――大きなカバンを1つぶら下げるのとは異なるかわいさを感じるな。
🔮きみは毒されていないか?
村上:ところでさ、アイビーは無力な子供じゃない。
清水:ふむ。
村上:戦闘力はほとんどゼロだし、今後もパワーアップするとは思えない。
清水:そうね。何かあった時には、共に旅をしているあの魔物――シエルが戦うんじゃないかな。
村上:あるいは、その土地々々で出会った親切な大人が守ってくれるか。
清水:うん。
村上:でもね、俺、第1-2話を見た辺りでは「アイビーの弱さはフラグに違いない。その内アイビーは覚醒するのだろう」と思ったのよ。
清水:ん?何だって(笑)?
村上:いやぁ、「主人公が弱い = いつか覚醒するに違いない」「主人公が無力 = 覚醒へのフラグに違いない」と認識してしまうんだから、われながら昨今の異世界ものに毒されているなぁと反省したよ(笑)。
清水:なるほどね。異世界に行くと皆強くなっちゃうもんね(笑)。
村上:そうなのよ!気をつけないといけないなと思いました(笑)。