【総まとめ】「タイトルに『国内の地名』が付くラノベ」のススメ|「国内の地名」が付くタイトルの研究(9/最終回)
3秒でわかる本記事の要点
・「タイトルに『長崎・熊本・沖縄』が付くラノベ」(6冊)をご紹介する。
・これまでの全記事(9記事)を踏まえた総まとめを行う。
概要
本記事は、1975~2018年の44年間に刊行されたラノベの内、「国内の地名」が付くタイトルをピックアップ★徹底分析する特集「『国内の地名』が付くタイトルの研究」の……第9回(最終回)である!
※注:「『国内の地名』が付くタイトル」とは、例えば以下のような作品を指します。
<特集全体の目次>
第1回:タイトルに「都道府県」が付く作品と、「妹」が付く作品、どちらが多いと思う?
第3回:「北海道」ラノベは(大体)Eat or Fight !!
第4回:「全47作★全ての都道府県を網羅したご当地ラノベシリーズ」っていかがでしょう?
第5回:ニンジャ v.s 絶世のブス……あなたはどちらがお好み?
第7回:京都を舞台にしたラノベを執筆するあなたのためのパーフェクガイド★
第8回:「奈良」ラノベを志すあなたには、「京都」ラノベが参考になるかも
第9回(本記事):【総まとめ】「タイトルに『国内の地名』が付くラノベ」のススメ
第1回からご覧になることをオススメします★
「長崎」タイトルをチェック★
三葉「ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました」
清水「ありがとうございました」
三葉「特集『<国内の地名>が付くタイトルの研究』の最終回ということで……」
清水「ええ」
三葉「まずは、残りの3県、すなわち『タイトルに<長崎・熊本・沖縄>が付くラノベ』をチェックして、その後、これまでのすべてを振り返る『総まとめ』に進みたいと思います」
清水「承知しました」
三葉「では、まずは『長崎』が付くタイトルの一覧を見てみましょう……こちら!」
清水「ふむふむ」
三葉「さて、『長崎異人館幽霊事件』ですが……」
三葉「これはアレですね。『幽霊事件』シリーズ!」
清水「おっしゃる通りです。本特集を以前からご覧いただいている方にはお馴染みでしょう。……『わが国のラノベ界を代表する<タイトルに地名が付くシリーズ>』の1つ、『幽霊事件』シリーズです」
※注:『幽霊事件』シリーズについては、本記事後半で詳述します。
三葉「続いて、『長崎・眼鏡橋の骨董店 店主は古き物たちの声を聞く』!」
三葉「ざっくりストーリーをご説明すると……本作の舞台は、長崎の骨董店。骨董品の声を聞くことができる店主らが、依頼主の悩みを解決する物語です」
清水「なるほど」
三葉「そして……『長崎新地中華街の薬屋カフェ』!」
三葉「こちらもあらすじを見てみると……主人公はドラッグストアで働く女性。日々の仕事に疲れ果てた彼女が、中華街のカフェで働く青年と出会い、中華菓子や青年の笑顔に癒されていく物語です」
清水「『中華街』ですか?」
三葉「ええ。長崎には日本3大中華街の1つ、『長崎新地中華街』がありますからね」
清水「あー、なるほど」
三葉「ちなみに……残りの2つは『横浜中華街』と、神戸の『南京町』だそうです」
「熊本・沖縄」タイトルを見てみよう★
三葉「続いて、『熊本・沖縄』が付くタイトルにまいりましょう……どうぞ!」
清水「ほぉ!」
三葉「お気づきでしょうか。……『ガンパレード・マーチ 5121小隊熊本城決戦』は『ガンパレード・マーチ』シリーズ!そして『沖縄幽霊事件(上下)』は『幽霊事件』シリーズ!……いずれも『わが国のラノベ界を代表する<タイトルに地名が付くシリーズ>』です」
※注:『幽霊事件』シリーズ同様、『ガンパレード・マーチ』シリーズについても本記事後半で詳述します。
総まとめ!!
三葉「以上、北は北海道から南は沖縄まで、『タイトルに<都道府県>が付くラノベ』を見てきました」
清水「はい」
三葉「最後に、これまでの要点をおさらいしておきましょう」
清水「承知しました」
【Point 1】「タイトルに『都道府県』が付くラノベ」は(意外にも)ドマイナーではない!
三葉「第1回では、そもそも『タイトルに<都道府県>が付くラノベ』が何冊あるのかご紹介しました」
清水「ふむ」
三葉「結果は……326冊!全ラノベ(約4万冊)の0.82%に当たります」
清水「『タイトルに<妹>が付くラノベ』や、『<引きこもり>が付くラノベ』よりも多いんでしたよね」
三葉「そうそう。『タイトルに<都道府県>が付くラノベなんて、ドマイナーだろうなぁ』と思っていたんですが……」
清水「ええ」
三葉「無論、メジャーではありません。但し……『妹』タイトルよりも多い!『思ったよりもあるじゃん!』と言ってよいでしょう」
【Point 2】「タイトルに『都道府県』が付くラノベ」の刊行数は、2010年頃から増加傾向にある!
三葉「これも第1回で詳述していますが……『タイトルに<都道府県>が付くラノベ』の刊行数は、昨今増加傾向にあります」
清水「ふむ」
三葉「このまま伸長していくのか、それとも早晩頭打ちになるのか……なかなか興味深いところです」
【Point 3】「ラノベのタイトルに登場する都道府県」はわずか17……残り30県は一切登場しない!
三葉「第2回では、『都道府県別の刊行数』をご紹介しました」
※都道府県別の刊行数:「『都道府県』が付くタイトルの内、『北海道』が付くタイトルは○○冊で、『青森』が付くタイトルは○○冊……」という都道府県ごとの刊行数のこと。
清水「ふむふむ。結果はメチャクチャ偏っているんでしたよね」
三葉「TOP5を見ると、
・1位:東京(222冊でぶっちぎり!!)
・2位:京都(54冊)
・3位:埼玉(12冊)
・4位:大阪(9冊)
・5位:北海道(8冊)
……という具合です」
清水「まさに東京一極集中ですね」
三葉「また、そもそも『ラノベのタイトルに登場する都道府県』は17しかないんですよ。残り30県、例えば『タイトルに<秋田>が付くラノベ』は1冊もない!」
※注:詳しいスコアやグラフは、第2回に掲載しています。よろしければご参照ください。
【Point 4】「各都道府県ラノベ」のあらすじや傾向をチェック!
三葉「第3回以降、『タイトルに都道府県が付くラノベ』を詳しく見てきました。あらすじをご紹介したり、『○○県のラノベは□□タイプが多い』なんて傾向を見出したり」
清水「ふむ」
三葉「ここで1つずつ再確認するととんでもないボリュームになってしまうので……詳細は以下の各記事をご覧ください★」
・第4回:タイトルに「青森、岩手、茨城、群馬、千葉」が付くラノベの研究
・第9回(本記事):タイトルに「長崎、熊本、沖縄」が付くラノベの研究
【Point 5】わが国のラノベ界を代表する『タイトルに地名が付くシリーズ』!
三葉「ところで……ラノベは、一般的な小説と比べて『シリーズもの』が多い傾向にあります」
清水「ふむ」
三葉「また、ユニークなサブタイトルが目を惹く作品も少なくありません」
清水「そうですね」
三葉「でね」
清水「ええ」
三葉「数は多くないのですが……『1巻のサブタイトルには<北海道>が登場する。2巻は<青森>、3巻は<秋田>……』というように、『複数の都道府県が登場するシリーズもの』があります」
清水「ふむふむ」
三葉「その中でも、特にたくさんの都道府県が登場するものを、本特集では『わが国のラノベ界を代表する<タイトルに地名が付くシリーズ>』と呼んできました。具体的には……以下3シリーズ!」
①「幽霊事件」シリーズ
※「幽霊事件」シリーズ:全44冊中、上記8冊のタイトルに都道府県名が付いている。なお、作品概要は第6回参照。また、本作の続編として「京都探偵局」シリーズがある。こちらの概要は第7回参照。
②「ガンパレード・マーチ」シリーズ
※「ガンパレード・マーチ」シリーズ:全45冊中、上記11冊のタイトルに都道府県名が付いている。なお、作品概要は第3回参照。
③「BOYSサイキック・アクション」シリーズ
※「BOYSサイキック・アクション」シリーズ:全7冊中、上記5冊のタイトルに都道府県名が付いている。なお、作品概要は第4回参照。
結論
三葉「とまぁ、『タイトルに都道府県が付くラノベ』についてアレコレ考えてきましたが……」
清水「ええ」
三葉「今後ラノベを執筆する方は、『タイトルに都道府県を付けるのもアリだよなぁ』とご一考いただくのがよいと思うのです」
清水「ほぉ」
三葉「いえね、これはとても単純な話で……売上や人気のアップが期待できると思うんですよ」
清水「ふむふむ」
三葉「だって、『馴染みのある都道府県が付いたタイトル』を見たら、誰だって思わず手を伸ばしたり、クリックしてみたくなると思いません?」
清水「確かに」
三葉「例えば、秋田県出身の方なら『タイトルに<秋田>が付くラノベ』はついつい気になりますよね」
清水「なるほど。目に留まりやすいかも」
三葉「あるいはもっと些細な縁、例えば『旅行したことがある土地の名前がタイトルに入っている』という程度でも、そうでない場合と比べれば関心を抱いてもらいやすいと思うんですよね」
清水「そうですね」
三葉「そして、タイトルに都道府県を付けるだけで『おっ!』と思ってもらえる可能性がアップするなら、どしどしチャレンジすべきではないかな、と」
清水「ふーむ……いや、ちょっとお待ちください」
三葉「何でしょう?」
清水「逆にその土地に縁もゆかりもなかったら……?」
三葉「ふむ。確かにプラスの影響はないかもしれません。ただ、マイナスの影響ってありますかね?」
清水「んー……」
三葉「例えば、私もあなたも秋田とは縁がありませんが、だからといって『タイトルに<秋田>が付くラノベ』にネガティブな印象を持つかといえば……」
清水「なるほど。別段『読みたくない』とは思いませんね」
三葉「私もそう思います」
清水「ふむ」
三葉「そしてさらに……上述の通り、『ラノベのタイトルに登場する都道府県』はわずか17しかない!残り30県は、過去1度たりともラノベのタイトルに登場したことがない!」
清水「ええ」
三葉「第2回でも申し上げましたが……これは大きなチャンスに違いないと思うのです。例えば、現時点では『タイトルに<秋田>が付くラノベ』は存在しません。だからこそ、いま『タイトルに<秋田>が付くラノベ』を執筆すれば……」
清水「大変に目立つということですよね」
三葉「そうそう!」
清水「確かに一理ある」
三葉「さて……以上の通り、大きなプラスが期待できる一方で、マイナスの影響はなさそう……『これはトライする価値があるのでは?』と思うのです」
清水「なるほどね」
三葉「第4回で申し上げた通り、『全47作★全ての都道府県を網羅したご当地ラノベシリーズ』なんてところまで突っ走っても面白いと思うんですよ。話題性抜群!」
清水「まぁ、それは極論かもしれませんが……」
三葉「ところで……最後に1つ」
清水「何でしょう?」
三葉「第4回で『タイトルに<群馬>が付くラノベ』をご紹介した際、『“世界最後の魔境”群馬県から来た少女』に言及しました」
清水「アレですよね?群馬県が制作に協力した作品!」
三葉「まさに!でね、こんな風に『各地の自治体や、あるいは商店主などが制作に協力した作品』はもっとあってよいと思うんですよ」
清水「ほぉ」
三葉「なにしろ、自治体や商店主にも少なからぬメリットがあります。まず、その作品が人気を得れば、『聖地巡礼』(ロケ地巡り、フィルムツーリズム、エンタメ観光などとも)が期待できる」
清水「ふむ」
三葉「さらに大ヒットすれば、海外へのアプローチも可能かもしれません。訪日外国人向けの観光ビジネスに注目が集まるいま、『そもそも○○という土地がある!』『○○には□□や△△なんて魅力がある!』と発信することは重要です。そしてもしかすると……ラノベがその役割を果たせるかもしれないと思うのです」
清水「なるほど」
三葉「……なぁんてアレコレ考えていると夢が膨らみますよね!『タイトルに都道府県が付くラノベ』、ぜひご一考ください★」
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特集「『国内の地名が付くタイトル』の研究」(全9回)はこれで終了です。ありがとうございました!
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これまでの「ラノベタイトル先生」
第4弾:「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業・過労死・有給」の研究(全2回)
第5弾(本特集):「国内の地名が付くタイトル」の研究(全9回)
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(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)