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魅力的な語尾!耳障りな語尾!耳障りだけれど許容される語尾!語尾語尾!!
嫌われる語尾、嫌われない語尾
<1>
三葉 今日は、<語尾>について考えてみたいんだ。
清水 ほぉ。
三葉 ほら、アニメやマンガの世界には<語尾が特徴的なキャラ>がたくさんいるじゃん。
清水 コロ助とかね。
三葉 いきなり渋いところにいくなぁ(笑)
<2>
三葉 でさ、コロ助の【~ナリ】のような魅力的な語尾もあるけれど、でもその一方で、見苦しいというか聞き苦しいというか、そんなうんざりしてしまう語尾も少なくないと思うんだ。
清水 そうねぇ。
三葉 例えば、××の語尾なんてものすごく耳障りで不愉快じゃん。
※注:本記事は特定の作品やキャラを批判するのが目的ではありません。したがって、一部作品やキャラの名前は伏字にしています。
清水 うーむ。<キャラに個性を付けよう>とか、小説の場合には<誰のセリフかひと目でわかるようにしよう>とか、そういったクリエイターの気持ちはよくわかるんだけれど……でも確かに、不愉快になる語尾もあるね(笑)
三葉 そうなんだよ!つまり、特徴的な語尾の中にも嫌われるものと、好意的に受け入れられるものがあるわけだ。ということで本記事では、<特徴的だけれども嫌われない語尾>とはどのようなものか考えてみたい。
<登場人物紹介>
・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。
・三葉:清水とは中学からの友人。清水の影響でアニメを見始めた。最近頭の中をリピートしている言葉は「俺さ、天使とキスしたんだぜ」(by タロウ)。
【問A】イカ娘の語尾は、なぜ耳障りではないのか?
三葉 まず、わかりやすいところからいこう。すなわち、イカ娘だ。
三葉 イカ娘の語尾といえば【~イカ】と【~ゲソ】だけれど、これ、ものすごく秀逸だと思うんだ。何しろ、アニメを鑑賞していて一度たりとも耳障りだと感じなかったんだ!
清水 ふむ。
三葉 というわけで、なぜイカ娘の語尾が耳障りではないのか考えてみたんだけど……。
【問Aの答1】日常会話で使っても違和感のない語尾だから
三葉 そもそも、【~イカ】というのは日常会話で使っても違和感のない語尾だよね。
清水 そうね。「○○じゃないか」なんて風に言うことはあるね。
三葉 そう!だから耳障りじゃないんだと思う。
【問Aの答2】違和感を最小化すべく、制作者が巧みに調整しているから
三葉 それから、耳障りにならぬように、制作者が巧いことセリフを調整しているんだと思う。
清水 というと?
三葉 例えば食事シーン。イカ娘は「おいしいじゃなイカ」と言う。「おいしいイカ」とは言わない。「おいしい」と「イカ」の間に<じゃな>を挿入することで耳障りなセリフにならぬよう調整しているわけだね。
清水 なるほど。
三葉 こういう微調整が重要だと思うんだよ。
【問Aの答3】語尾が2つあり、セリフに合わせて適切なものが選択されているから
清水 それから、語尾が2つあるというのも重要なんじゃないかな。
三葉 ほぉ。
清水 例えば空腹時。もしも【~イカ】しかなかったら、「食べたいイカ」という不自然な日本語になってしまう。ところがイカ娘には【~ゲソ】という語尾もある。だから、「食べたいでゲソ」というスムースなセリフを作り得るんだよね。
<4>
三葉 以上を整理すると……
【問B】耳障りだけれど嫌な感じがしない語尾とは、どのようなものか?
三葉 さて。イカ娘の語尾を研究することで、<耳障りではない語尾>がどのようなものかわかってきたけれど……。
清水 うん。
三葉 その一方で、<耳障りだけれど嫌な感じがしない語尾>ってのもあるよね。例えば、「とある」のシスターズの語尾は【~とミサカは○○してみます】。あるいは、打ち止めの語尾は【~ってミサカはミサカは○○してみたり】。
三葉 これ、かなり耳障りでウザったい語尾だと思うんだ(笑)でも、嫌な感じはしない!
清水 ふーむ。
三葉 同様の例としては……そうだな。「ローゼンメイデン」の翠星石。彼女の語尾は【ですぅ⤴】だ。
三葉 これまた相当きついものがあるけれど(笑)、でもさ、なぜか許容できるんだよなぁ。
清水 ふむふむ。つまり、
……の3種類があるわけだね。
三葉 そうだね。そして、問題はパターン2とパターン3の違いだ。<違和感はあるけれど許容できる/許容できない>の違いは何か?
【問Bの答1】キャラの個性や特徴と語尾がマッチしている
清水 <耳障りだけれど、嫌な感じはしない語尾>とはどのようなものか……うーん、わかったぞ!キャラの個性や特徴と語尾がマッチしていると嫌な感じがしないんじゃないかな!
三葉 あー、なるほど!
清水 例えば、「シュタゲ」の橋田の語尾は【~だお】。
清水 耳障りではあるけれど、嫌な感じはしないよね。
三葉 橋田が重度の2ちゃんねらーだから許容されるわけだね。
清水 そうそう。【だお】を使うキャラといえば、他にボーカロイドの重音テトがいる。
清水 そして、彼女は2ちゃんねる発祥のキャラだ。つまり語尾に必然性がある。ゆえに、その語尾に嫌悪感を抱く人は少ないんじゃないかな。
【問Bの答2】キャラに、語尾に負けぬ個性や特徴がある
三葉 それから……あっ、わかったぞ!魅力的なキャラに個性的な語尾を与えると上手くいくんだ!多少違和感があろうとも、そのキャラ自体に十分魅力があるから嫌な感じはしない。一方、キャラにいまいち魅力がない場合には耳障りな語尾ばかりが目立ってしまい、俺たち鑑賞者は不愉快になるんじゃないかな。
清水 なるほど。
三葉 例えば、「とある」の黒子。
三葉 彼女の語尾は【~ですの】だけれど、あれ、黒子が魅力的なキャラだから許容されるんだと思う。もしも黒子に魅力がなかったら、引っ叩きたくなるんじゃないかな(笑)
清水 なるほど(笑)
三葉 つまりだ。キャラに個性や特徴が足りない時に「特徴的な語尾を与えることで個性を付加しよう」と考えるクリエイターの方もいるかもしれないけれど……。
清水 絶対に避けるべきなんだね。
三葉 そう、それは地獄への道。あくまでも魅力的なキャラが主、特徴的な語尾は従なんだよ。
清水 なるほど。
三葉 以上をまとめると……
★以上、ご自身の作品に<語尾が特徴的なキャラ>を登場させる時に参考にしてみてくださいねー!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)
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