「見た目」か、それとも「実年齢」か……?|『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』に学ぶテクニック
名作アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」に【魅力的なサポートキャラ】などを学びます。
※「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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【テーマ①】「ロリコンキャラ」の整理
本作の第5話及び第7話では、主人公の友人(秋山翔馬)の恋愛模様が描かれています。
内容をざっくりご紹介すると……
1:翔馬くんはイケメンながら、ロリコン(自称「ロリを嗜む者」)。
2:ある日、彼は1人の少女(鳳小春)と出会う。小春ちゃんは小学生くらいにしか見えぬ美少女であり、ロリコンの秋山くんは一目惚れする。
3:その後、2人は親しくなっていく。翔馬くんは見た目だけではなく、小春ちゃんの中身にも惹かれつつあるようだ。
4:そんな中、小春ちゃんが意を決して告白した。曰く「私は翔馬くんより1つ年上。しかしあなたを愛している。カノジョにしてほしい!」。
5:翔馬くんは衝撃を受ける。そして言った「ごめん……小春ちゃん。僕はロリコンだから小春ちゃんとは付き合えない」。
その後主人公の説得もあり、翔馬くんは反省、小春ちゃんと「友達以上恋人未満」の関係になるのですが……今回ご注目いただきたいのは、翔馬くんが1度は小春ちゃんをふったという事実です。
いかがでしょうか?
「1つ年上だから」という理由で幼女にしか見えぬ小春ちゃんをふるって……おかしくないですか?
ロリコンって、相手の「見た目」が幼ければそれでいいんじゃないの!?「実年齢」って重視するものなの!?
翔馬くんの反応はなかなか興味深いものです。
ということで、図に整理してみました。
翔馬くんは【原理主義者】もしくは【実年齢重視派】に属するわけですが……なるほど。こうして見ると、一口に「ロリコン」と言ってもいくつかのタイプに分かれることがわかりますね。
そしておそらく、彼らは相容れない。お互いを「やーい、ファッションロリコン!」「ケッ!教条主義者が!」「見た目ばかりに囚われて、本質を見失った哀れな連中め!」なんて罵り合ったりするのでしょう。
あなたが今後、ご自身の作品にロリコンキャラを登場させる時には、いずれのタイプに属するのか考えてみると面白くなるかもしれません。
【テーマ②】魅力的な「サポートキャラ」
本作は「学園ハーレムアニメ」でありながら、ミステリ仕立ての物語となっています。
▶ 物語冒頭で起こる事件:ある日、主人公が「パンツ付きのラブレター」を受け取る。しかし差出人不明。
▶ 本作のストーリー:主人公が探偵役となり、差出人を探す。
※詳しくは以下の記事をご参照ください。
そしてミステリと言えば……そう、主人公(= 探偵)にアドバイスを送ったり、時に重大な手がかりをもたらしたりするサポートキャラですよね!
本作にもサポートキャラが登場します。上述の翔馬くんと小春ちゃんです。当初、サポートキャラは翔馬くん1人でした。しかし小春ちゃん登場後は、彼女も主人公をアシストするようになる。
そして……作中の、この2人の扱い方・描き方がじつにいいんですよ!
<Point①>
「サポートキャラ = 単なる都合のいい便利キャラ」では興ざめしてしまうものです。
しかし本作では、翔馬くんと小春ちゃんの恋愛模様が2話に渡って描かれている。彼ら自身の物語がしっかり描かれているところがいい!
<Point②>
本作のヒロインは、全員変態です。
▶ ヒロイン1:主人公の飼い犬になりたがるドM
▶ ヒロイン2:主人公を奴隷にしたがるドS
▶ ヒロイン3:主人公をモデルにしてBLマンガを描く腐女子
▶ ヒロイン4:主人公の下着を欲しがる重度の匂いフェチ
※詳しくは以下の記事をご参照ください。
そして、サポートキャラもまた変態です。
上述の通り、翔馬くんはロリコン。そしてじつは小春ちゃんは、翔馬くんのストーカーにして盗撮魔です。
「主要キャラは全員異常。サポートキャラだって例外ではない」という徹底ぶりがいいですよね!
また本作の後半、「小春ちゃんが、翔馬くんを盗撮した写真」がきっかけとなり、捜査が大きく進展します。
「『サポートキャラの変態性』が、『変態的な事件』の解決に貢献する」という毒を以て毒を制す的展開、最高ですね!
<Point③>
小春ちゃんは天文部に属しており、部室を好き放題に使っています(天文部には、彼女以外の部員がいないのかもしません)。
つまり部室は、誰にも邪魔されずにデリケートな会話をするのにぴったり。ゆえに小春ちゃん登場後、主人公は翔馬君や小春ちゃんとこの部室で会うようになるのですが……これが、なかなかインパクトのある空間なのです。
まず、壁や天井には、びっしりと翔馬くんを盗撮した写真が飾られている(小春ちゃんは翔馬くんのストーカーにして盗撮魔ですからね)。
また、写真を印刷するための巨大プリンタも設置されている。
そんな異様な空間で、 「パンツ付きのラブレター」の差出人は誰だろうと推理する3人……狂気を感じます。
主人公がサポートキャラからアドバイスを得るシーンは、得てして会話主体、動きが少なく退屈な場面になりやすいものです。しかし本作の場合、空間にインパクトがある!そのため、鑑賞者が飽きてしまうことはありません。
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(担当:三葉)