青葉は、なぜカニのパスタを食べるのか?|アニメ「NEWGAME!」に学ぶ
※本記事では、アニメ「NEWGAME!!」(第2期)を分析します。
【問】青葉は、なぜカニのパスタを食べるのか?
「NEWGAME!!」(第2期)の第3話を見ていて面白いことに気がついた。
青葉とひふみが、ランチにカニのパスタを食べているのだ!
おお、カニである!
なぜカニなのか!?
……といきなり言っても意味不明だと思うので、背景からご説明の上、「なぜカニなのか?」「制作者は何を狙っているのか?」といった辺りを検討していきたい。
【状況】青葉が落ち込み、ひふみに励まされて立ち直る
<1>
そもそも……青葉は、第2話で新作ゲームのキャラクターデザイナーに抜擢された。
かくして第3話冒頭、彼女はやる気に満ち満ちている。
ところが、である。先輩たちと打ち合わせをする中で、青葉は次第に自信を失っていく。
というのも、先輩たちは素晴らしいアイデアを出し合い、議論を進めていく。一方、青葉は何も思いつかない。何も言えない。先輩たちの話を理解することすらできない。
その結果、青葉はうなだれたのだ。
<2>
これ、客観的に見れば「えっ、なぜ落ち込む!?だって、青葉は入社して1年ちょっとの新人。わからないことがあって当然だ。先輩と比べれば、そりゃまだまだこれからでしょ」と感じる場面だが、まぁ、青葉の立場に立ってみれば、
・1:「よーしやるぞ!」と意気込んでいた
・2:おそらくは「私、結構いい感じなんじゃない!?」と過剰気味の自信を抱いていた
……というタイミングで現実の厳しさに直面したわけであり、その反動ゆえに彼女は大いに落ち込んだのだろう。
<3>
で、そんな青葉のピンチにいち早く気づいたのはひふみである。
ひふみは「青葉を元気づけてあげなくちゃ!」と考え、コミュ障でありながらも勇気を振り絞って昼食に誘った。
2人がやってきたのは、オシャレなイタリアンレストランだ。
2人はテーブルに着き、話し始めた。ひふみは自身の体験談を交えつつ、青葉を励ましてやる。曰く、青葉はよく頑張っている。いまできないことがあっても落ち込む必要はない。これから頑張ればいいじゃないか!
その温かい言葉に、青葉は冷静さを取り戻す。
そして自身の両手を見つめて「私、何か勘違いしていたんです。きっと、キャラデザになって何でもできる気がして……。それとこれとは違うことなのに!うー、恥ずかしい!まだまだ勉強です!」。
【解】注目すべきは、<パスタの上にはカニの足が2本しか載っていない>という点である!!
<1>
とまぁこうして青葉は立ち直ったわけだが……さて。
冒頭申し上げた通り、ここでご注目いただきたいのは2人が注文したメニューである。
2人が注文したのは、カニのパスタ。
それも、パスタの上にドンとカニが1匹載っている豪華版である(正確には、甲羅とハサミ2本が載っている)。
2人の会話中、画面には常時このパスタが映っており、パスタの上の赤い甲羅、そしてハサミがかなり目立つ。
一般的なパスタ、例えばミートソースやナポリタン、カルボナーラなどでも問題ないはずなのに、なぜかこのパスタ!このシーンで、やたらと目を引くこのパスタ!
うーむ、これは何か意味がありそうだ。制作者は、私たち鑑賞者に何かを伝えようとして敢えてこのパスタを描いたに違いない!
……というわけで、【制作者は、なぜこのシーンで青葉にカニのパスタを食べさせたのか?どのような狙いがあるのか?】を考えてみよう。
※補足:ぶっちゃけた話、「狙いなんてないよ。深読みしすぎ」が正解かもしれません。しかし、<過剰な深読み>も物語の楽しみ方の1つ。皆さんもぜひ一緒に推理してみてくださいね!
<2>
なぜ、カニか?
なぜ、めったやたらとカニが目立つパスタなのか?
いろいろ考えてみたのだが……私はこれ、【パスタに載っているのが<甲羅と2本のハサミのみ>である】という点がポイントだと考えた。
ご存知の通り、カニには10本の足がある。しかし、パスタに載っているのはその内ハサミと呼ばれる2本だけ。つまり全体の20%に過ぎぬ。
……これ、【青葉はまだまだ修行の身。いまの彼女にできることはわずか20%程度に過ぎない。一人前になるには、これからたくさんの技術や知識を吸収しなければならぬのだ】ということを示唆しているのではあるまいか。
と同時に!
人間の腕は2本だ。足を入れても4本きり。ところがカニは10本!つまり、人間の2.5~5倍だ。
……これ、【青葉は、常人の数倍にも及ぶポテンシャルを秘めている。いまはまだ未熟者だが、やがてその才能が開花するだろう】ということを示唆しているのではあるまいか。
<3>
上記の推理が正しいとすれば、カニのパスタはすなわち<青葉の現状と彼女が秘めるポテンシャル>を示唆していることになる。
たった1回の昼食メニューを通じて、鑑賞者にこれだけのことを示唆する……ユニークな演出である!
みなさんも、「主人公の食事は何にしようかなぁ。この場面では読者・鑑賞者に○○を示唆したいから……よし!××を食べさせることにしよう!」なんて風に工夫してみてくださいねー!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)