【ラノベ会議】みんなの「脳のキャパの空き具合」を考える|「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業・過労死・有給」の研究(1)
ラノベを研究しよう★
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始めよう、「ラノベタイトル先生」!!
テーマ発表★
というわけで……本記事では残りの6単語、「『ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業・過労死・有給』が付くタイトル」を徹底研究します。
※注:「『ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業・過労死・有給』が付くタイトル」とは、例えば以下のような作品を指します。
<特集全体の目次>
第1回(本記事):みんなの「脳のキャパの空き具合」を考える
第2回:『有給取ったから異世界行ってきます。ご迷惑をおかけしますが、明後日には戻ります』ってどうだろう?
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登場人物紹介
・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。ラノベにも造詣が深い。「ラブライブ!」シリーズの推しメンは、松浦果南。
・三葉:清水とは中学からの友人。最近『らき☆すた』のキャラソンを聞き返していて、日下部みさおの「すげえんだって・ヴァ!」にハマっている。貸借主忘却の法則。
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研究開始★
まずは、刊行数3~11冊の「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業」に注目★
【分析①】「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業」が付くタイトルの刊行数と、ラノベ全体に占める割合
【分析②】「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業」が付くタイトルの刊行数の推移
【分析③】タイトルに「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業」が付く作品を具体的に見てみよう★
三葉「……というわけで」
清水「はい」
三葉「『特定のシリーズの独占率が高い』というのがこの4タイトルの特徴です」
清水「ふむ」
三葉「例えば『ハローワーク』を見ると……タイトルに『ハローワーク』が付くラノベの82%が『ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた』シリーズ!すなわち、独占率8割オーバー!」
清水「まぁ、『本記事で取り上げた4単語を含むタイトル』はそもそも刊行数が少ないですからね。いまおっしゃった『ニートだけどハロワにいったら異世界につれてかれた』シリーズは9冊。10冊以上のシリーズものが少なくないラノベの世界では、必ずしも長編シリーズとは言えません。ところが、そもそも『ハローワーク』が付くタイトルは11冊しかない。それゆえに独占率が高くなる」
三葉「そうなんですよね」
清水「一方、刊行数が多いタイトルではどうなるか?例えば以前考察した『妹』タイトルを見てみましょう」
三葉「ふむ」
清水「タイトルに『妹』が付く作品は256冊ありました。仮に『<妹>タイトルで独占率80%超え』を目指す場合には、200冊以上続くシリーズものを書かねばなりませんが……まぁ非現実的といえるでしょう。つまり、刊行数が多くなると、必然的に独占率が低下するわけです」
三葉「ええ」
清水「つまり、本記事で取り扱った4単語の独占率が高いのは、『元々の刊行数が少ないがゆえ』と言えるでしょう」
三葉「そうそう。でね、こうした『<刊行数が少なく、独占率が高いタイトル>をどう捉えるべきか』考えてみたんですよね」
清水「ほぉ」
三葉「具体的には、『今後ラノベを書くにあたってこうしたタイトルは狙うべきか?それとも避けるべきか?』です」
清水「なるほど」
三葉「結論としては……かなり狙い目なのではないかと思います」
清水「理由をうかがいましょう」
三葉「まず、人間は『あまり興味がないテーマについても、3トピックくらいまでなら記憶できる』ものだと思うんですよ」
清水「ふむ」
三葉「まぁ、『3トピック』というのは根拠のない適当な数字で、『2トピック』でも『4トピック』でもよいのですが……ここで肝心なのは、『それくらいしか覚えていられない』ということです」
清水「なるほど」
三葉「よく『御三家』だの『四天王』だのと言いますが、これって要するに、『みんな3~4個までしか覚えられないでしょ?だと思って3~4個に絞っておきましたよ!』ということだと思うんですよね」
清水「ふむ。確かにそうかもしれませんね。『十天王』なんて言われても、記憶するのは大変そうです」
三葉「でね」
清水「ええ」
三葉「先ほど話題に上がった『妹』タイトルを見ると……『妹さえいればいい。』、『新妹魔王の契約者』、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などなど、有名作が揃っている」
清水「『この中に1人、妹がいる!』、『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』、『女子モテな妹と受難な俺』あたりもよく知られていますよね」
三葉「そうそう!で、これは要するに、【みんなの『<妹もの>ラノベに関する脳のキャパ』はもういっぱいいっぱい!】という状態だと思うんですよ」
清水「あー、なるほど。特段『妹もの』を愛好している人を除けば、新たな『妹もの』ラノベを見ても『ふむ。また<妹もの>か』くらいしか思わないかもしれませんね」
三葉「そう!つまりね、いまから新たな『妹』タイトルを覚えてもらおうと思えば、先ほど申し上げた名作群と戦い、それを押しのけてみんなの脳の中に居場所を作らねばならぬわけですが……」
三葉「至難の業でしょう」
清水「いずれもラノベ界を代表する有名作ですからね」
三葉「実力はもちろん、大きな運が必要になる」
清水「ふむ」
三葉「一方、『残業』ならどうか?」
清水「『美人上司とダンジョンに潜るのは残業ですか?』シリーズしかありませんね」
三葉「そう!世の中に『<残業>ラノベを読みたい!』という人はあまりいないと思いますが……先ほど申しあげた通り、『興味がないテーマだとしても3トピックくらいまでなら記憶できる』のではないかと思います。つまり……」
清水「『まだ脳のキャパに余裕がある』というわけですね」
三葉「そう!『<残業>ラノベといえば、<美人上司とダンジョンに潜るのは残業ですか?>シリーズと○○があったな』と記憶してくれる可能性があるのではないかと思うのです」
清水「ふーむ、なるほど……一考の余地はありますね。考えなしに『妹』などのメジャータイトルを付けるよりも、『刊行数が少なく、独占率が高いタイトル』=『まだ脳のキャパに余裕がありそうなタイトル』を狙う方が有益かも」
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)