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優れた「キャラの特徴」とはどのようなものか?なぜ「常時揺れている」という特徴は秀逸なのか考えよう★|「あの子はいつも揺戸瑠菜」

 ぶるぶるぶるぶる……。


 こんにちは。傑作マンガを分析・研究する「21世紀マンガスタディーズ」のお時間です。

 本日取り上げるのは……常時揺れ続ける少女が主人公!こちらの作品です!


赤塚大将「あの子はいつも揺戸瑠菜」

<ジャンプルーキー!>


<Twitter>


登場人物紹介

・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。最も好きなヒーローは「騎士ガンダム」。

・三葉:清水とは中学からの友人。最近ハマっている曲は『ブラック・ブレット』の「black bullet」。赤く燃える。

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まずは概要をチェック!


三葉「それではまいりましょう!」

清水「はい」

三葉最初にざっくり概要をご説明して、その後、本作の魅力を解き明かしてまいります!最後まで読んでね★」



清水「ふむふむ」

三葉「まずね、主人公の名前がよいでしょ!

清水『揺戸瑠菜』、ですか」

三葉「そう!常時揺れているから『ゆれと・るな』……最高ですね!」

清水「ふむ」

三葉『ゆれて・るな』とか『ゆれて・るね』とか、あるいは『ふるえ・てる』なんて名前でもよかったはずなんですよ」

清水「確かに」

三葉「しかし……『ゆれと・るな』!最高ですね!」

清水「……いや、その違いはわかるような、わからないような……」


<補足>

 「少年ジャンプ+」に同名、同コンセプトの作品が掲載されています。

 今回は、上述の「ジャンプルーキー!」版を考察しますが、こちらも合わせてオススメです★


【ここに注目①】王道的なキャラ設定★


三葉「続いては『ここに注目!』のコーナー私が特に興味を持ったポイントをご紹介してまいります!」





清水「なるほど。『王道的キャラ設定』!


【ここに注目②】そのキャラの特徴はエピソードを生み出すか?


三葉「続いて、2つ目の注目ポイントです!」






清水「なるほど!世の中には様々な『キャラの特徴』がありますが……『常時揺れている』は、その中でもじつに優れている、と」

三葉「そうそう!様々なエピソードを生み出し得る特徴ですからね★」

清水「ふむ」

三葉「ただね」

清水「ええ」

三葉「ここで1つご注意いただきたいのは、『<常時揺れている>って超斬新!オリジナリティ溢れる!』……ではないということです」

清水「ほぉ」

三葉寧ろ、これは古典的なネタだというべきでしょう。わかりやすいところではコント。例えばザ・ドリフターズですが……老婆に扮した志村けんがぶるぶる震える手でお茶を注ぐ。ちゃぶ台にお茶がこぼれる。湯呑を持つ。傍にいたいかりや長介に熱湯がかかる。いかりやが飛び上がる……なんて具合です」

清水「あー、なるほど。確かにそんなの見たことがあるかも」

三葉本作で注目すべきは、『<常に揺れている>という特徴を、萌え作品などでお馴染みの<王道的なキャラ>に付け足した』ことでしょう。『キャラ』にしろ『特徴』にしろ、単体では別段目新しいものではない。しかし……それらを組み合わせた!そして、その組み合わせならではのストーリーを紡いだ!これこそが評価されるべき点だと思うのです!」

清水「ふむ!」

三葉「まさに組み合わせの勝利!組み合わせの妙!スーパー最高!

清水「……熱弁しますね……」

三葉「いやぁ……私、ドリフが大好きなのですが、21世紀になってこのネタを見られるとはね。嬉しくなっちゃって!」


【やってみよう!】「常時揺れている」に代わる「優れた特徴」を考えてみよう!


三葉「さて、ここからは『やってみよう!』のコーナーです。今回は『常時揺れている』に代わる『キャラの特徴』を考えてみたいと思います」

清水「承知しました」

三葉「上述の通り、単に奇抜な特徴ではなくて……」

清水『様々なエピソードを生み出し得る特徴』ですね」

三葉「そうそう!」


【やってみよう①】テンションによって身長が変化する


三葉「でね」

清水「ええ」

三葉「手前味噌で恐縮ですが、なかなかどうして面白いアイデアを思いつきまして」

清水「伺いましょう」

三葉「すなわち……『テンションによって身長が変化する』です!」

清水「ほぉ!」

三葉普段は身長150~160cm程度のふつうの女の子。ところがテンションが上がるとグーンと伸びる!

清水「一体どれくらい大きくなるのでしょう?」

三葉「そうですねぇ……場合によっては教室の天井を軽く突き破ってしまうくらい

清水「ええっ……」

三葉「一方、テンションが下がると身長は縮まる★

清水「ふむ」

三葉「このアイデアが面白いのは、主人公のテンションがダダ漏れになるところです。例えば、友人にサプライズでプレゼントを贈ろうと思い立つ。しかし友人が喜ぶ姿を想像するとワクワクしてしまい……巨大化!」

清水「ほぉ」

三葉「一発でバレてしまうわけです」

清水「なるほど!隠し事ができないのですね」

三葉「いくら平静を装っても『おい、お前いま何か企んでんだろ。背ぇデカくなってんぞ!』なんて指摘されたりして」

清水「ふむふむ」

三葉必死にテンションを抑えようとして、それでも堪えきれずにニマニマしてしまう主人公……大変に萌えるシーンになりそうでしょ!

清水「ふーむ」

三葉「あるいは、痛みによってテンションを下げようとして、自身の太ももにシャーペンをぶっ刺してみたり」

清水「うーむ……」

三葉「また、『背の高さが変動するのを利用するエピソード』もあり得ると思うんですよ」

清水「と言うと?」

三葉例えば、教室のロッカーの裏に財布が落ちてしまったとしましょう

清水「あー、なるほど!小さくなって取りに行くわけだ!

三葉ところが……小さくなるにはテンションを下げる必要がある!

清水「そうか……」

三葉「かくして過去の失敗談や赤面エピソードを思い出して、必死に落ちこもうとする主人公。なかなか上手くいかない。致し方がないということで、友人が協力する。すなわち、戦争、虐殺、環境汚染……人類が犯した数々の愚行について話し合う。だいぶ縮んできた。気分がブルーになってきたようだ。もう一押し!いつの日かやって来る自身の死を想う。人の魂は死んだらどこへ行くのだろうか……むっ!ちょうよいサイズになった!いまだ、行け!……かくして主人公は、真っ青な顔をしてヨロヨロと歩き出す……


清水「これは辛そうだ……」

三葉とまぁね、『テンションによって身長が変化する』という特徴は、こんな具合に様々なエピソードを生み出し得ると思うんですよね

清水「ふむ。なかなかどうして面白くなりそうですね!」


【やってみよう②】体温が常時100度近い少女


三葉「また別のアイデアとして」

清水「ええ」

三葉『体温が常時100度近い少女』というのはいかがでしょう?」

清水「100度!?」

三葉「何しろ100度ですからね。うかつには近寄れない。みんなともっと仲良くしたい。しかし……人は脆いもの。まさか友人を炭化させるわけにはいかぬ……」

清水「『エヴァンゲリオン』で一躍有名になった『ヤマアラシのジレンマ』みたいですね

三葉「そうそう!『体温が極めて高い』という特徴があると、まず、こうした『切なさ』が描けますよね

清水「なるほど」

三葉「また、もう少しギャグっぽいエピソードとしては……常時、宇宙飛行士並みの耐熱服を着ているとか」

清水「ふむ!」

三葉『耐熱性を重視するとかわいい服がなくてさぁ』なんて嘆いてみたり」


清水「……まぁ、そうでしょうね」

三葉「アレですね。巨乳の子が『カップが大きくなるとかわいいブラがなくてさぁ』と嘆くのと同じ構図です」

清水「『同じ』……か?」

三葉「あるいは、友人とソフトクリーム屋へ行く

清水「ほぉ」

三葉「店員がソフトクリームを手渡そうとする。それに対して主人公は『あっ、もうちょっと腕を高く上げていただいて……そうそう。よいですか。受け取りますよ。せーの……はい!』。主人公が掴んだ次の瞬間、ソフトクリームがすべて溶ける。液体化したクリームが主人公の顔にかかる。呆気にとられる店員。一方、主人公はベトベトになった顔をほころばせて『今日は結構口に入った!うまし!』

清水「なるほど!」

三葉「これもまた、様々なエピソードを生み出し得る特徴でしょ?」

清水「ふむ!」

三葉ちなみに最終回はこんな具合……主人公たちがスキーへ行く。主人公は、いつも以上に頑丈な耐熱服を着ている

清水「まぁ、そうでないと雪が溶けてしまいますからね」

三葉「しばらくして……大規模な雪崩が起こる!」

清水「ほぉ!」

三葉「念のために付記しますと、コレは主人公の体温とは無関係の雪崩ですよ」

清水「ふむ」

三葉「さて……友人が雪崩に巻き込まれる!雪に飲み込まれたようだ!すぐに助け出さないと酸欠で死んでしまう。しかし一体全体どこに埋まっているのやら……

清水「危機的状況ですねぇ」

三葉「主人公が静かに口を開く。『みんな、下がっていて。私がきっと助け出すから』。他のお客が急いで山を下りる。辺りが静まり返る」

清水「ふむ……」

三葉「主人公は友人の名を呼ぶ。『○○ちゃん、私、やっとわかったよ。この厄介至極な体質……両親を恨んだこともあったっけ。こんな体だからなかなか友達もできなくって……。でも、いまわかったんだ。私の体温が高いのは、今日この時、○○ちゃんを救うためだったんだね』

清水「おお!感動的なセリフ!」

三葉「やがて主人公が耐熱服を脱ぐ。すっぽんぽんだ。雪が溶け始める。しかし巨大な雪山である。このペースでは、友人が見つかるまでにまだまだ時間がかかりそうだ。それでは彼女の命が危ない。……主人公が叫ぶ!『私の体温のすべてを使って○○ちゃんを救う!』。主人公が体温を全解放する!

清水「『体温を全解放』とはなかなか聞き慣れない表現ですね……」

三葉「猛スピードで雪が溶ける!間もなく友人が発見される。彼女はすぐに意識を取り戻す。ふと辺りを見回すと……主人公が倒れている!

清水「ほぉ……」

三葉友人が駆け寄る。慌てて手を握ると……冷たい!

清水「むっ!」

三葉「友人の顔が青ざめる。彼女はその冷たさが意味するものを知っていた……それは、去年死んだお婆ちゃんの手と同じ冷たさだった……

清水「ええっ!」

三葉「友人が泣く。『私のために……そんな……』」

清水「うーむ……」

三葉「友人の目から大粒の涙……主人公の頬に落ちる。そして……主人公が目を覚ます!

清水「ほぉ!」

三葉「まぁ、オチとしてはですね……主人公の体温が今度は常時マイナス273度、すなわち絶対零度になってしまったというわけですね」

清水「なるほど!」

三葉「なかなかイケてるでしょ?」

清水「悪くないかも!」


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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