浮かれるな!現実を見ろ!地に足をつけろ!……そして強化合宿へ|【第4局:翻弄】「咲-Saki-」に学ぶ
※引き続き、アニメ「咲-Saki-」を分析します。本記事で取り上げるのは第4話。第3話以前を分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!
分析対象
あらすじ
分析メモ
■1:地に足をつけろ
第1話~第3話で、咲は麻雀部の仲間と出会い、麻雀の楽しさを知った。さらに第3話終盤には、<県予選を突破して全国に行く>という目標もできた。順風満帆だ!
で、本話冒頭では……咲と和は浮ついている!特に和。彼女は咲との距離が縮まったことを喜び、地に足がついていない。おそらくは、県予選なぞは眼中になし。「パパッと片付けて、愛しの咲と共に全国に行くのよ♥」なんて思っているのだろう。
そんな2人の目を覚まさせたのは久である。
つまり本話は、【主人公らはやる気満々 → やる気満々すぎて地に足がついていない → 部長が画策して、痛い目に遭わせる → かくして主人公らは目を覚ます → 「このままじゃ駄目だ!」と修行を開始する】というエピソードだ。
あるいは、こうも言えるだろう。【本作は<友情・努力・勝利>ならぬ、<百合・努力・勝利>の物語である。そして本話までは<百合フェーズ>、次話からはいよいよ<努力フェーズ>に突入するのだ】と。
■2:息抜き回・お遊び回
本話は、ちょっとした息抜き回・お遊び回だ。
何しろ……
・和がデレデレ(咲を思い浮かべて赤面、小指にキス、弁当をふるまう)
・麻雀部の1年生が集まって、のんびりと弁当を食べる
・京太郎が、優希を誤って押し倒す(ラブコメの定番!)
・咲と和がバイトに挑戦
・咲と和がメイド服を着る
ところで、アニメの息抜き回・お遊び回が好きではないという人は結構多いのではないかと思う。私もその1人だ。
息抜き回・お遊び回を見ていると、「早くストーリーを進めてよー!」と思ってしまうのだ。「水着回や温泉回をやっている余裕があるなら、本筋をもうちょっと丁寧に描いてほしい……」と思ってしまうのだ。
しかし、本話に関してはそうした不満は感じなかった。
なぜか?本話がただの息抜き回・お遊び回ではなく、きちんとストーリーに絡んでいるからだろう。
具体的には、【咲と和は浮かれていた。だからいつになくデレデレしたり、のんびりしたりしていたのだ → 2人がバイトをしたりメイドの格好をしたりするのは、すべて久の策略 → 最終的に、2人は目を覚ます → 次回、強化合宿へ】。
無駄がない!すべてに意味がある!だから退屈しない!
■3:和の豹変っぷり
前話までのツンツン具合とは対照的に、本話では和が完全に恋する乙女になっている。
何しろ、夜眠る前も朝登校する際も、つまりは文字通り寝ても覚めても咲のことばかり考えているのだ。さらに、咲を想って頬を赤らめ、そして小指にキスをするのである。
このあまりの豹変っぷり!噴き出さずにはいられない。
■4:咲と和の対比
前話までと同様、本話でも咲と和の対比が目立つ。
・対比①:咲は、姉(照)との再会を心待ちにしている。和は、咲を想って頬を赤くする。
・対比②:咲はメイド衣装を恥ずかしがる。和は満更でもなさそうだ。
・対比③:藤田がプロ雀士だと知り、咲は「だったら負けて当然だよね」。一方、和はプロかどうかなぞ関係ない!誰にも負けたくない!嗚呼、悔しい!
最も重要なのは3つ目の対比だ。前話でも描かれていた通り、やはり咲は闘争心や勝利への欲望が弱いようだ。
「全国を目指す上でこの<闘争心の欠如、勝利への欲望の弱さ>が足枷になるのでは?」と感じた人も多いだろう。
■5:天才と百合
藤田プロが喫茶店に入ってきた瞬間、咲は体を震わせる。この【強者は強者を知る】的な演出、いいですねぇ!
一方、和は藤田プロを見ても何も感じない。とはいえ和も異変を察知する。そう、咲が震えていることにいち早く気づくのだ。
つまりこれ、
・咲:さすがは天才!<強者は強者を知る>ってヤツだな!
・和:さすがは百合キャラ!愛する咲の変化は見逃さない!
……ということになる。
そう、最早<天才と秀才>という比較ですらないのだ!最高に面白い。
■6:汗をかくなら太ももに
藤田プロが喫茶店に入ってきた瞬間、咲は戦慄する。
そして嫌な汗をかくのだが……汗をかく場所が問題だ。頬や手ではない。彼女は太もも(いわゆる絶対領域)に汗をかくのである!
つまりこれ、<主人公の緊張感を伝える重要なシーン>でありつつも、同時に<鑑賞者へのサービスカット>も兼ねるという複雑な(?)演出である。「これぞ萌えアニメ!」という感じで笑える。
■7:藤田プロに関する演出
藤田プロに関する描写が面白い。以下、羅列してみよう。
・全身から白いオーラを放ちながら登場(咲にだけ見えている)。
・黒いコートを投げ捨てるようにして脱ぐ。
・コートの下は、SMの女王様っぽい格好。あるいは、特撮に登場する悪の組織の女幹部といった感じ。
・対局前、手に付けていたアクセサリーを外す。スポーツマンガでお馴染みの<重りを外す演出>、あるいはバトルマンガでお馴染みの<力を抑え込んでいた包帯や護符を外す演出>にそっくりである。
・対局中、特盛のかつ丼をガツガツと食いまくる。<野性・野獣・ワイルド = 生身の人間など一瞬で食らい尽くす!>ということだろうか?
・対局中、「ニヤリ」と口角を上げて笑う。
・対局中、全身から黒いオーラを放つ。
・ロンする時には目が白く光る。
・キセルを吸う。
もしかすると……咲や和もやがてオーラを放ち、目が光るようになるのだろうか?
■8:ぼんやりした少女がラフな口をきく
咲は麻雀がめちゃくちゃに強い!だが闘争心を欠き、いつもどこかぼんやりとしている。
そんな彼女だが、メイド服を着た時には「はっ、恥ずい……」と呟く。「恥ずかしい」でも「恥ずかしいです」でもない。「恥ずい」である。
ぼんやりとした感じの少女がちょっとラフな口をきく……最高だと思いませんか?
■9:すべては計画通り
本話のオチは、【すべては久の計画通りでした】。
天才の咲だろうが、秀才の和だろうが、手のひらで楽々と転がしてしまう……さすがは部長である!
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(担当:三葉)