「自分は決して『ただいま』と言わないくせに、相手には『おかえり』を求める」という態度によって、そのキャラが「こんなチンケなところ、私が本来いるべき場所ではない!」「でも、私は無条件に受け入れられて然るべき」といったふざけた考えを持っていることを暗示する ~アニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」の場合
◆概要
【「自分は決して『ただいま』と言わないくせに、相手には『おかえり』を求める」という態度によって、そのキャラが「こんなチンケなところ、私が本来いるべき場所ではない!」「でも、私は無条件に受け入れられて然るべき」といったふざけた考えを持っていることを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」(第1話)
▶1
本作の主人公は、ヨハネ(16歳の少女)。
彼女は、
・Step1:港町ヌマヅで生まれ育った。
・Step2:ところが14歳、「こんな田舎町は自分に相応しくない!都会でビッグになってみせる!」と言って、トカイ(東京風の大都会)に出ていった。
・Step3:ところが、嗚呼、上手くいかない!オーディションはどれも不合格。アルバイトも思うようにいかず、やがて資金が尽きた。かくして第1話序盤、ヨハネは夢破れ、嫌々ながらヌマヅに戻ってきたのだった。
そんなヨハネを
・Step4:昔馴染みのライラプスが出迎えてくれた。
・Step5:再会早々、無遠慮に言葉を交わす2人。なおこの時、ヨハネは「おかえりくらい言いなさいよ!」とライラプスに要求する。だが、自分は決して「ただいま」とは言わない。曰く「……言いたくない。とりあえず一時的に来たってだけだから!」。半ば本心、半ば強がりだろう。
・Step6:ライラプスが呆れる「相変わらずふるさとを愛してなさすぎ」。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step5である。
自分は決して「ただいま」と言わないくせに、相手には「おかえり」を要求する――。
つまり、「ふん!こんな田舎町は私の居場所じゃないわ!さっさとトカイに戻るんだから!」と半ば本心、半ば強がりからヌマヅを否定しつつ、「歌手として成功したわけではないけれど、でも私はここで生まれ育ったのよ。私を歓迎しなさいよ!」と無条件に自分を受け入れるよう要求しているわけだ。
これは無茶というものである。
だって、相手に受け入れてほしければ、まずは自分が相手を受け入れなければならぬ。それが道理というものだ。
そりゃ、ライラプスだって呆れるわけだ。
なお、いろいろあって第1話終盤、ヨハネはライラプスに「ただいま」と言えるようになる。彼女は人間的に成長したわけだ。
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