「よくわからぬが何やら異常なことが起こる→次のシーンで、信号機が青色から赤色に切り替わる」という展開によって、それが単なる異常事態ではないこと、大変危険で警戒すべき状態であることを示唆する ~アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の場合
◆概要
【「よくわからぬが何やら異常なことが起こる→次のシーンで、信号機が青色から赤色に切り替わる」という展開によって、それが単なる異常事態ではないこと、大変危険で警戒すべき状態であることを示唆する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(第11話)
▶1
本作の主要キャラの1人・冬月(60歳)。
彼は、「NERV」という特務機関の副司令である。
汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」を使って、迫り来る敵「使徒」と戦うのがその使命だ――実際には各人の思惑やら事情やらが入り乱れており、使徒を倒せば万々歳といった簡単な話ではないのだが――しかし、少なくとも表向きにはそういうことになっている。
ある日、
・Step1:NERV本部でふいに停電が発生した。
・Step2:職員たちは顔を見合わせる。一体何があったんだ!?しかしまぁ、何があったにせよ間もなく予備回線に切り替わるさ。
と思いきや――
・Step3:中央作戦指令室のオペレーターが叫んだ「ダメです!予備回線つながりません!」。
・Step4:さすがの冬月もこれには慌てる「バカな!」。何しろここは、人類の英知を結集して作られたNERVの本部なのだ。それだのに停電?しかも予備回線もつながらない?一体何が起きているんだ!?
・Step5:冬月が訊く「生き残っている回線は?」。
・Step6:オペレーターが応える「全部で1.2%!2567番からの9回線だけです!」。おお、たったの1.2%!
・Step7:冬月は間髪入れずに命じた「生き残っている回線はすべてMAGIとセントラルドグマの維持に回せ!」。すべての電力を最重要システムに回せというわけだ。
・Step8:オペレーターが躊躇する「全館の生命維持に支障が生じますが……」。しかし冬月は「構わん!最優先だ!」。
で、次のシーン。
・Step9:舞台は街中に移る。日向(NERV本部のオペレーターの1人、若い男性)が大荷物を抱えているのが見える。間もなく、日向の傍の信号機が青色から赤色に変わった――。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step9の信号機である。
NERV本部でまさかの停電。しかも予備電源もつながらない。そんな異常事態に対処すべく慌ただしく動き回る冬月たち。その次のシーンで信号機が青色から赤色に変わった――!
ご存じの通り、赤色は「危険な状態」や「警戒すべき状態」を意味するカラーだ。
つまりはこれ、【「よくわからぬが何やら異常なことが起こる→次のシーンで、信号機が青色から赤色に切り替わる」という展開によって、それが単なる異常事態ではないこと、大変危険で警戒すべき状態であることを示唆する】というテクニックである。
なお実際のところ、この後NERV本部は大変なことになる――そう、なんともタイミング悪く使徒が攻めてくるのだ。
かくして冬月たちは、電子制御されたドアやエレベーターが使えないため通気ダクトの中を移動したり、タラップを登り降りしたり、エヴァンゲリオンを動かすために職員総出でハンドルを回したり、緊急用のディーゼルエンジンを使ったりする羽目になる。
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