「魔法少女もの」の主人公は魔法少女に決まってる!……って誰が決めた?|「魔法少女に告白する男子高校生の話」
「魔法少女もの」の主人公は魔法少女に決まってる★……わけではない?
こんにちは。傑作マンガを分析・研究する「21世紀マンガスタディーズ」のお時間です。
本日取り上げるのは……いわゆる「魔法少女もの」に該当するこちらの作品!
ふろーたいさ「魔法少女に告白する男子高校生の話」
<pixiv>
<Twitter>
登場人物紹介
・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。最も好きなヒーローは「騎士ガンダム」。
・三葉:清水とは中学からの友人。最近ハマっている曲は『ブラック・ブレット』の「black bullet」。赤く燃える。
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まずは概要をチェック!
三葉「それではまいりましょう!」
清水「はい」
三葉「まずは作品概要です」
【ここに注目】主人公が魔法少女ではない!
三葉「続いて、『ここに注目』のコーナー!とりわけご注目いただきたいポイントをご紹介いたします★」
清水「なるほど!そもそも『魔法少女もの』は、『幼女の成熟願望を満たすジャンル』として誕生した。だから、たいていの『魔法少女もの』では、『幼女が感情移入しやすいキャラ = 主人公』が魔法少女に設定されている、と」
三葉「そうそう!ちなみに……80年代以降、そして特に近年、成人男性を対象とした『魔法少女もの』も少なくありません」
清水「ふむ」
三葉「視聴者が幼女ではないので、最早『主人公 = 魔法少女』というマナーは無視しても差し支えないのですが……いわば『ジャンルのお約束』として定着しているといえるでしょう」
清水「なるほどねぇ!」
三葉「そう考えると、『主人公が魔法少女ではない』という本作の設定はじつに興味深いと思うんですよね」
<補足>
ここまで申し上げてきたことをぶち壊すようですが……もちろんこの先、『主人公も魔法少女に変身する』という展開になることも考えられる。
つまり、『主人公が物語の中盤以降で魔法少女になるタイプの作品』だ。
なお、このタイプの作品で最も知られているのは……『魔法少女まどか☆マギカ』!
『まどマギ』の主人公・まどかはなかなか魔法少女にならず、ようやく変身したのが……なんと最終回!放送時には「一体いつ変身するのか?」と視聴者の間で話題になっていた。
【考えてみよう!】『魔法少女もの』で性の多様性を描く!?
三葉「さて、続いては『考えてみよう!』のコーナー!本作は現在第3話まで公開されていますが……果てさて、この先一体どのような展開になるのか」
清水「大変気になりますね!」
三葉「まったくね!」
清水「ええ!」
三葉「……ということで、妄想してみましょう!」
清水「承知しました」
三葉「でね」
清水「ええ」
三葉「ちょっと面白いことに気づきまして」
清水「伺いましょう」
三葉「『魔法少女もの』にはいくつかのテンプレ的展開(複数の作品で見られるストーリーの流れ)がありますが、その内の1つ、以下をご存知でしょうか?」
清水「コレはなかなか深刻な悩みですね……」
三葉「いわばアイデンティティの問題です」
清水「ふむ」
三葉「ところで、本作も『魔法少女もの』。これに近い展開をたどる可能性もあると思うんですよ」
清水「なるほど……言われてみると、男性キャラ(=主人公)が魔法少女に恋している点なぞ、この展開に近いものがありますね」
三葉「そうそう!」
清水「ただ本作の場合、魔法少女もまた男性……」
三葉「そこですよ!」
清水「むっ!」
三葉「つまり、本作がこの展開をたどるならば……
・桐谷は、じつは主人公に恋をしている。
・主人公がピンチになると、タイミングよく桐谷 = 魔法少女が現れるのはこのため。
……ということになります」
清水「ふむ!」
三葉「そして、ここからが肝心ですが……
・桐谷は悩んでいる。主人公が恋しているのは魔法少女!つまり……女性!しかし変身を解けば……自分は男性。一体オレはどうしたらよいのだ!
……ということになる!」
清水「ふむふむ!」
三葉「上述の通り、一部の『魔法少女もの』には、『憧れのあの人が、変身後の自分(=魔法少女)に恋してしまった』ことで、アイデンティティ上の悩みを抱える少女が登場します」
清水「しかし桐谷の場合……」
三葉「そう!桐谷の場合、さらにセクシュアリティの問題が絡んでくる!畢竟、その悩みは一段と深刻なものにならざるを得ません!」
清水「確かに……。作中で主人公は『男でも好きだ』なんて言っていますが、アレはおそらく反射的に出た言葉でしょうからね」
三葉「同意ですね。自分のセクシュアリティと真剣に向き合ったとは思えません」
清水「ふむ」
三葉「この桐谷が抱える悩みは、要するに『同性愛者が異性愛者に恋してしまった苦しみ』というヤツです。なかなかセンシティブなテーマなので取り扱いは難しいかもしれませんが……しかし!『魔法少女もの』で真っ正面からこれを取り上げた作品は類を見ないはず!」
清水「うーむ……記憶にありませんね」
三葉「また、世間一般において『性の多様性』を理解しようという風潮が強まっている昨今……まさに時代が求める展開といえるでしょう!」
清水「なるほどねぇ……いや、一理ありますよ!」
三葉「……とまぁね、以上、ファンによる至極身勝手な深読み、そして妄想でした」
清水「はい」
三葉「……」
清水「……」
三葉「いずれにしろ、作者さんがこのあとどのようにストーリーを紡いでいくのか、大変楽しみですね!」
清水「更新が待ち遠しい!」
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)