「あなたの隣にいたい♥」 v.s 「あなたになりたい♥」|『Aチャンネル』に学ぶテクニック
アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「Aチャンネル」に「2つの愛の形(隣にいたい♥/一体化したい♥)」を学びます。
※「Aチャンネル」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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テーマ発表!!
本記事では、「トオルが『るんの隣の席』に座るシーン」を詳しく分析します。
▶ 【補足】トオルってどんなキャラだっけ?
・トオルは、高校1年生の女子生徒
・幼馴染のるんのことが大好きで、わざわざ同じ高校に入学した
・しかしるんの方が1つ年上なので、一緒にいられるのは休憩時間くらい
・トオルは、「るんと同じ教室にいたかった」「同じ授業を受けたかった」「るんの同級生が羨ましい!」と思っている
トオルが「るんの隣の席」に座るシーンをチェック!
第3話の中盤(物語開始から11分25秒経った辺り)に、こんなシーンがあります。
<1>
休み時間。トオルがいつものように、るんの教室に駆けつける。
しかし、教室には誰もいない……。
<2>
ここで劇中歌「ぎゅっとして欲しいんだ」が流れ始めます。歌詞はこんな具合。
届きそうなのに/届かない関係/何が必要?/何が足りない?
トオルの気持ち(どれほどるんに近づこうとしても、年齢の差が壁になり、どうしても距離ができてしまう!)を歌った曲です。
<3>
劇中歌をBGMに、トオルが呟きます「そっか。次、体育の授業だっけ……」。
つまり、るんらは更衣室で着替えをしている。だから教室は無人だったのです。
<4>
トオルがそっと教室に足を踏み入れます。
そして、辺りをゆっくりと見回す。
壁。
何気ない掲示物。
ゴミ箱。
……「るんちゃんは、いつもここにいるんだな」「るんちゃんの目には、いつもこんな景色が映っているんだな」なんて思っているんでしょうね。
<5>
間もなくトオルは、るんの隣の席に腰かけます。
そして、るんの席を見つめて呟いた「るんちゃん……」。
「もしも自分があと1年早く生まれていたら……るんちゃんと同じ教室で、同じ授業を受けることができたのに!」と考えているのでしょう。
トオルは「るんの席」ではなくて、「るんの隣の席」に座る
さて、いまご紹介したシーン。
トオルの切ない想いが伝わってくる名シーンですが……ご注目いただきたいのは、トオルが「るんの隣の席」に座るという点です。
「るんの席」ではありません。
トオルが座ったのは、あくまでも「るんの隣の席」です。
憂は「唯の席」に座る
ところで……「けいおん!!」(「けいおん!」シリーズ第2期)の第5話「お留守番!」には、こんなシーンがあります。
・1:唯ら3年生が修学旅行に出かけているある日のこと
・2:憂(唯の妹。唯のことが大好き。死ぬほど好き)が、ひょんなことから唯の教室を訪れた。教室は無人です
・3:憂は唯の席に座り、嬉しそうに言う「お姉ちゃんの机だ♥」。
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そう!
・トオル:「大切な人の隣の席」に座る
・憂:「大切な人の席」に座る
……なんですよ。
「大切な人の隣の席」に座る v.s 「大切な人の席」に座る
さぁ、いよいよ本題です。
「大切な人の隣の席」に座る。「大切な人の席」に座る。……この2つには、どのような違いがあるのでしょうか?
私見では、「大切な人の隣の席」に座る方が、ピュアな印象があると思うんですよね。「あー、本当に好きなんだね♥」「一緒にいたいんだね♥」と応援したくなる感じです。
それに対して、「大切な人の席」に座るという行為には……いかがでしょう。ピュアとは言いがたい欲求、つまりは【性的な欲求】や【大切な人と同一化したいという欲求】が感じられると思いませんか?
※性的な欲求:大好きな人の制服、体操着、ハンカチなどを見かけたらクンクンせずにはいられない。何ならその場で自慰を始めてしまう……なんてあの衝動です。
※大切な人と同一化したいという欲求:「一緒にいたい」ではなくて、「1つになりたい」「一体化したい」という気持ち。
つまり、
・「大切な人の隣の席」に座る:ピュアな印象
・「大切な人の席」に座る:アダルト/クレイジーな印象
……ですね。
「愛」と「ストーカー」の違い
「ファッション」を例に考えてみましょう。
大好きな人と出かける時に……「あの人はいつもスポーティな格好をしている。だから、私もスポーティな服にしよう。隣にいても違和感がないように♥」と考えるのか。
はたまた「あの人と同じメーカーの、同じブランドの、同じカラーの、まったく服を着るんだ♥」と考えるのか。
この違いです。
前者には「愛」を感じますよね。
一方後者は「愛」というよりも「ストーカー」、犯罪の臭いがプンプンします。
▶ 【補足】映画「ルームメイト」
「ルームメイト」という映画をご存知でしょうか?
この映画には、「同一化される側の恐怖(ルームメイトが、次第に自分そっくりになっていく!)」が描かれています。
★詳しくはこちらの記事をチェック! → 嗚呼、あなたもいなくなってしまうのね……。|『ルームメイト』(1)
よりクレイジーなのは、憂
そもそも……トオルと憂はよく似たキャラです。
・2人とも、万能タイプの優等生
・そして、幼い頃から共に過ごしてきた人物(るん、唯)を強く愛している
・その「愛」は、単なる「友情・家族愛」を遥かに凌駕、「執着」というか「依存」というか、そんなレベルに達しているように見える
まぁ端的に言って、2人ともちょっとヤバめのキャラです。「ヤンデレ一歩手前」と言ってもいいかもしれない。
そんな2人ですが……しかし。「愛する人の隣にいたいトオル」と「愛する人と一体化したい憂」。
よりクレイジーのは憂の方だと思うんですよね。
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(担当:三葉)
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