もしも斎藤一が新選組から命を狙われたら……!!|『コンドル』(2)
テーマ発表!!
前回に引き続き、映画「コンドル」をベースに新しい物語を妄想します。
※「コンドル」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「コンドル」は、CIAのインドア派分析官が、ある日突然殺し屋に襲われ、さらになぜかCIAにも殺されそうになり、誰も信用できない中たった1人真相に迫るサスペンスですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「コンドル」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。
嘉村 はい。
三葉 さて、「『コンドル』風物語」のアイデアをアレコレ妄想する前に……もう1つ!「『コンドル』風物語」に必要不可欠な要素を洗い出しておきましょう。
嘉村 承知しました。
三葉 ここまでご説明した通り、「コンドル」は「主人公が突然組織から命を狙われ、その組織と戦うことになる物語」です。一言で言えば、「『組織 v.s 個人』の物語」。
嘉村 ふむふむ。
三葉 したがって「『コンドル』風物語」には、第1に「組織(主人公が属する組織 = ある日、ふいに主人公に牙をむく組織)」、第2に「主人公の孤独」が必要不可欠なのです。
嘉村 「主人公の孤独」?
三葉 ええ。「『たった1人の個人』が『強大な組織』と対決する」というのが、「コンドル」の面白いところですからね。主人公をサポートする組織があってはまずいんですよ。
嘉村 なるほど。
三葉 そして「主人公の孤独」が必要ということは……そう!「主人公を孤独に追い込むイベント」も必要となる。「コンドル」では、序盤に主人公の職場が襲撃され、上司や同僚が皆殺しにされます。これによって主人公は孤独になり、物語が本格的にスタートするのです。……ここまでの話を整理してみましょう。
嘉村 「『コンドル』風物語」には、「組織」と「主人公の孤独」が必要不可欠。また、「主人公の孤独」のためには、「彼を孤独に追い込むイベント」が必要、と。
三葉 その通りです。
嘉村 ふむ。
三葉 さて前置きが長くなりましたが……以上を踏まえて「案①」は、「『コンドル』 ~『新選組』編~」!
嘉村 新選組!
三葉 ええ、みんな大好き新選組!すなわち……「案①」は、「幕末を舞台とした『コンドル』風物語」です。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ただし、史実からかけ離れたフィクション……「銀魂」や「るろうに剣心」のような物語とご認識ください。
嘉村 承知しました。
三葉 それでは、ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は、「新選組番 三番組」の組長・斎藤一。
嘉村 おっ、斎藤一ですか!
三葉 ええ、新選組最強の剣士・斎藤一です。
嘉村 ふむ。
三葉 ある日……斎藤が不在の時に、彼の部下が皆殺しにされる。
嘉村 上述の「主人公を孤独に追い込むイベント」ですね。
三葉 新選組の敵といえば、倒幕志士……今回の犯人も倒幕志士に違いない!斎藤は怒りに震え、復讐に乗り出そうとするのですが……ひょんなことから、犯人が新選組の内部にいることが判明する。
嘉村 内部犯!
三葉 仲間に刃を向けた裏切者は誰か?……芹沢鴨?新見錦?それとも武田観柳斎?まさか近藤勇や土方歳三とは思えぬが……いや、油断はできない。誰も信用できぬ。斎藤は身を潜め、1人真相に迫っていきます。
嘉村 ふむふむ。
三葉 やがて真相が明らかになる。犯人は、「新選組 五番組」組長の武田観柳斎。
嘉村 ほぉ。
三葉 武田は、あろうことか倒幕志士のスパイだったのです!「三番組」の組員は、彼が倒幕志士に情報を漏らしているところを偶然目撃してしまい、口封じのために殺されたのです。
嘉村 なるほど。
三葉 さて、斎藤が真相にたどり着いたのと同じ頃……独自に調査を進めていた土方歳三も、武田が犯人だと気づきます。
嘉村 おっ、「鬼の副長」こと土方歳三!
三葉 土方はすぐさま武田を暗殺し、事件を隠蔽しようとする。「きみの部下を殺したのは倒幕志士。武田を殺したのも倒幕志士。……わかったね、斎藤くん」。
嘉村 ふーむ……。
三葉 「新選組内部に倒幕志士のスパイが潜んでいた」……酷いスキャンダルです。新選組の恥です。組織の存亡に関わる問題です。かくして土方は事件の幕引きを図ったのですが……斎藤は、会津藩に真相をリークしてしまう。
嘉村 会津藩……。
三葉 ええ。そもそも新選組は、会津藩の庇護を受けている。その会津藩にリークするということは……ここではざっくり、「子会社の社員が、親会社に不祥事をリークした」くらいにお考えください。
嘉村 なるほど。ところで……斎藤は一体なぜリークしたのでしょうか?
三葉 理由は2つあります。第1に、「自らを守るため」。
嘉村 ほぉ。
三葉 斎藤は、新選組の恥部を知ってしまった。新選組のあらゆる不祥事をもみ消そうとする土方が、いつ口封じしようとするかわかりません。
嘉村 ふむ。
三葉 しかし会津藩に真相が知れ渡れば、いくら土方といえどもそう易々とは手を出せないだろうと考えたのです。
嘉村 なるほど。
三葉 そして2つ目の理由は「正義のため」。斎藤は想う……土方の判断は間違っている。本当に新選組を想うなら、この機会に膿を出し切るべきなのだ。
嘉村 ふむふむ。
三葉 かくして斎藤は会津藩にリークしたのですが……そんな斎藤を見て、土方がニヤリと笑う。斎藤は嫌な予感がする。土方は強大な力を持っている。今や、実質的に新選組を操っているのは彼だ。会津藩にも有力なコネクションがあるのかもしれない。そうだとすれば……斎藤はこの先どうなってしまうのだろうか……で、おしまいです。
嘉村 ふむ!
三葉 さて、以上のストーリーを「コンドル」と比較する形で整理してみましょう。
案②
嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。
三葉 はい。「案②」は、「『コンドル』 ~『異能力バトル』編~」です。
嘉村 異能力バトル!
三葉 ええ。例えば、「BLEACH」の「護廷十三隊」、「ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風」の「パッショーネ」、「HUNTER×HUNTER」の「ハンター協会」など、多くの「異能力バトルもの」には「組織」が登場します。
嘉村 確かに。
三葉 また、言うまでもなく「異能力バトルもの」の魅力といえば……そう!「特殊能力を持ったカッコいいヒーロー」です。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて前述の通り、「『コンドル』風物語」とは「『組織 v.s 個人』の物語」。……つまり、「組織」と「魅力的な個人」が登場する「異能力バトルもの」は、「『コンドル』風物語」と相性がいいと言えるのではないかと思うのです。
嘉村 なるほど……一理ありますね。
三葉 ここでは「BLEACH」の設定やキャラを拝借して、「異能力バトルバージョンの『コンドル』風物語」を考えてみましょう。
嘉村 承知しました。
三葉 まずは、「コンドル」との比較表をご覧ください。
嘉村 砕蜂(ソイフォン)が主役なんですね。
三葉 ええ。私の大好きな砕蜂です。
嘉村 ……。
三葉 さて、ストーリーはこんな具合。ある日……「護廷十三隊」の「二番隊」が、何者かの攻撃を受けます。唯一生き延びたのは、隊長の砕蜂。砕蜂は復讐を誓う……のですが、間もなく、犯人が「護廷十三隊」内部にいると判明する。
嘉村 ふむ。
三葉 裏切者は一体誰だろうか?……「一番隊」の山本元柳斎重國?「三番隊」の市丸ギン?「四番隊」の卯ノ花烈?それとも、「五番隊」の藍染惣右介?……誰もが怪しく見える。誰一人として信用できぬ。彼女は身を隠し、たった1人真相に迫っていきます。
嘉村 ふむふむ。
三葉 やがて砕蜂は、真相を突き止める。犯人は藍染惣右介。彼は、世界の禁忌に触れる恐ろしい計画を密かに進めていた。ところが、ひょんなことから砕蜂ら「二番隊」にバレそうになる。いや、バレたかもしれない。……藍染は秘密を守るために、口封じを図ったのです。
嘉村 なるほど。
三葉 砕蜂と時を同じくして、「護廷十三隊」の上位組織「零番隊」も真実にたどり着きます。彼らは、世界を統べる「王族」の指示に従って藍染を始末し、事件を隠蔽しようとする。
嘉村 ほぉ……。
三葉 何しろ、藍染の計画は世界の理を揺るがすものですからね。闇から闇へと葬らねばならぬのです。
嘉村 なるほど。
三葉 ところが「王族」の意向を無視して、砕蜂は真相を世間にリークしてしまう。理由は、「コンドル」や「案①」同様、「自分の身を守るため」、そして「正義のため」です。しかし、「王族」は強大な力を持っている。彼女はこの先一体どうなってしまうのだろうか……で、おしまい。
嘉村 ふむふむ。
三葉 以上、「BLEACH」の設定やキャラを拝借して、「異能力バトルバージョンの『コンドル』風物語」をご紹介しました。ご覧の通り、「BLEACH」や「ジョジョ」、「HUNTER×HUNTER」のような魅力的な「異能力バトルもの」を作ろうという時には、「コンドル」のストーリー構造が使えるかもしれません。ぜひご検討ください!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)