「魅力的なヒロイン」を要素分解する!|『妹さえいればいい。』に学ぶテクニック
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本記事では、「妹さえいればいい。」に【魅力的なヒロインの作り方】を学びます。
※「妹さえいればいい。」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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那由多を構成する要素
本作のヒロインは、可児那由多。
彼女はどのようなキャラか?なるべくシンプルに整理してみましょう。
【要素①】完全無欠の後輩キャラ
那由多の根底にあるのは、「完全無欠の後輩キャラ」という性質です。
具体的には……
▶ 明るい
▶ かわいい
▶ いつも笑顔
▶ 小柄
▶ 年下(主人公は20歳。那由他は18歳)
▶ 主人公に一途な恋心を抱いている
▶ 主人公を「先輩」と呼ぶ
▶ ついでに胸も大きい
※主人公:本作の主人公・羽島伊月のこと。那由多は伊月に恋をしている。詳細後述。
はい、完全無欠ですね。
そして、「この『完全無欠の後輩キャラ』に3つの要素を加えると那由多になる」と言えると思うんですよ。
どのような要素を付け加えると那由他になるのか、ご紹介しましょう。
【要素②】愉快なエロキャラ
まずは、「愉快なエロキャラ」という要素。
那由他は、隙あらば性的な言動を取ります。
初登場時の最初のセリフからして、「おつかれさまです、先輩。早速エッチしましょ♡」ですからね。
【要素③】天才キャラ
続いての要素は、「天才キャラ」。
彼女は、18歳にしてプロのラノベ作家です。しかも圧倒的な人気を誇っている。
その上、
▶ 執筆する時は全裸
▶ 〆切なんて気にしない
▶ メディアミクスの打診は数多いが、「忙しくなり、主人公に会えなくなるのが嫌だ」という理由ですべて断っている
▶ あまりの才能ゆえに、担当編集者が口を挟む余地がない
……などなど、いわゆる「天才エピソード」には事欠きません。
【要素④】心に闇を抱えているキャラ
最後の要素は、「心に闇を抱えているキャラ」です。
彼女は中学時代に酷いいじめに遭い、引きこもり生活を余儀なくされていました。
しかしその後、ラノベ作家になった。現在は、伊月ら素敵な仲間に囲まれて楽しく過ごしています。
したがって「いまではすっかり立ち直った」ように見える。
ところが第1話の終盤、ほんの一瞬ながらうつろな表情を浮かべるシーンがあるんですよ。
また、彼女の伊月への愛は常軌を逸しているように見えます。端的に言って、あまりにも重い。伊月にどっぷりと依存しており、健全とは言いがたい印象がある。
つまり……「現在はすっかり立ち直ったように見えるものの、心の奥底には闇を抱えている様子。いつか、ふとした拍子にダークサイドが露わになるのではないかという危うさを抱えているキャラ」なのです。
まとめ
以上、「那由多」を構成する4つの要素をご説明してきました。
彼女のほとんどすべての言動は、この4要素で説明できるはずです。
なお、この4要素はいずれも第1話で紹介されています。
つまり第1話を見終わった時点で、那由多がどのようなキャラなのか、鑑賞者がざっくり理解できる構成になっているのです。
【補足①】主にコメディリリーフ
那由多を構成する4つの要素の内、特に強く押し出されているのは「愉快なエロキャラ」という側面です。一方、「心に闇を抱えているキャラ」面は、ほとんど描かれていません。
つまり那由多は、作中でコメディリリーフ的な役割を担っているのです。
しかし、第6話で「伊月に敵対するキャラ(三国山蚕)」が登場した時には、コメディタッチではありますが……相手を呼び出し、「あの人の邪魔をしたら私が許さない!」と猛抗議。
「夫のために体を張る正妻」風の気丈な姿を披露しています。
また第11話では、那由多が伊月の言葉にデレる様子が描かれています。
普段は臆面もなくエロトークを繰り広げる彼女が赤面し、恥ずかしがる……このギャップが最高です!
【補足②】那由他は「エロキャラ」だが、「いやらしいキャラ」ではない
ここまで申し上げてきた通り、那由他は「エロキャラ」です。しかし、いやらしい感じはしません。
一体なぜでしょうか?
<理由①>
那由他の外見やふるまいは、上述の通り「完全無欠の後輩キャラ」。つまり、明るくてかわいい年下の女の子で、しかも主人公一筋です。
そんな彼女ですからね、「エッチしましょ♡」なんて言っても卑猥な感じはしない。
ビッチっぽいキャラが言うのとは大違いなのです。
<理由②>
みなさんご存知の通り、「オープンスケベ」には、「むっつりスケベ」のようないやらしさがありません。自らの欲望を内に隠そうとすればするほど、淫靡な感じが漂うものです。
では、那由他はどうか?彼女はじつにオープンです。
人前でも堂々と性的な言動を取る。カラッとした印象で、そこにいやらしさは感じられません。
<理由③>
那由他の言動はストレートです。
上述の「エッチしましょ♡」がわかりやすい例でしょう。自分の欲望をまっすぐぶつける。
「胸元が大きく開いたシャツを着て、谷間を強調する」「偶然を装ってパンツを見せる」なんて遠回しなことは一切しない。ゆえに、男性に媚びている感じがしない。
だからいやらしい印象がないのでしょう。
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(担当:三葉)