アニメ「咲-Saki-」第18話を6つの視点から分析する👀
※引き続き、アニメ「咲-Saki-」を分析します。本記事で取り上げるのは第18話。第17話以前を分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!
分析対象
あらすじ
【ポイント①】愛する人との繋がりがパワーの源なんだぜ!
<1>
華菜とゆみは、第16話~第17話で衣にコテンパンにやられた。最早心は折れたと思われた。
が、しかし。本話では反撃を加えるに至る!
はて、2人はなぜ心が折れなかったのだろうか?なぜファイティング・スピリッツを失わなかったのだろうか?
2人の力の源は、そう!<愛する人(美穂子、桃子)との繋がり>だ。
なお【愛する人が心に火をつける】という展開は第17話の繰り返しであり、「あー、また美穂子と桃子がきっかけで奮起するパターンね」という気がしないでもないが……この<百合・努力・勝利>展開こそが「咲-Saki-」なのである。
<2>
さて、<愛する人との繋がり>を武器に立ち上がった2人。
ところが、衣はこれを理解できない。「死におった心が何かに繋ぎ止められている!」なぞと戸惑っている。
衣は、<愛する人との繋がり>が力になることを知らないのかもしれない。あるいは、知ってはいるものの何らかの理由で目を背けているのかもしれない。
これ、<麻雀は強いが孤独である>という衣の性質が浮き彫りになるエピソードである。
<3>
では、我らが咲はどうか?
前話、咲は覚醒を始めた。きっかけは和からの激励だ。つまり、咲もまた<愛する人との繋がり>を力とするタイプのキャラなのだ。
しかし……ここからがポイント!
華菜とゆみは<愛する人との繋がり>だけを武器にして戦っている。一方の咲は<和との繋がり>に加えて、<裸足になる>というステップを踏んで完全覚醒に至る。
<4>
つまりは、
・【パターン1】華菜とゆみ:<愛する人との繋がり>だけが武器
・【パターン2】衣:<愛する人との繋がり>がない/理解できない
・【パターン3】咲:<愛する人との繋がり>に加えて、<裸足になる>という切り札を持っている
「さすがは主役。咲は他のキャラとはひと味違う!」と言えるだろう。
【ポイント②】よかったね、華菜!
<1>
本話前半、ようやく華菜の格好いいところが描かれた。
名言だってポンポン飛び出す。
・名言1:「あれ?誰か、牌いじった?」(前向きになったことで、世界が違って見えるようになったらしい)
・名言2:「もし神がいるのなら、前に向かう者を好きでいてくれるはず!」
・名言3:「天江……清澄以外は眼中になしか?点差にあぐらをかいてのうのうとしているきみに、目にものを見せてあげよう!」
・名言4:「さっきあたしを殺さなかったことを後悔させてやる!!」
・名言5:(リーチ棒を出しながら)「リーチせずにはいられないな!」
・名言6:(見事あがった後に、いつまでも私を無視するなという意味で)「そろそろまぜろよ!」
<2>
コーチにぶん殴られそうになったり(第7話)、衣にボコボコにされたり(第16話~第17話)、対戦相手たる咲に救ってもらうという恥辱を味わったり(第17話)……これまで華菜はさんざんだった。そんな彼女の快進撃が始まったのだ!
いやぁ、ここまで長かった!ただのお調子者キャラで終わらなくてよかった!嬉しいというよりもホッとした!
……まぁ本話後半になると、覚醒した咲を前にまたもや手も足も出なくなるわけですが。
【ポイント③】美穂子はうざいのか?
<1>
本話序盤、華菜の回想を通じて、美穂子が同級生(?)から「うざい」と思われていることが明かされた。
美穂子といえば聖女だ。聖女をうざキャラ扱いするとは、まったく不敬な連中である。
<2>
が、しかし。
「あー。言われてみれば、確かにうざいかもしれないなぁ」と感じた鑑賞者は少なくないと思う。
というのも……高校時代を思い出していただきたい。もしもあなたのクラスに、
・特徴1:常に右目をつむっている(中二病か?)
・特徴2:信じがたいほど優しい
・特徴3:あり得ないほど献身的
・特徴4:常人離れしてお人よし
・特徴5:すぐに泣く(もしや情動失禁?)
……という同性の生徒がいたらいかがだろうか?
うーむ。確かにうざいかもしれぬ。
【ポイント④】咲は、いかにして衣を攻略したのか?
<1>
ここでは、咲がいかにして衣を攻略したのか、そもそも衣の強さとは何だったのか、この辺りのことを整理してみたい。
<2>
▶ 前提
・1:衣は特殊能力を持っている。それは、<対戦相手の手牌をある程度読み取れるという能力>だ。
・2:対戦相手にチャンスが訪れるや否や、衣はそれを察知し潰してしまう。ゆえに、対戦相手はまったくあがれなくなる。
藤田プロは、第17話でこんなことを言っている「お前さ、そろそろ麻雀を打てよ。いまのお前は麻雀を打たされているだけだ」。
彼女は、「<相手のチャンスを素早く察知してそれを叩き潰し、そして自分だけあがる>だなんて、麻雀ってそんなもんじゃねぇだろうよ」「麻雀ってのは、誰があがるかわからない、そんな緊張感の中で打つものじゃないのかい?」と言いたかったに違いない。
<3>
▶ 対策
・1:はて。衣を打ち倒すにはどうすればいいのか?大きな役を狙いにいけば、あっという間に察知され、潰されてしまう。
・2:では、小さな役ならどうだろう?それなら大丈夫。衣のセンサーは稼働しない。衣に潰されず、あがることができるだろう(実際、咲は3連続であがっている)。しかし問題がある。それではいつまで経っても衣に追いつけないのだ。
<4>
▶ 秘策
・というわけで!衣を打ち倒すには、<衣のセンサーに捕捉されるよりも早く(= 超短期間の内に)大きな役を作り、あがる>という離れ業が必要なのだ。
藤田プロは言う「衣、感覚に頼るな!咲はお前の感覚を超越している!」。
<感覚>とは、【迅速に危機を察知してそれを潰す】という衣の能力を指している。一方<お前の感覚を超越している>とは、【衣が察知するよりも、咲が大きな手を作る方が速い】という意味だ。
そして……藤田プロの読みは正しかった。
咲はたった1巡の内に3回カンすることで、あっという間に大きな役を作り上げてしまった。衣が察知した時にはもう遅い!かくして、咲は見事大きな役であがったのだ。
衣は驚愕する。まさか、この私がこんな大きな手であがられるとは!
衣曰く「テンパイ気配のない安手のイーシャンテンから、いきなり倍満をあがる相手!?衣の支配の及ばない淵底の向こう……王牌から牌を掠めていく敵!」。
咲のこのあがりは、衣にとってはまったく予期せぬところからの一撃。格闘技でいえば<見えないハイキック>、近代兵器でいえば<長距離ミサイル>に該当するものであって、実際のダメージ以上に精神的な衝撃が大きかったと言えるだろう。
【ポイント⑤】天才にはわかっている
<1>
本話後半、咲は突如安手であがりまくる。
皆は驚く。そんな安い役では、到底衣に追いつけぬぞ!まさか優勝を諦めてしまったのか!?
誰もが咲の行動を理解できない。和ですらテレパシーを送るほどだ。
<2>
……とまぁ、こんな【天才キャラが奇行を繰り広げる → 他の者には、彼の真意がわからない。自滅にすら見える → ところが、それが大逆転への布石だったのだ!】という展開、じつに燃えるものがある。ワクワクする。
【ポイント⑥】咲の無邪気さ
<1>
ラストシーン、「逆転できると思っているのか?」と問う衣。
対する咲は朗らかに微笑んで「うん。勝つよ!麻雀部の皆で全国に行って、お姉ちゃんと仲直りして、また家族一緒に暮らすんだ!」。
嗚呼、この無邪気さよ!
最強の敵を前にして臆することなく「勝つよ」と断言するのが無邪気なら、全国に行きさえすれば<お姉ちゃんと仲直りして、また家族一緒に暮らす>という夢が叶うと思っているのもまた随分と無邪気。
<2>
咲はあまりにも無邪気だ。
考えてみれば、家族離散などなかなかどうしてハードな人生を送っているはずなのだ。
それにも関わらず、この穢れを知らぬ無垢っぷりよ!これぞ咲の魅力なのだと思う。美穂子が聖女なら、咲もまた聖女なのかもしれない。
しかし……あまりにも無邪気すぎてちょっと怖い気もする。
続きはこちら!
関連記事
・この<王道感>溢れるオープニングよ!!|【第1局:出会い】「咲-Saki-」に学ぶ
・主人公が覚醒するには、<強く美しいライバル>と<鋭い観察眼を持つ先輩キャラ>が必要!!|【第2局:勝負】「咲-Saki-」に学ぶ
・説教が始まるかと思いきや百合展開!!|【第3局:対立】「咲-Saki-」に学ぶ
・浮かれるな!現実を見ろ!地に足をつけろ!……そして強化合宿へ|【第4局:翻弄】「咲-Saki-」に学ぶ
・いま、ついに、主人公たちの足並みが揃った!!|【第5局:合宿】「咲-Saki-」に学ぶ
・鑑賞者に今後の展開を予想させ、期待を膨らませ、「あー、早く続きを見たい!」とワクワクさせるテクニック!!|【第6局:開幕】「咲-Saki-」に学ぶ
・風越女子と福路美穂子の<ギャップ>の魅力♥|【第7局:伝統】「咲-Saki-」に学ぶ
・<百合>と<ちょいエロ>を使って、重すぎず軽すぎない絶妙なバランスの物語を作る!!|【第8局:前夜】「咲-Saki-」に学ぶ
・構成の妙!鑑賞者をミスリードしまくれ!!|【第9局:開眼】「咲-Saki-」に学ぶ
・鑑賞者が思わず<下世話な妄想>を膨らませてしまう展開や演出をぶちこむ!!|【第10局:初心者】「咲-Saki-」に学ぶ
・久はジョセフ、ネテロ、カイトに匹敵する曲者キャラである!!|【第11局:悪戯】「咲-Saki-」に学ぶ
・隙あらば百合!でもやっぱり主人公カップルが最高だと思う!!|【第12局:目醒め】「咲-Saki-」に学ぶ
・透華はあまりにも格好いい!なぜこれほどに魅力的なのか?|【第13局:微熱】「咲-Saki-」に学ぶ
・アニメ「咲-Saki-」第14話を7つの視点から分析する👀
・アニメ「咲-Saki-」第15話を7つの視点から分析する👀
・アニメ「咲-Saki-」第16話を5つの視点から分析する👀
・アニメ「咲-Saki-」第17話を5つの視点から分析する👀
---🌞---
関連
---🌞---
最新情報はTwitterで!
---🌞---
最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)