「既存キャラの関係」をいじくれば、物語は面白くなる!!|『俺を好きなのはお前だけかよ』に学ぶテクニック
名作アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「俺を好きなのはお前だけかよ」に【「既存キャラの関係」を更新することで物語を面白くするテクニック】を学びます。
※「俺を好きなのはお前だけかよ」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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安易なキャラ追加は危険!
物語に、新しい展開がほしい。ストーリーに、意外性や驚きがほしい。
そんな時に使える最も手軽な方法は、そう、新キャラを登場させることです。新しい敵キャラ、新しいヒロイン、謎の転校生などなど、確かに物語はフレッシュになる。
しかしですね、端的に言って、安易なキャラ追加ほどクソなことはないと思うんですよ。
だって、ストーリーを進めるためだけに登場した都合のいいキャラが、魅力的なはずがないじゃないですか!鑑賞者はバカではない。ご都合主義だなぁと感じ、冷めてしまうでしょう。
また、キャラが増えれば、その分1人1人を深堀りする余裕がなくなります。結果、テンプレ的なキャラばかりになる。そして多くの鑑賞者は、そんな薄っぺらなキャラに興味や好意を抱くことはありません。
最悪ですね。ではどうすればいいのか?
既存キャラの関係をいじくる
ズバリ、キャラを増やす前に、まずは「既存キャラの関係を更新できないだろうか?」と検討すべきだと思うのです。
既存キャラの相関図に新しい矢印を入れたり、それまでとは異なる方向に矢印を向けたりすれば、キャラを追加せずとも、フレッシュな物語を作り得るでしょう。
また、既存キャラの新たな一面を明かすことで、鑑賞者がそのキャラに興味や好意を抱くきっかけにもなるはずです。
「俺を好きなのはお前だけかよ」の場合
本記事では、「既存キャラの関係を更新しまくることで物語を二転三転させ、『果たしてこの先どうなってしまうのだろう!?』と鑑賞者の関心を惹き続ける作品」の例として、アニメ「俺を好きなのはお前だけかよ」の第1~3話を取り上げます。
※第3話で事件が解決して一区切りとなるため、本記事では第4話以降には触れません。
以下、ストーリーをご紹介しつつ、詳しくご説明します。
「主要キャラ4人(途中から5人)の関係が、いかに変化しまくるか」、そして「その人間関係の変化が、どのような面白さを生み出しているか」という点にご注目ください。
関係①
「俺を好きなのはお前だけかよ」の第1話冒頭、人間関係はシンプルです。
まず、登場人物は4人。
▶ 主人公:高2男子。生徒会メンバー。
▶ 幼馴染:高2女子。主人公の幼馴染で、クラスメイト。かわいい。
▶ 生徒会長:高3女子。主人公の先輩。誰もが憧れる美人。
▶ 親友:高2男子。主人公の親友。野球部のエースで、性格も最高。
そして彼らの関係は……【幼馴染】と【生徒会長】が主人公に惚れているらしい。
まぁ、いかにも「ハーレムアニメ」らしい出だしですよね。
関係②
ところが、第1話の中盤で事態が急変します。
「【幼馴染】と【生徒会長】が主人公に惚れている」というのは、主人公の誤解だったのです。じつは2人は、【親友】に恋をしていました。
関係③
さらに……【幼馴染】が主人公に言いました「私、あなたの【親友】が好きなの!仲を取り持ってほしいの」。
【生徒会長】も主人公に言いました「私はきみの【親友】が好きなんだ!仲を取り持ってくれないかな」。
主人公はショックを受けます(そりゃそうだ)。
一方鑑賞者は意外な展開に驚き、そして主人公があまりにも哀れで噴き出してしまうでしょう。
しかし、主人公はふと思いつく。
すなわち、【幼馴染】と【生徒会長】は、共に【親友】に惚れている。ゆえに、どちらか一方は必ず失恋することになる。したがって……「2人を誠実に応援し、好感度を高めておこう。そして、あぶれた方と付き合おう!」。
ゲスな話ではありますが、彼の気持ちはわかりますよね。何しろ男子高校生です。【かわいい幼馴染】か【美人の生徒会長】のどちらかと付き合えるとなれば、張りきるに決まっている。
かくして人間関係は、以下の通り変化します。
以上が第1話の前半(Aパート)です。
多くの鑑賞者は、テンポのよさに惹きつけられるでしょう。4人の関係がどんどん更新されていくため、一切退屈することがないのです。
関係④
さて、主人公が【幼馴染】と【生徒会長】の恋をサポートをする一方で、5人目の主要キャラ【図書委員】が登場します。
▶ 図書委員:高2女子。地味でブス、おまけに毒舌。
【かわいい幼馴染】や【美しい生徒会長】と比べるまでもなく、とんでもないゲテモノ。主人公は、なるべく関わらないようにしようと考えます。
ところが彼女は、「ヒヒヒッ」と気色悪い笑みを浮かべながら、主人公にすり寄ってきた。主人公は顔を青くする。嫌な予感がする……。
そして、【図書委員】が言いました「私ね、あなたのことが好きなの」。
主人公が絶叫する「俺を好きなのはお前だけかよ!」。
人間関係が随分と複雑になってきましたね!
関係⑤
主人公は、引き続き【幼馴染・生徒会長】と【親友】の仲を取り持つべく奮闘します。
ところが……やがて衝撃の事実が明らかになる。
すなわち、【親友】は恋をしていた。相手はまさかの【図書委員】です。主人公は言葉を失う。
さぁ、複雑になってまいりました!
鑑賞者の胸が高鳴る。一体この先どうなるのだろう?
関係⑥
主人公は友情に厚い少年です。彼は頭を抱える。このまま【幼馴染】と【生徒会長】を応援していいのだろうか?それでは【親友】の恋心を無視することになるのではないか?
かと言って、乗りかかった舟です。【幼馴染】と【生徒会長】を切り捨てるのも心苦しい。
主人公は戸惑いながらも、【親友】と【図書委員】の仲を取り持つような行動に出る。
主人公は基本的に善人なのでしょうが……ここまでくると、八方美人と言わざるを得ませんよね。
そして鑑賞者は思うでしょう「八方美人がいつまでも続くわけがない」。
そう、彼らの関係はいつ破綻するとも知れません。
果たして一体どうなってしまうのか!?鑑賞者はドキドキしながら画面を凝視することになる。
関係⑦
さて、ここで物語が大きく動きます。
ひょんなことから【幼馴染】と【生徒会長】が、「【親友】は【図書委員】に恋をしている」と気づいたのです。
そして2人は「愛する人の幸福こそが、私の幸福」と考え、涙を飲んで【親友】の恋を応援するようになる。
関係⑧
それと同時に、【幼馴染】と【生徒会長】はとんでもない誤解をしてしまいます。
すなわち、「主人公は私たちを応援すると言いながら、陰で【親友】と【図書委員】の仲を取り持とうとしていた!よくも騙したな!裏切者!」。
さらに【親友】も同様の誤解をする。「【幼馴染】と【生徒会長】の恋心を弄んでいたのかよ!?最低なヤツだな!」。
かくして、嗚呼哀れ!みなを応援していたはずの主人公が、突如【幼馴染】【生徒会長】【親友】の怒りを買ってしまった!
主人公は仰天。誤解を解こうとします「そんなつもりじゃないんだ!」。
しかし3人は、主人公の言葉に耳を貸しません。
さらに、「主人公が【幼馴染】と【生徒会長】の恋心を弄んでいたらしい。最低の男だ」という噂が広がり、彼はクラス全員(学年全員?)から白い目で見られるようになる。
その後、じつは【親友】が黒幕、彼は主人公に恨みを抱いており、主人公を孤立させてやろうとして今回の一件を企んだのだったと明かされるのですが……ここでは、詳細は割愛します。
まとめ
以上、第1~3話の「既存キャラ4人(途中から5人)の関係の変化」をご覧いただきました。
既存キャラの関係を更新し続けることで物語を二転三転させ、「果たしてこの先どうなってしまうのだろう!?」と鑑賞者の関心を惹き続ける……じつに見事ですよね!
みなさんも、ぜひこのテクニックを使ってみてくださいね!
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(担当:三葉)