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アニメ「咲-Saki-」第16話を5つの視点から分析する👀

※引き続き、アニメ「咲-Saki-」を分析します。本記事で取り上げるのは第16話。第15話以前を分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!


分析対象


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あらすじ


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【ポイント①】衣の無双っぷりはいかに描かれているか


<1>

まずは、本話の構成をざっくり整理してみよう。


・Step 1:衣が沈黙を破り、恐ろしいことを言う「去年は本調子ではなかった。まだお前たちと同じ<人の土俵>に立っていたからな」

・Step 2:衣が能力(<支配>)を発動

・Step 3:まずは、咲らがテンパイできなくなる

・Step 4:続いて、衣が海底撈月であがる

・Step 5:さらに、衣は海底撈月で連チャン

・Step 6:だが、ゆみと咲が連携プレー。どうにか衣を食い止める。続いて、ゆみが頭脳プレーを披露

・Step 7:咲とゆみは「いけるかもしれない!」と希望を持つ

・Step 8:と次の瞬間、衣は禍々しいオーラを放った。そして衣はいともたやすく連チャンする。しかも今度は海底撈月ではない


<2>

さて、最初にご注目いただきたいのは【Step 1】

衣が実際に能力を発動する前に、まずは鑑賞者に「これからヤバいことが始まるっぽいぞ」と予感させる構成になっているのだ。


鑑賞者は「えっ、何が始まるの!?」と興味津々。気になって仕方がない。ゆえに画面に釘付けになるだろう。

見事な構成である。


<3>

次にご注目いただきたいのは【Step 6~7】


改めてまとめると、本話は【衣のヤバさをじっくり描く(Step 2~5) → 束の間の希望(Step 6~7) → あっという間に希望は潰され、さらなる絶望が訪れる(Step 8)】という構成になっている。

この<束の間の希望>が重要だと思うのだ。


例えば、ホラー作品を思い浮かべてみよう。

【最初から最後まで、主人公が化け物に追いかけ回される作品】があったとする。これ、面白いだろうか?

答えは否。

恐怖一本槍ではダメだ。単調すぎる。鑑賞者はすぐに飽きてしまうに違いない。


では、どうすればいいか?

【化け物が主人公を追いかけ回す → 主人公がどうにか逃げ切る。「助かった!」とホッと一息 → 直後、化け物再登場】という展開にすればいい。

そう、鑑賞者が<恐怖(緊張)>に飽きる前に、<ひと安心(弛緩)>を挟み、そして再び<恐怖(緊張)>に突き落とす。こうすれば、鑑賞者は飽きることがない。


本話もこれと同様だ。衣のヤバさが延々と描かれるだけでは退屈してしまうだろう。

しかし、<束の間の希望>が挟まると……鑑賞者は「おー!ゆみは格好いいなぁ!」「ゆみと咲がタッグを組めば、衣を倒せるかも!」と希望を抱く。で直後、それを叩き潰す。

このメリハリだ!

私たち鑑賞者は飽きることなく、画面に釘付けになるだろう。


【ポイント②】衣と月


<1>

初めて海底撈月を繰り出すシーンで、衣はこんなことを言う「役の名前の意味は……海に映る月をすくい取る!海底撈月!」

そしてこの時、【衣の背中から、化け物の如き2本の腕が伸びる → 腕が、海面に映る月をすくいあげる】という映像が流れる。


<2>

<海面に映る月>、つまりは単なる反射だ。そこに月は存在しない。ところが、衣はそれをすくいあげるのだ!

つまりは、【人間には決して触れ得ぬものをすくいあげる】という演出である。衣の能力がいかに強大で、この世界の理を無視したものかよくわかる。


<3>

さらに透華曰く、衣の力は満月の夜に最大に達するという。


どうやら、衣は月と親和性の高いキャラのようだ。

まるで月野うさぎか、人狼である。


【ポイント③】ゆみが格好いい


<1>

前話の終盤に引き続き、本話でもゆみが格好いい。

すなわち……人間離れした衣の能力に恐怖しつつも、しかしゆみは、咲のように萎縮したりはしない。華菜のように振り込みまくって持ち点を減らしたりもしない。

ゆみは頭をフル回転させ、ポーカーフェイスで最善手を打ち続ける。仲間たち(鶴賀学園の部員たち)は、そんなゆみを頼もしそうに見つける

まるで主役だ!


<2>

ところが。そんなゆみも、本話後半で衣が強大なオーラを放った時には血相を変え、思わず立ち上がる

衣がいかに恐ろしい存在かよくわかるシーンである。


【ポイント④】哀れなる華菜


<1>

風越女子の華菜……本話で最も哀れなのは彼女だ。

何しろ、

・哀れ1:華菜は、咲やゆみと共に衣にコテンパンにされる

・哀れ2:さらに、華菜だけはゆみにも振り込んでしまう

・哀れ3:その結果、華菜(風越女子)は大幅に持ち点を減らす

・哀れ4:その上、華菜だけが衣のオーラを感じ取れない(麻雀力が弱いのだろう)


<2>

名門風越女子の大将である以上、彼女だって相当の打ち手に違いない。

しかし……相手が悪すぎる!何しろ、卓を囲むのは<魔物×2/魔物を討たんとする勇者>である。そりゃ勝ち目はない。


本話の華菜は、<衣ら3人の常人離れした力を鑑賞者に伝えるためのやられ役>なのだ。

うーむ、じつに哀れ。


【ポイント⑤】衣のオーラと咲


<1>

ここでは、<衣のオーラを感じ取った咲のリアクション>に注目してみよう。


咲が、初めて衣のオーラを感じたのは第9話の終盤である。咲は「これは何!?」と動揺し、身を震わせた

その後も、咲は何度か衣のオーラを察知して体を震わせる


<2>

で、本話だ。

まずは序盤、衣が禍々しいオーラを放った時。咲は体を震わせ、さらに涙を流した

ちなみに、咲は泣きべそをかきながらこんなことを言う「おトイレ行っとけばよかったよぉ」(あざとい……そしてかわいい♥)。


<3>

さらに本話終盤、衣がより一層強力なオーラを放った時。咲は思わず吐きそうになる。


つまり、【全身の震え → 涙 → 吐き気】というわけだ。



続きはこちら


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(担当:三葉)

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