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川崎駅前こそが俺たちの武道館だ! ~春アニメ「ガールズバンドクライ」5-6話の研究【上】

👉本記事は、オンライン座談会「アニメ語り」(5月11日実施/参加者は清水と村上)の要約です。完全版は以下の動画でご覧ください。なお、ラジオ形式の動画ですので作業用BGM感覚でお聞きいただけます👂


👉以下の🎙️0:00~」は動画の経過時間です。例えば「🎙️0:45~」に気になるトピックがある場合には、動画の「0分45秒」辺りから再生してみてください。




🎙️0:45~

  • 6話、仁菜たちが武道館でライブすることを目標(の1つ)として掲げる。しかし、彼らが武道館のステージに上がる日は本当に来るのか?

  • 武道館といえば、「けいおん!」第12話の名ゼリフ「ここが、いまいるこの講堂が、私たちの『武道館』です!」を思い出す。そして仁菜たちのフィールドが川崎であることを踏まえると、「ここが、いまいるこの川崎駅前が、私たちの『武道館』です!」「ここが、いまいるこの多摩川の河川敷が、私たちの『武道館』です!」になる可能性が高いのではあるまいか。

  • 武道館でライブするということは、すなわちプロになるのと同義だろう。だが、果たして仁菜たちは本当にプロになるのか?このナイーブな時代に、中指を立てるようなやつが本当にプロになれるのか?

  • また、「すばるちゃんが安和天童の孫娘であるという点を全面的にアピールして話題作りに活かしましょう」と事務所がごり押し、かくしてすばるがブチ切れてデビュー前に契約破棄なんて展開もあり得るのではないか?


🎙️4:06~

  • ライブ後、仁菜はいつも声が枯れている。これは「ライブで生命を燃やしている」「生命を燃やして歌っている」ということのメタファーではあるまいか?つまり、仁菜は早死にしそう

  • 桃香や智も、仁菜同様に生命を燃やして演奏するタイプに見える。したがって彼らも寿命は短そう

  • 最終回は、皆で仁菜の墓参りに行くか、仮に生存ルートを進んだとしても仁菜はもう歌えなくなっている可能性がありそう。


🎙️5:40~

  • 本作はどこで終わるのか。普通に考えると、バンド活動が軌道に乗り始めたところで「俺たちの戦いはこれからだエンド」を迎えるのだろう。

  • 最終話のラストカットで「2期制作決定!」「映画化決定!」と報じられる可能性もありそう。

  • ダイダスのメンバーを主人公としたアナザーサイドを作る可能性もなくはない。つまり「MyGO!!!!!」路線である。なお、この場合には仁菜が客観的に描かれることになる。いまは主人公補正がかかっているものの、それが外れるため、彼女がいかにヤバい女かよくわかりそう。


🎙️6:51~

  • 5話、仁菜たちがいつものように吉野家に行くシーン。よく見ると、カウンターに突っ伏しているサラリーマンらしき男性が描かれている。居酒屋ではあるまいし、「サラリーマンが突っ伏している牛丼屋」はなかなかどうして珍しいのではあるまいか。かなり治安が悪そうな印象を受けた。

  • と同時に、「こういう街だからこそ仁菜にも居場所があるのだし、仁菜と桃香が喧嘩しても大ごとにはならないのだろう」「やはり『ここが、いまいるこの川崎が、私たちの『武道館』です!』になりそうだな」と感じた。


🎙️8:23~

  • 上述の通り、仁菜たちは武道館ライブを目標(の1つ)として掲げた。しかし武道館は千代田区にある。仁菜たちに千代田区は似合わないだろう。

  • 第1話序盤。田舎から出てきたばかりの仁菜は間違って東京駅に行ってしまい、その後川崎にたどり着く。「東京には仁菜の居場所はない」「仁菜のいるべき場所は東京ではない」ということを示唆しているのではあるまいか。

  • 東京は日本の中心である。「東京には仁菜たちの居場所はない」「仁菜たちのいるべき場所は東京ではない」ということは、つまり本作は「中心では生きられない人たちの物語 = 周縁に生きる人たちの物語」といえるのかもしれない。


🎙️11:03~

  • 5話、仁菜がダイダスの過去をあまり知らない、桃香以外のメンバーについては知識がないということが明らかになった。そう、彼女は桃香以外には興味がないのだ。

  • 仁菜にとって世界は「自分の大好きなもの」と「どうでもいいもの」に二分されており、その中間に位置するものがほとんどないというのが彼女の認知上の特徴(もしくは「問題」)だと感じた。


🎙️13:04~

  • 桃香は1-4話では「頼れるお姉さん」という感じだった。彼女はどうしようもない仁菜を受け入れ、仁菜を音楽の道に導いてくれた。

  • とはいえ、一緒に音楽をやろうと誘っておきながら自らの過去は語りたがらないなど怪しいところも散見された。また、5-6話ではバンドの今後について話すことを嫌がる。つまり、桃香は過去の話も将来の話もまともにできないのだ

  • さらに、定職にも就かず、かといって音楽で食っていこうともせず、さりとて地元に戻ることもなく……この先どうするんだ!?

  • こう考えてみると、彼女はちっとも「頼れるお姉さん」ではない


🎙️14:42~

  • 1-4話、桃香は少なくとも表面的には「頼れるお姉さん」だった。正確には、かつてのバンドメンバーとの別れがトラウマになっており、夢を語ったり本音をぶつけ合ったりするのを恐れているのだろう。その結果として、「物わかりのいいお姉さん」っぽくなっていたのだと思う。

  • だが、5話でかなり大きな変化があった。居酒屋では妹分の仁菜と真っ向からぶつかったり、珍しく酔っ払ったり、帰り道では自らの弱いところをさらけ出したりした。つまり、自らのダメなところ・どうしようもないところを仁菜たちに開示しつつある

  • また6話では、仁菜とすばるが2人きりで行動するシーンが目立っていた。例えば吉野家。これまでは3人で訪店し、3人で牛丼を食い、桃香が3人分の金を払っていた。ところが今回は桃香がいない。完全に子離れである。「保護者と子ども」という関係を脱し、いよいよ「対等なバンド仲間」になろうとしているのだと思われる。


🎙️16:15~

  • 6話、「メンバー同士の相性が最悪でも、それでも不思議と続くバンドもある」とルパが語る。

  • ここで思い出すのが「MyGO!!!!!」である。愛音たちは一般的には「相性最高」とは言い難いはずだ(ある意味では相性抜群なのかもしれないが……)。一方、「ぼっち・ざ・ろっく!」の結束バンドはかなり相性がよさそう。何しろ皆で江ノ島に行ってしまうくらいである。MyGO!!!!!の5人が江ノ島に行くことはないだろうし、もし行ったとしてもそよさんが「展望台に登りたいの?ほんと愛音ちゃんは高いところが好きだね。煙みたい」なんて嫌味を言うのは必定である。トゲナシトゲアリはどちらの路線に進むのか?

  • MyGO!!!!!のメンバーと比べると、トゲナシトゲアリはかなりまともに見える。前者はほとんど全員が社会不適合者だが、後者で本当にヤバいのは仁菜くらいなものだろう。また、このように比較すると結束バンドがぼっちちゃんにとっていかに恵まれた環境だったのかよくわかる。例えば、もしも結束バンドに仁菜がいたら、ぼっちちゃんは早々に離脱してしまうのではないか。


🎙️21:19~

  • 「ぼっち・ざ・ろっく!」の山田りょうは、かつて別のバンドに所属していた。しかしメンバーが売れ線を意識するようになり、かくして脱退するに至った。トラウマというほどではないにしろ、その時の出来事がいまも脳裏にこびりついているのは間違いないようだ(「ぼっち・ざ・ろっく!」4話アバンを参照)。つまり、りょうと桃香には近しいところがある

  • 一方、お金に対する態度・考え方は大きく異なるようだ。借金を重ねたりすぐに散財したりするりょうに対して、桃香は地道に働いて後輩2人にごちそうしてやる。

  • 結束バンドの知名度を上げるためにぼっちちゃんに水着を着せようと企んだことがあるりょう。一方、すばるの写真をアップすることでSNSのフォロワー数を増やそうと考えた仁菜。こう考えると、仁菜とりょうもまた近しいところがありそうだ


🎙️22:32~

  • 仁菜はおそらくは大学に進学しないのだろう。

  • 5話には予備校で勉強する姿こそ描かれていたものの、しかし桃香の歌を聞いてにやついたり、隣の席の少女にチケットを譲ったりしており、勉強に身が入っているとは思えない。さらに6話では、勉強する様子は一切描かれなかった

  • 仁菜からチケットをもらった少女は、「あと3枚頂戴」と声をかけたところ、なぜかいきなりキレられる。それにもかかわらず、よくぞまぁライブに来てくれたものである。よほど音楽が好きなのか、仁菜のイカれっぷりに興味を惹かれたのか。いずれにせよ、「この子なら仁菜と仲よくやっていけるかもしれない」と感じた。場合によっては、あの少女が仁菜にどはまりして貢ぐようになるなんて展開もあるかもしれない。


🎙️24:02~

  • 6話、智がついに本格的に登場した。

  • 6話アバン、彼女は救急車のサイレンに対して「何なの!?」とキレる。「救急車のサイレンにキレる」というのはまぁ自己中心的・反社会的な態度であり、何かとナイーブでセンシティブないまの時代にあっては挑戦的な描写と感じた。しかしこの挑戦的な描写のおかげで、アバンを見ただけで「相手が救急車だろうがなんだろうが噛みつくって……うむ!こいつなら仁菜と仲よくなれるだろう(笑)」と感じた。

  • ところが、喫茶店で仁菜たちと向き合うシーンになると、智はまったくしゃべらなくなる。彼女はずっとストローをくわえたままだ。これは「他人としゃべるのは苦手だが、かといって黙っているのも落ち着かない。ゆえにストローを噛み続けている」といういかにもコミュ障らしい行動であって、素晴らしい描写だと感じた。

  • しかし喫茶店を出た後のシーン、エレベーターの中では今度は智は音楽事務所の悪口を言い始める

  • つまり智は、口を開けば暴言、それ以外は沈黙……「暴言or沈黙」の人間である。「攻撃的なコミュ障」とでも呼ぶべきか。かなりヤバいやつであって、大変惹かれる。


🎙️26:42~

  • 6話、智とルパは同居してそうな雰囲気だった。また、経済的に余裕があるようには見えない。いかにも人生を音楽に捧げているという感じがあってワクワクする。好感が持てる。

  • 智とルパの過去については、これからしっかり描かれるのだろう。

  • 例えばルパ。彼女は「南アジア出身」という設定になっている。彼女がどのような経緯で日本にやってきたのか、次話以降で語られるに違いない。しかしその一方で「いまの時代、メンバーに1人くらい外国人がいてもおかしくないでしょ?当たり前のことでしょ?」というわけで、日本に来た理由などが一切描かれないというのも現代的で面白いかもしれない。


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