非リア充JKだってミスコンに出たい!!|『ナポレオン・ダイナマイト』(2)
テーマ発表!!
前回に引き続き、映画「ナポレオン・ダイナマイト」をベースに新しい物語を妄想します。
※「ナポレオン・ダイナマイト」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「ナポレオン・ダイナマイト」は、スクールカースト下位の非リア充高校生が、「皆から認められたい!」という願い(承認欲求)を叶えるまでの物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「ナポレオン・ダイナマイト」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 それでは以上を踏まえて「案①」ですが……ズバリ!「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『非リア充JKだってミスコンに出たい!』編」です。
嘉村 ミスコン!
三葉 「ナポレオン・ダイナマイト」と比較すると以下のようになります。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……舞台は、日本の田舎の高校。主人公は非リア充JKです。
嘉村 ふむ。
三葉 「ナポレオン・ダイナマイト」の主人公・ナポレオン少年同様、彼女も「承認欲求」(「皆から認められたい!」という願い)を抱いている。……ちなみに「承認欲求」と聞くと、「出しゃばり/下品/うるさい」なんて感じる方もいるかもしれませんが、それは違います。人間誰だって、多かれ少なかれ承認欲求を持っているものです。
嘉村 ええ。
三葉 ましてや、思春期の少年少女となればなおのこと。
嘉村 確かに。
三葉 ところが、我らが主人公は非リア充です。勉強も運動もパッとしない。相貌は美人とは言いがたく、スタイルもまぁコメントしづらいものがある。性格も暗い。彼女は同級生から小バカにされ……承認欲求を満たせず、毎日悶々と過ごしていた。
嘉村 なるほど。
三葉 そんなある日、転校生(以下、A子)がやって来ます。A子は一見して非リア充の少女。「類は友を呼ぶ」と言う通り、主人公とA子はすぐに親しくなりますが、じつは彼女らには1つ大きな違いがあった。……そう、A子はめったやたらと行動的だったのです!
嘉村 ほぉ。「行動的」と言うのは……。
三葉 「アクティブ」で、ついでに「メンタルが強靭」。つまり、「よくも悪くも空気が読めないキャラ」。「ナポレオン・ダイナマイト」では、ペドロ少年がこのキャラに該当します。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ちなみに、ペドロ少年の「アクティブ&強メンタル」っぷりを象徴するエピソードを振り返ってみると……。
三葉 A子も、ペドロ少年のように「アクティブ&強メンタル」です。そして、そんなA子と一緒にいる内に主人公の毎日も充実してくる。……が!ご注意ください。この「充実」はまやかしのものです。
嘉村 ほぉ……。
三葉 だって、彼女自身は何もしていない、何も変わっていないのですから。主人公は、A子のおこぼれにあずかっているにすぎません。したがって、一見彼女の人生はよりよい方に向かっているように見えて……彼女の願い(承認欲求 = 「皆から認められたい!」)が叶うことはない。むしろA子に依存しているという点で、「願いから遠ざかっている」とすら言えるのです。
嘉村 なるほど。
三葉 と、そんなある日、A子が文化祭のミスコンに立候補する。
嘉村 それは……。
三葉 じつに無謀!あまりにも無謀!
嘉村 ええ、ちょっとね……。
三葉 生徒も教師も、「こいつ、とうとう頭がいかれたか……」と呆気にとられる。ライバル候補は学校のマドンナにして、ファッション誌で読者モデルを務めるB子です。A子に勝ち目があるとは思えない。しかし、彼女は本気。主人公とA子は周囲の目を気にせず、文化祭に向けて衣装を用意したり、化粧を学んだり、ダイエットに励んだり、準備を進める。
嘉村 ふむ。
三葉 そして、いよいよ文化祭当日。ルールは……【1:立候補者には持ち時間が5分与えられる。その間にパフォーマンスを披露して、自身をアピールする】、【2:立候補者本人だけではなく、友人と共にパフォーマンスしてもOK】、【3:全立候補者のパフォーマンス後、その場で生徒による投票を行う。最も多くの票を得た者が優勝】です。
嘉村 なるほど。
三葉 会場の体育館には、多くの生徒が集まっている。そんな中、まずはB子の番です。……彼女は水着姿で登場。見事な四肢である。そして友人と共に、華やかでイケイケのダンスを披露する。やんやの喝采!それを見たA子は……すっかり意気消沈してしまう。あのきらびやかな姿!これがリア充のオーラか!これがカースト最上位の実力か!強メンタルを誇る彼女ですが、ここに至って自信を喪失。
嘉村 ふーむ……。
三葉 間もなくA子の番がやってきて登壇したものの……彼女は、既に戦意を喪失している。ぼんやり突っ立っているだけです。観客からはブーイング。このままではA子に勝ち目はない。やはりリア充には勝てぬのか!……と思ったその時!主人公が舞台に上がります。そして、ふいにラップを始める。シンと静まり返る体育館。地味で陰気なあの子が……ラップ!?一同驚く。しかし耳を澄ますと、これがじつに上手い。プロ顔負けである。観客は思わず体を前後に揺すり、大きな歓声を上げる。主人公が会場に呼びかける「Say ho!!」。会場が応える「ho!!」。これぞ、コール・アンド・レスポンスである。会場が湧く。その熱気に背中を押され、A子がダンスを始める。そう、彼女はこの日のためにブレイクダンスの特訓を積んできたのです。主人公はいつもそれを傍で見ていた。その結果、いつの間にやらリリック(歌詞)やら、MCらしいふるまいやらをマスターしていた。主人公の鋭いラップに合わせて、A子が激しく踊る。いまや観客は総立ちだ!……つまり、主人公は友の窮地を救うべく「行動」した。その結果、彼女は「賞賛」を得たのでした。で、物語は幕を閉じます。
嘉村 なるほど。
案②
嘉村 続いて、「案②」にまいりましょう。
三葉 はい。「ナポレオン・ダイナマイト」にしろ「案①」にしろ、主人公は高校生ですが……。
嘉村 ええ。
三葉 満たされぬ承認欲求を抱えているのは、何も高校生に限りません。老人だって賞賛を浴びたいと思っている。
嘉村 ふむ。
三葉 ということで「案②」は、「『ナポレオン・ダイナマイト』 ~『老人だらけのテニスサークル』編」です。
嘉村 ほぉ!
三葉 まずは、「ナポレオン・ダイナマイト」との比較表をご覧ください。
三葉 ご覧の通り「案②」は、「テニスサークルを舞台にした、老人版『ナポレオン・ダイナマイト』」です。
嘉村 ふむふむ。
三葉 すなわち、主人公は冴えない老人。彼は承認欲求を抱いているが……満たされぬ毎日を送っている。彼が属するテニスサークルにはスクールカーストのような上下関係があり、彼はその最底辺に位置づけられていたのです。「スポーツマンで性格明朗。話にユーモアがあり、聞く者を飽きさせない。ファッションにも詳しい。若い頃から人生を謳歌してきたのであろう連中」……主人公は、そんなカースト上位のヤツらに揶揄われるのが日課となっていた。
嘉村 なるほど。スクールカーストならぬ、「テニスサークル・カースト」……。
三葉 ええ。実際のところ、老人ホームでも「モテる老人/モテない老人」の格差があったりするらしいですからね。
※参考
嘉村 ははぁ……。
三葉 ストーリーは、「ナポレオン・ダイナマイト」や「案①」と同じです。冴えないながらもやたら行動力のある老人(以下、C氏)がサークルに入会、主人公と友人になる。そしてC氏と行動を共にする内に、主人公の生活が充実してくる……が、それはまやかしに過ぎない。
嘉村 ふむ。
三葉 物語の山場は、サークルの代表を決める選挙です。C氏が無謀にも出馬する。ライバルは、「テニスサークル・カースト」最上位のイケイケ爺さん。やがて立候補者演説の日がやってきて……イケイケ爺さんは、華麗な演説を披露する。大きな拍手が上がる。それを見たC氏は怖気づく「ダメだ。勝てっこない」。
嘉村 ふむふむ。
三葉 そして、そんな友のピンチを前に主人公が初めて自発的に行動します。彼はC氏に代わって皆の前に立ち……そうですね。「流暢な応援演説をした」では面白味がないので……手品を披露したことにしましょう。
嘉村 手品……。
三葉 ええ。マギー司郎氏もビックリの素晴らしい腕前を披露する。
三葉 テニスサークルの面々、特に婆さん連中はその腕前に仰天し、やんやの喝采。イケイケ爺さんは「ズルいぞ!立候補者本人の演説で決めるはずだ!」と抗議しますが、その声は拍手と歓声にかき消される。かくして主人公は皆から認められ、一方、同志・C氏はサークル代表に就任したのでした。……で、おしまいです。
嘉村 なるほど。「ナポレオン・ダイナマイト」は「スクールカースト内の『承認』を巡る下剋上物語」ですが、老人版もアリですね。
三葉 以上、「『ナポレオン・ダイナマイト』風物語」のアイデアをご紹介しました!
続きはこちら!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)