冬アニメ「治癒魔法の間違った使い方」の研究 ~異世界に転移して皆がいろいろ変化する中、いつまでもまじめでしっかり者のままのカズキくん。お前の本性はどこにある?
<座談会の参加者紹介>
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。「治癒魔法」と聞いて最初に思い浮かべるのは「回復術士のやり直し」。
👉村上空気 「治癒魔法」と聞いて最初に思い浮かべるのは「ヒーラー・ガール」。 →X(旧Twitter)でフォローしてね!!
💊今日のテーマは「治癒魔法の間違った使い方」!!
村上:今日は「治癒魔法の間違った使い方」を深堀りしましょう。
村上:現時点で第6話まで放送されているわけだけれど、清水さん、見ていますか?
清水:楽しんで見ていますよ。
村上:俺も毎週見ています。――第1話と第2話以降のノリがかなり違っていて戸惑ったりもしたけれど(笑)。
💊かなりまっとう
村上:毎週楽しんで見ているという前提で、今日はいくつかツッコミを入れたいなと思いまして(笑)。
清水:はい(笑)。
村上:まずさ、「治癒魔法の間違った使い方」というタイトルのわりにいまのところ何も間違ってなくない(笑)?
清水:(笑)。
村上:戦場を走り回って仲間を救う。そのためには体力が必要だから鍛錬する。――そんじょそこらの異世界転生・転移ものよりもよほどまっとうじゃんかと俺は言いたい(笑)。
清水:確かに(笑)。
村上:(笑)。
清水:それでいくと俺、初めてタイトルを見た時に「回復術士のやり直し」みたいな作品かなと思ったのよ。タイトルに「間違った」と付いているくらいだから、治癒魔法使いが人を洗脳したり殺したりとやりたい放題やる邪悪な話なんだろうなって。
村上:なるほど(笑)。
清水:ところが実際には倫理的な話だった(笑)。
💊治癒魔法使いを召喚してはどうか
村上:それからさ、本作の舞台となる世界では治癒魔法使いという存在はレアらしいよね。
清水:そうだっけ?
村上:確か第1話でそんな説明があったはず。主人公と、診療所を営んでいる兄妹と、あとはえーと……名前をど忘れした。田中敦子さんが演じている……。
清水:ローズね(笑)。
村上:そうそう、ローズ(笑)。その4人くらいしかいないんじゃないかな。
清水:あー、そうか。主人公と同居している救命団員たちは治癒魔法使いじゃないのか。
村上:そうそう。
清水:なるほど。
村上:とまぁ希少な能力者らしいんだけれどさ。
清水:うん。
村上:だったらさ、王様は勇者を召喚するよりも、治癒魔法使いを召喚した方がいいんじゃないかな(笑)?
清水:(笑)。
村上:今回はたまたま主人公が付いてきてくれたからラッキーだったけれどさぁ……(笑)。これどうなんだろ、何かの伏線だったりするのかな。
清水:というと?
村上:じつは治癒魔法使いは希少ではない、何らかの理由で希少ということになっているのであり、つまり主人公たちは騙されているのだとか。
清水:たぶんそんな展開はない(笑)。
村上:そうか(笑)。
清水:人命救助も大切だけれど、魔王に対抗し得る戦力ということで勇者の方がより必要とされているだけのことじゃないかな、普通に考えると(笑)。
💊主人公は親となり……
村上:そういえば、ブルーグリズリーのブルリンっているじゃない。主人公に懐いて行動を共にするようになったあのクマみたいな獣ね。
清水:うん。
村上:あれは何なんだろうね。
清水:ん?
村上:いやね、ただのマスコットキャラなのかなぁと思って。
清水:ん-、そうなんじゃないかな。
村上:いやぁ……考えてみたんだけどさ、ブルリンは親を亡くしているじゃない。そしていまや主人公が親代わりだ。
清水:ふむふむ。
村上:つまり主人公は、ブルリンを引き取ったことで子どもから大人に成長したと言えるよね。
清水:なるほど。
村上:……と、ここまで考えたんだけれど、この先を何も思いつかないのよ(笑)。
清水:何それ(笑)。
村上:いやぁ、ここから何か面白いことが言えそうな気がしたんだけれどなぁ(笑)。
💊異世界に転移してからも、なぜカズキくんだけは変化しないのか?
村上:ところでさ、主人公は異世界に転移してだいぶたくましくなったよね。
清水:ふむ。
村上:一方、スズネ先輩はなんかこう……頭がおかしくなった(笑)。いや、元の世界では隠していた本性が露わになったのかな。
清水:うんうん。
村上:とまぁこの2人は異世界に転移していろいろ変化したわけだ。
清水:そうね。
村上:それに比べて、カズキくん。彼だけは元の世界のままだと思うのよ。元の世界ではまじめなしっかり者で、いまもやっぱりまじめなしっかり者……。
清水:あー、確かに。
村上:これどう思う?カズキくんだけが変化しないって何かおかしくない?
清水:なるほど……。
村上:俺はね、まだ明らかになっていないけれどじつはカズキくんにも変化が生じているんだと思うんだ(笑)。
清水:(笑)。
村上:例えばさ、じつはカズキくんは悪に憧れていた。そして異世界に来てからその嗜好を抑えきれなくなり、いまや彼は勇者なんかよりも魔王軍に興味津々であるとかさ。
清水:……あー、そうか!わかった!
村上:えっ、何(笑)?
清水:魔王軍の一員に、全身鎧を着たキャラがいるじゃない。顔が見えないキャラ。あの中身はカズキくんなんじゃない?
村上:えー(笑)。
清水:(笑)。
村上:そうだったのか……(笑)。
清水:これはびっくりな展開だ(笑)。
村上:じゃああれだね、きっとその内「じつは僕、人を殺してみたかったんだよ」「人間の肉を切ってみたかったんだ」とか何とかカズキくんが告白するシーンがあるわけだね(笑)。
清水:あっ、そういうタイプの悪人なの(笑)?
村上:カズキくんといえば、王女と妙に仲がいい。したがって「きみのこと好きだよ。だから食べたいんだ」なんて、「ダンジョン飯」のライオスみたいなことを言い出すとか(笑)。
清水:完全にサイコパスじゃん(笑)。
村上:しかしそれにしても――もしも「カズキくん=悪人」説が本当だとすると、いずれスズネ先輩が勇者として始末することになるんだろうなぁ。
清水:そうねぇ。
村上:きっと主人公は「カズキが悪人のはずがない!そうだ、洗脳されているんだ!」とか何とか言って治癒魔法を使う。しかしカズキくんは元々悪人だから治るはずもなく……。
清水:うん。
村上:さらに、スズネ先輩が断腸の思いで始末した後も主人公はカズキくんの死を受け入れられず、彼を治そうと必死になり……あっ、そうか!「治癒魔法の間違った使い方」というタイトルの意味がわかったぞ!
清水:ん(笑)?
村上:「何とかしてカズキくんを救いたい」と主人公が強く願った結果、治癒魔法が限界を超えてしまうんだ。かくして死んだカズキくんを蘇らせてしまう……。
清水:それが「間違った使い方」か(笑)。
村上:そうそう。「治癒魔法の(倫理的に)間違った使い方」(笑)。