「主人公がぶっちぎりに強い物語」を盛り上げる方法!!|『魔法科高校の劣等生』に学ぶテクニック
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本記事では、「魔法科高校の劣等生」に【「主人公がぶっちぎりに強い物語」を盛り上げる方法】を学びます。
※「魔法科高校の劣等生」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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「主人公がぶっちぎりに強い物語」は、飽きられやすい
「主人公がぶっちぎりに強い物語」を作るのって、難しいですよねぇ。
例えばバトルもの。
「主人公が敵と戦う → 主人公がピンチに陥る → 主人公が一発逆転の大技を放って勝利する」なんて具合に、メリハリをつけるのが一般的です。
なぜメリハリが必要なのか?
鑑賞者・読者を飽きさせないためですよね。
ところが、「主人公がぶっちぎりに強い物語」はメリハリをつけづらい。
何しろ、 主人公さえいればどんな問題も解決してしまうわけですからね。ピンチに陥ることがない。ただただ勝利を重ねるだけ。
つまり一本調子になりやすく、鑑賞者・読者が途中で飽きてしまう危険があるのです。
「俺TUEEE」「メアリー・スー」などと呼ばれる作品群が顕著な例です。
「主人公がぶっちぎりに強いのに、飽きずに楽しめる物語」もある
しかし、それでは「主人公がぶっちぎりに強い物語」は総じてメリハリがなく、退屈なのかといえば……無論そんなことはありません。
「主人公がぶっちぎりに強いながらも、メリハリがあり、最後まで飽きずに楽しめる作品」も間違いなく存在しています。
例えば、そう、本記事で注目する「魔法科高校の劣等生<九校戦編>」もその内の1つです。
※注:「魔法科高校の劣等生<九校戦編>」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ご参照ください → 「2つのストーリーを交互に描く」という構成!!|『魔法科高校の劣等生』に学ぶテクニック
「脇役キャラで盛り上げる」というテクニック
「魔法科高校の劣等生」の主人公は、達也。
彼は圧倒的強者です。ピンチに陥ることはない。顔色ひとつ変えず、敵をぶちのめしていく。
そんな達也が超カッコいい!……のですが、これ、つまりは「主人公 = 最強」ということですから、本作は「主人公が勝ちまくるだけの単調な物語になりやすい」という危険を孕んでいるのです。
ところが、ですよ。
「魔法科高校の劣等生<九校戦編>」は、単調な物語ではない。しっかりとメリハリがある。
なぜか?
ズバリ、「脇役キャラで盛り上げる」というテクニックが使われているからでしょう。
達也は、最初から最後まで最強キャラのままです。
しかしその代わりに、脇役キャラがピンチに陥ったり、勇気を持って強敵に戦いを挑んだり、あるいはグッと成長したりする。
それを見て、鑑賞者はハラハラドキドキしたり、スカッとしたりする。
ゆえに、飽きることがないのです。
幹比古の「成長」
脇役キャラの中でも、特に重要な働きをしているのが「吉田幹比古(よしだ・みきひこ)」というキャラです。
<幹比古の概要>
▶ 達也のクラスメイト
▶ 古式魔法の名門「吉田家」の子息で、「精霊魔法」の使い手
▶ 幼い頃から天才的な才能を発揮し、「神童」と呼ばれてきた
▶ 運動神経や頭脳も抜群
これだけ見ると、「いやいやいやいや。幹比古も十分チートキャラじゃん」という気がしますが……ご注目いただきたいのはここからです。
<幹比古の概要(続き)>
▶ 幹比古は1年前に、とある事故を起こした。そしてそれをきっかけに感覚が狂い、上手く魔法を使えなくなってしまった
▶ 現在もなお、スランプから立ち直れていない
▶ 彼はそんな自分を「ふがいない」「オレは情けないヤツだ」と卑下し、「早く力を取り戻さねば」と焦燥している
▶ 自己評価の低さや焦りゆえだろう。幹比古には影がある。彼は、繊細で陰鬱な雰囲気をたたえている
元々は神童!しかしいまは、その力が失われている!そして彼は力を取り戻したいと願っている!
……いかがでしょうか。
「王道バトルものの主人公っぽい」というか、「いかにも活躍しそう」というか、設定を見ているだけでワクワクしてくるキャラですよね。
そんな幹比古の「作中での成長」をざっくり整理しました。
ご覧ください。
幹比古は悩み、落ち込み、傷つき、そして成長していきます。
鑑賞者はそんな彼の成功を願い、ハラハラドキドキして画面を見つめることになる。
さらに、彼の見た目(キャラデザ)も注目に値します。
いかにも繊細そうな細身の体、クールで神経質そうな顔立ち、そして右目の目尻にはセクシーなほくろ……。
もうね、メッチャ応援したくなるんですよ!
※以下は、公式サイト内の「幹比古を紹介するページ」へのリンクです。ぜひクリックして、彼のイラストをご覧ください。
幹比古以外の「物語を盛り上げるのに貢献している脇役キャラ」
本作には、幹比古ほどではありませんが……彼と同じく、物語を盛り上げるのに貢献している脇役キャラが複数登場します。
例えば、「北山雫(きたやま・しずく)」。
彼女の最大の見せ場は、第14話にやってきます。
すなわち……
・1:雫は、強大なライバル(深雪)を前に、億することなく勝負を挑んだ。その凛とした姿は、じつにカッコいい!
・2:試合では、必殺技を繰り出し(フォノン・メーザー、複数CADの同時操作)、皆を驚嘆させる。多くの鑑賞者は手に汗握ることでしょう
・3:しかし、やはりライバルは強かった。雫は敗北を喫します
・4:試合後、雫は親友(ほのか)の前で呟いた「悔しいよ……」。そして、静かに涙を流す。少なからぬ鑑賞者がもらい泣きしたであろう名シーンです
まとめ
ぶっちぎりの最強キャラ・達也だけでは、「ただただ勝ちまくるだけの単調な物語」になりかねないところですが……本作には幹比古がいる。雫もいる。他にも、美月やエリカといった魅力的な脇役キャラがいる。
鑑賞者は、彼らの奮闘にハラハラドキドキ。その目は画面に釘づけになる。もちろん、途中で飽きることなぞない。
「脇役キャラで盛り上げる」というテクニック……「主人公がぶっちぎりに強い物語」を作る時には、ぜひ試してみてくださいねー!!
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(担当:三葉)