冬アニメ「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」の研究 ~子供にはお腹いっぱい食ってほしいんだよ!それがおじさん・おばさんの願いなんだよ!!
<座談会の参加者紹介>
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年120作以上のアニメを見続けて20余年。「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」で好きなのはアイシャ・ベルカ。
👉村上空気 「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」で好きなのは、もちろんリリ(リリルカ・アーデ)。 →X(旧Twitter)でフォローしてね!!
🔮今日のテーマは「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」!!
村上:今日は「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」を深堀りしましょう。
村上:現時点で第6話まで放送されているわけだけれど、清水さん、見ていますか?
清水:見てますよ。
村上:ふむ。
清水:なんかね、主人公のアイビーが子供だし、ほら、善人と悪人の描き分けが露骨じゃない。アイビーが元いたラトミ村の住人たちはもう明らかに悪人として描かれているし、オグトやヴェリヴェラ(ラトメ村自警団の隊長、副隊長)は誰がどう見ても善人だよね。
村上:そうね。
清水:というわけで、児童向けアニメっぽいなーと思いながら見ている。
村上:あー、その感じはわかるな。俺も似たような印象を持っていて、「世界名作劇場」のアニメっぽいなと感じていた。昔、日曜日の夜に放送していたやつね。
清水:懐かしい(笑)。
🔮本作は、「かわいそうな子供をおじさん・おばさんが庇護してかわいがってあげる」のを見てほっこりする系作品だ!
村上:ではまずは大雑把に、「結局のところ本作はどんな物語なのか」というところから考えてみたいんだけれど。
清水:うん。
村上:これは明確だと思うんだ。本作はずばり、「『かわいそうな子供をおじさん・おばさんが庇護してかわいがってあげる』のを見てほっこりする系作品」だよね(笑)。
清水:(笑)。
村上:ほら、第1-2話で、アイビーがいかにかわいそうな子かたっぷり描かれたじゃない。
清水:ふむふむ。
村上:その結果、俺たち鑑賞者は「ううっ、かわいそうに……。誰か彼女を救ってやってくれよ!」と願いながら画面を見つめることになった。かくして善良なおじさん・おばさんが登場してアイビーに手を差し伸べる場面を見ると「よかったねぇ~❤」と嬉しくなる。で、心が温かくなってほっこりする――という寸法だ(笑)。
清水:確かに(笑)。
🔮アイビーに優しくしてくれるおじさん・おばさんリスト
清水:ところでさ、いま公式サイトのキャラクター紹介ページを見ているんだけどね。
村上:うん。
清水:「主人公のアイビー」と「アイビーと共に旅をするモンスターたち」、そして「善良そうなおじさん・おばさん」しか載っていないね(笑)。
村上:あー、本当だ!キャラ紹介ページが「アイビーに優しくしてくれるおじさん・おばさんリスト」と化している(笑)。
清水:そうそう(笑)。
村上:っていうか、おい!このキャラ紹介おかしいだろ(笑)。ほとんどのキャラの説明欄に「アイビーに優しい」って書いてあるぞ(笑)!
清水:(笑)。
村上:うーむ、これはもう間違いないね。「アイビーが行く先々で親切な大人と出会い、優しくしてもらう」という展開が容易に予想できる(笑)。
清水:で、それを見て俺たちは「よかったねぇ~❤」とほっこりするわけだね(笑)。
🔮子供にはお腹いっぱい食ってほしいんだよ!それがおじさん・おばさんの願いなんだよ!!
村上:そういえばさ、本作を見ていて「『かわいそうなキャラ』を描く時にはやっぱり食べ物ネタが鉄板なんだなぁ」と思ったよ。
清水:ほぉ。
村上:ほら、第2話でパン屋を見かけたアイビーが「パンなんてどれくらい長い間食べてないだろう」とひとりごちするシーンがあるよね。
清水:うん。
村上:その後、彼女は金を稼いでパンを買うわけだけれど、もう本当に嬉しそうでね。「パンだ!パンだ!パンだ!」と呟きながらスキップしちゃうし、いざ食う時には満面の笑みでさ。しかも「おいしい!」と言った後に、「最後に食べたのっていつだっけ……」とか言い出すわけよ(笑)。
清水:うんうん。
村上:断言するけれど、これ、すべての鑑賞者が「ううっ……パンを買ってあげたい!」「腹いっぱいになるまでパンを食べさせてあげたい!」と思ったに違いない名場面ですよ(笑)。
清水:(笑)。
村上:何ていうかなぁ……そう、アイビーのいじらしさね!
清水:なるほど(笑)。
村上:それに対して、例えばアイビーが村を追放されるシーンはどうだろう?そりゃ「かわいそうだな」とは思うし、「同情に値する子だ」と頭では認識するんだけれど、パンのシーンほど胸に迫るものはないと思うんだよね。
清水:確かに。
村上:というわけでさ、ジブリの「火垂るの墓」にしてもそうだけれど、やっぱり「飢える子供」「嬉しそうに食う子供」ってのは強いなと、読者・鑑賞者の心に刺さるものがあるなと感じた。
清水:確かになぁ。第6話、オグトやヴェリヴェラがアイビーに串焼きをごちそうするシーンがあるけれど……。
村上:それそれ(笑)!
清水:(笑)。
村上:オグト隊長は串焼きを1人10本ずつ注文しちゃってさ。
清水:はいはい(笑)。
村上:「アイビーは8歳の女の子だよ!そんなに食えるわけないでしょ!」と周りに呆れられるものの、「10本くらい軽く食える旨さだぞ」「遠慮せずに食え!冷めないうちに食え!どんどん食え!」と食わせようとする。――これですよこれ!このおっさん仕草(笑)!
清水:(笑)。
村上:言わば、親戚のおっさんが甥っ子や姪っ子にやたら食わせようとする現象ね(笑)。このシーンを見て、多くの鑑賞者はオグト隊長に感情移入したと思うんだよね。
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