「成長」って、愛する人を相対化すること!!|『Aチャンネル』に学ぶテクニック
アニメを研究して、創作に活かそう!
本記事では、「Aチャンネル」に「キャラの【成長】」を学びます。
※「Aチャンネル」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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テーマ発表!!
本記事では、第12話(最終話)「宇宙人 Anytime」を分析します。
分析は、
・Step1:「三幕構成」を用いて、第12話のストーリーを整理する
・Step2:「三幕構成」を踏まえて、「Aチャンネル」という作品における【キャラの成長】について考察する
……という2ステップで進めます。
三幕構成
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ😻 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
第1話と本話の共通点
第1話と本話(= 最終話)には、よく似たシーンがあります。
ご注目いただきたいのは、第3幕後半の
・1:トオルが【不安】に押し潰されそうになる
・2:「変わらない」というセリフを経て、トオルの【不安】が和らぐ
・3:その後、劇中歌「はるかぜの化学」が流れる
……というこの流れ。
これ、第1話第3幕にそっくりです。
※第1話についてはこちらの記事をチェック! → 「分離不安」と「巨乳にアッパー」!!|『Aチャンネル』に学ぶテクニック
キャラの「成長」
ところで……物語の冒頭と末尾に「よく似ているが、少しだけ異なるシーン」を配置することで、作中の【変化】(主人公の成長など)を鑑賞者に伝えるというテクニックがあります。
私たち鑑賞者は、その【変化】を目の当たりにして「よくぞ成長したものだ!」と感動するわけですね。
ちなみに、このテクニックが極めて効果的に使われた作品といえば……そう、アニメ「けいおん!」です。
※詳しくはこちらの記事をチェック! → 【最終回(#12) 軽音!】「けいおん!」を三幕構成で分析する
トオルは、言葉を必要としなくなった
では、本作「Aチャンネル」はどうか?
第1話の第3幕と、本話の第3幕には、どのような【差 = 変化】が見られるか?
ポイントは……
・第1話:るんが「変わってないよ、私たち」と言う
・本話:トオルが、るんの行動を見て「るんちゃんは……変わらないね!」と言う
つまりですね、第1話のトオルは、るんから「変わってないよ」と明言してもらうまで【不安】を拭うことができなかった。
しかし本話のトオルは、言葉を必要としていません。彼女は、るんの行動から「変わらない」というメッセージを読み取れるようになっている。
トオルによる「るんの相対化」
さて、いよいよ核心です。
この【「言葉が必要 → 言葉を必要としない」という変化】は、一体何を意味しているのでしょうか?
ここでは、皆さんご自身の「親との関係」を思い出してみてください。
幼い頃、私たちは親を冷静に見つめることができません。だって、親は絶対的な存在ですからね。どれほど理不尽な仕打ちを受けようとも、それを疑うことすらできない。
しかしその後、友だちができ、学校に通うようになり、様々な人びとと関わる中で、つまりは親という存在が相対化されていく中で、次第に親を客観視できるようになります。
で、トオルとるんの関係は、これと同じだと思うんですよ。
つまり……
・1:第1話のトオルには、るんしかなかった。るんにべったりだった。るんなしには生きていけなかった(= るんが絶対的な存在)
・2:それに対して本話のトオルには、ユー子やナギがいる(→ 第2幕後半に注目!)。ユタカやミホだっている(→ 第2幕前半に注目!)。いまも最も大切なのはるんだが、しかし「るんだけ」ではなくなった(= るんの相対化)
・3:かくしてトオルは、比較的冷静にるんを見つめられるようになった
・4:その結果、「るんは変わっていない」と気づくことができた
つまり【「言葉が必要 → 言葉を必要としない」という変化】は、【トオルが、るん以外の人とも人間関係を築けるようになった = るんを相対化できるようになった】という<成長>の証であると考えられます。
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(担当:三葉)
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