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「キャラAは黒い影の中にいる→キャラBがAを見つけ出し、明るい光の下に引っ張っていく」というシーンを通じて、Bとの出会いによってAの人生がポジティブな方向に大きく動き始めたことを暗示する ~アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の場合
ひとり「私の居場所はネットだけ……もう学校いきたくないな……」
↓
虹夏「あっ、ギター!」
◆概要
【「キャラAは黒い影の中にいる→キャラBがAを見つけ出し、明るい光の下に引っ張っていく」というシーンを通じて、Bとの出会いによってAの人生がポジティブな方向に大きく動き始めたことを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」(第1話)
▶1
本作の主人公は、後藤ひとり。
ひとりは、
・Step1:幼い頃から対人コミュニケーションが苦手だった。ゆえに、彼女はいつも1人ぼっちだった。
・Step2:中学入学後、ひょんなことからひとりは「ギターをマスターしてバンドを組めば、皆からちやほやされるぞ!」と考えるに至る。かくして猛練習を重ね、めきめきと腕を上げていった。
・Step3:それから3年後、高校生になったひとり。彼女はYouTube上では匿名のギタリストとしてちょっとした有名人になっていた。だが、嗚呼コミュニケーションは相変わらず苦手!いまだバンドは組めず!というか、友達の1人もおらず!もちろん、ちやほやなんて夢のまた夢だ。
というわけで、ある日の放課後。
・Step4:ひとりは公園のブランコに乗り、1人で俯いていた。ふとスマホを見ると、YouTubeのチャンネル登録者数が3万人を超えている。ひとりは思う「私の居場所はネットだけ……もう学校いきたくないな……」。
・Step5:とその時だった。「あっ、ギター!」という叫び声。ひとりが背負っていたギターに目をつけたらしい見ず知らずの少女が、公園の外からひとりのもとに走ってきた。
・Step6:突然のことにひとりは取り乱す「ああああああ」。
・Step7:一方の少女は「それギターだよね?弾けるの?」「いきなりごめんね!私、下北沢高校2年、伊地知虹夏!」「お願い!私のバンドで今日だけサポートギターしてくれないかなー!?」。虹夏は圧倒的なコミュニケーション力で話をリードし、ひとりはいつの間にやらバンドに参加することになったのだった。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step4-7である。
・Step4では:ひとりは1人で公園のブランコに乗っていた。その日は快晴で太陽の光がさんさんと降り注いでいる。しかし、ブランコ周辺はおそらくは近隣の家によって日差しが遮られているのだろう、影になっている。つまり、ひとりは「黒い影」の中にいる。
・Step5では:虹夏は公園の外の道路を歩いてくる。そこは太陽光に照らされた「明るい世界」だ。虹夏は「黒い影」の中のひとりを発見すると、あっという間に「黒い影」の中に入ってきてひとりに声をかけた。
・Step7では:2人は「黒い影」の中で言葉をかわす。そして虹夏はひとりの腕を引っ張り、「黒い影」の中から「光差す明るい世界」へと彼女を引っ張っていった。
「黒い影」の中から「光差す明るい世界」へ……。虹夏のおかげでひとりの人生が大きく動き始めたことが、伝わってくる。
つまり、「ひとりは黒い影の中にいる→虹夏がひとりを見つけ出し、明るい光の下に引っ張っていく」というシーンを通じて、虹夏との出会いによってひとりの人生がポジティブな方向に大きく動き始めたことを暗示するというテクニックが使われているわけだ。
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