キーワードは、<チームワーク>だ!!|【第4話:決戦!クラス対抗戦】「IS〈インフィニット・ストラトス〉」に学ぶ
※引き続き、アニメ「IS〈インフィニット・ストラトス〉」の【第4話:決戦!クラス対抗戦】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。
【ポイント①】世界の存亡!?
<1>
まずは、本話のストーリーを大雑把にまとめてみましょう。
すなわち……
・Step 1:一夏と鈴が戦う(クラス対抗戦)
・Step 2:突如、敵ISが出現する
・Step 3:一夏と鈴が連携して応戦する
・Step 4:さらにセシリアも加わり、3人で敵ISを撃破する
・Step 5:敵ISにまつわる<大きな謎>が提示され(敵ISには正体不明のコアが使われていた。これは一体どういうことだ?そもそも、この敵ISはどこからやってきた?目的は?)、次話に続く
<2>
第1~3話が【IS学園内の物語/一夏の半径5m以内の物語】であったのに対して、本話では【世界の存亡に関わると思われる謎】が提示され、一挙にストーリーが動き出した感がある……これが本話の特徴です。
多くの鑑賞者が、「主人公やヒロインにまつわる説明、世界観にまつわる説明が終わり、いよいよストーリーが動き出すのかな?」とワクワクしたことでしょう。
【ポイント②】<敢えて誤解させ、びっくり仰天させる>というテクニック!
続いて、セシリアと鈴の辿った<経路>を比較してみましょう。
まずは、セシリア。
彼女は第1話で初登場して以来、以下の<経路>をたどりました。
・第1話:一夏と戦うことになる
・第2話:一夏と戦い、敗北する(試合には勝ったものの<勝負>という点では敗北)
・第3話:一夏にベタ惚れし、ハーレム加入
つまり、【一夏と勝負 → 敗北 → ベタ惚れ♥】ですね。
<2>
一方、鈴は第3話で登場。
そしてその直後、一夏と戦うことになります。
……ということで!
多くの鑑賞者はこう感じたことでしょう「なるほど!これは、【一夏と勝負 → 敗北 → ベタ惚れ♥】という展開を繰り返すことでハーレムメンバーが増えていく物語だな!」「つまり、鈴は一夏に敗北し、そしてベタ惚れするに違いない!」。
ところが実際には……一夏と鈴が戦っている真っ最中に敵ISが乱入してきた!
多くの鑑賞者は「えっ!【一夏と勝負 → 敗北 → ベタ惚れ♥】という展開ではないの!?」と仰天したことでしょう。
<3>
つまりこれ、【「ははぁ!これは○○の展開だな」と鑑賞者に誤解させる → それをひっくり返して、びっくり仰天させる】というテクニックですね。
いやぁ、これは騙されますよ。
じつに巧い!
【ポイント③】キーワードは、<チームプレー>だ!
本話のキーワードはスバリ、<チームプレー>でしょう。
<1>
突如出現した敵ISを相手に、
・1:一夏と鈴が協力して応戦する
・2:最後は、<鈴の衝撃砲 + 一夏のイグニッション・ブースト + セシリアの銃撃>で撃滅する
……という具合に、一夏らは連携して対応します。
もちろん、今回の連携は急ごしらえであり、かなり危なっかしいところがありました。<チームプレー>と呼べるほど洗練されたものではありません。
しかし、多くの鑑賞者は「おそらく今後一夏らはチームプレーを磨き、チームで敵に対処していくのだろう」と感じたはずです。
なぜならば……
・理由1:第1話の冒頭で流れた<未来の戦闘シーン>で、一夏らが見事なチームプレーを披露していたから
・理由2:一夏らのISは万能ではないから。つまり強敵を相手にするには、<互いの短所を補い合い、長所を伸ばし合うチーム>が必要だから
ここからは、上述の【理由2:一夏らのISは万能ではないから】を詳しくご説明しましょう。
<2>
まずご注目いただきたいのは、第1幕の【一夏が千冬先生からトレーニングを受けるシーン】です。
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一夏は困惑した様子で、千冬先生に問うた「白式の武器って……この雪片弐型だけなのか?」。
千冬は平然と応えた「私もそれだけで優勝した。その一振りだけで十分だ」。
※白式:一夏のIS。
※雪片弐型:白式に装備された剣。
※千冬:元日本代表IS操縦者。「雪片(雪片弐型の前身)」を武器に、第1回IS世界大会で優勝した。
一夏はがっくりうなだれる「世界大会優勝者と一緒にされても困るんだけどなぁ……」。
すると千冬は「大体、お前のような素人が射撃戦闘なぞできるものか。反動制御、弾道予測から距離の取り方、一零停止、アブソリュート・ターン。それ以外にも弾丸の特性、大気の状態、相手武装による相互影響を含めた思考戦闘。他にもあるぞ!できるのか、お前に?」。
一夏は肩を落とす「ううっ……ごめんなさい」。
千冬は微笑んで「1つのことを極める方がお前には向いているのさ。なにせ私の弟だ」。
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<2>
また、第2話の第3幕にはこんなシーンがあります。
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一夏とセシリアが、クラス代表の座を賭けて決闘。一夏はどうにかセシリアを追い詰めるものの……いざというところで、白式のエネルギーが切れてしまう。かくして一夏は敗北。
決闘後、一夏は千冬先生に問うた「オレ、何で負けちゃったんだ?」。
千冬先生が答える「バリア無効化攻撃を使ったからだ。武器の特性を考えずに戦うからああなる」。
千冬先生曰く……<バリア無効化攻撃>とは、相手のバリアを切り裂いて本体に直接ダメージを与える技。自身のシールドエネルギーを攻撃に転化することで成立する雪片弐型の特殊能力である。
千冬先生が言う「つまり、お前の機体は欠陥機だ。他の機体よりちょっと攻撃特化になっているということだ」。
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さて、以上をまとめると……
・特徴①:そもそも、一夏はIS操縦の素人である
・特徴②:ただし、戦況を分析する力や、適切な戦術を発想する力には秀でている(今回の急ごしらえの連携も一夏がいたから成立した)
・特徴③:白式の武器は剣のみ。つまり、近接戦闘特化型である
・特徴④:白式の切り札<バリア無効化攻撃>はごく短時間しか使えない。要するに、白式は短期決戦特化型でもある
いかがでしょうか?
一夏が単独で戦うのは、なかなかどうして厳しそうですよね……。やはり彼にはチームが必要なのです。
<3>
とはいえ、チームを必要としているのは一夏だけではありません。
例えば、セシリア。
ここでは、第2幕後半のとあるシーンに注目してみましょう。
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一夏と鈴の試合中、突如敵ISが出現。一夏と鈴は、他の生徒を守るために敵ISと戦い始めた。
セシリアは、愛する一夏を守るためにすぐにでも飛び出していきたい。しかし……千冬先生がセシリアの出撃を禁じた。
セシリアは仰天する「えっ!なぜダメなのです!?」。
千冬先生曰く、「お前のブルー・ティアーズの装備は1対複数向きだ。お前が複数の側に入るとむしろ邪魔になる」。
※ブルー・ティアーズ:セシリアのIS。
セシリアの表情がこわばる。彼女は千冬先生の言葉を受け入れられない。
愛する人の窮地をただ眺めるだけだなんて、そんなこと耐えられない!ましてや彼女には「自分はイギリス代表候補生である」「エリートである」というプライドがある!
かくしてセシリアは叫びました「そんなことありませんわ!この私が邪魔なぞと!」。
しかし千冬は落ち着いた口調で、「では連携訓練はしたか?その時のお前の役割は?味方の構成は?敵はどのレベルを想定してある?連続稼働時間は?」。
……千冬の言う通りだ。セシリアはがっくり肩を落とした「わっ、わかりました。もう結構です」。
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つまり……
・特徴:ブルー・ティアーズは、射撃主体の遠距離攻撃型。<自分1人 v.s 複数の敵>の戦闘向きであり、例えば<パワー型の敵ISとの近接戦闘>は不得手
そう!セシリアもまた、<自分の短所を補い、長所を最大限発揮するためのチーム>を必要としているのです。
【ポイント④】<一見冷静だが、じつは内心取り乱している>というキャラの魅力
<1>
本話の戦闘シーンは大変カッコよく、また鈴がデレるシーンはじつに最高であり、さらに一夏とセシリアが連携する場面は血沸き肉躍るものがありますが……しかし!
本話最大の見どころといえば第2幕前半の【千冬先生が内心取り乱していることが明らかになるシーン】でしょう。
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一夏と鈴の試合中、突如敵ISが出現。一夏と鈴は、他の生徒を守るために敵ISと戦い始めた……!
この時、山田先生は大いに狼狽します。そんな!未知の敵と戦うだなんて危険すぎる!
一方、千冬先生は冷静そのもの「本人たちがやると言っているのだから、やらせてみてもいいだろう」。不敵な笑みを浮かべる。
山田先生は仰天します「おっ、織斑先生!何を呑気なことを言っているんですか!」。
しかし千冬先生は、「落ち着け。コーヒーでも飲め。糖分が足りないからイライラする」。そして彼女は【砂糖】と書かれた容器……ではなくて、その隣の【塩】と書かれた容器のスプーンを掴み、自身のマグカップに投入。マグカップに入っていたコーヒーと【塩】を混ぜながら、余裕の笑みを浮かべた。
山田先生は気まずそうに「あの、先生。それ、塩ですけど」。
千冬先生は一瞬呆然「なっ……」。そしてすぐに頬を赤らめ、俯いた。
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<2>
これですよ、これ!
千冬先生はいつも冷静沈着。今回も緊急事態にも関わらず、実弟・一夏を信頼しているのか取り乱すことはない……かと思いきや!
砂糖と塩を間違えるという古典的なボケをかまし、さらに少女の如く頬を染める!
かわいいですねー♥
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