これはカンフー映画で、鑑賞者が見たいのはカンフーで戦うシーンなのだから、それ以外のシーンはテンポよく片付ける|映画「イップ・マン 序章」に学ぶ
本記事では、映画「イップ・マン 序章」を取り上げます。
◆「これが恥だ!わかったか!!」のシーン
映画「イップ・マン 序章」には、こんなシーンがある。
▶シーン1
葉問と廖(2人とも中国武術の達人)が手合わせし、葉問が勝利した。
▶シーン2
2人は、「今日の戦いについては口外しない」と約束した。
廖のメンツを保つためだ。
▶シーン3
ところが、2人の戦いを偶然目撃した者がいた。
沙である。
彼は興奮して、「すごい戦いだった!葉問さんは強かった!」と言いふらしてしまった。
▶シーン4
沙の兄が激昂する「テキトーなことを言っておふたりに迷惑をかけるな!」。
沙は抗弁する「ウソじゃないよ!本当に見たんだ!」。
▶シーン5
兄がたしなめる「たとえ本当だとしても、そういうことは胸の内に収めておくものだ!恥をかかせることになるからな」。
沙は叫ぶ「恥って何だよ!そんなのわかんねぇよ!」。
すると兄はおもむろにしゃがみ込み……沙のズボンをずり下げた!沙の下半身が丸出しになる。
そして兄は一喝「これが恥だ!わかったか!!」。
やじ馬が爆笑。
沙は恥ずかしいやら悔しいやら……逃げていってしまった。
◆これはカンフー映画で、鑑賞者が見たいのはカンフーで戦うシーンなのだから、それ以外のシーンはテンポよく片付ける
このシーン、じつに巧いと思うのだ。
というのもこれ、一歩間違えると、「恥とは云々!」「お前は人の気持ちがわかっていない云々!」といった堅苦しい議論、面倒くさい説教が始まりそうな場面である。
だがしかし、「イップ・マン 序章」はカンフー映画。鑑賞者はカッコよく戦うシーンを見たいのだ。議論や説教には興味がない。
その点、本作は完璧だ。
だって前述の通り、【兄がズボンをずり下げる → 沙の下半身が丸出しになり、沙が逃げ出す → はい、この騒動はこれでおしまい!】と猛スピードで片づけてしまうのだ。ゆえに鑑賞者が飽きることはない。
巧い!!
◆参考
映画「イップ・マン 序章」について知りたい方は、以下の記事をどうぞ🍎
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