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クライマックス後の「後日談」は必要か?|『生徒会役員共』に学ぶテクニック

アニメを研究して、創作に活かそう!

本記事では、「生徒会役員共」に「クライマックス後の『後日談』の重要性」を学びます。

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作品概要


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テーマ発表!!


アニメ「生徒会役員共」の最終回を見ていて、私、「あー!これこれこれ!これだよ!!」と思わず膝を打ちました。

何故に膝を打ったのか、ご説明しましょう。


【生徒会役員共】基本的な構造


まずは、「生徒会役員共」の基本的な構造を整理しておきましょう。


▶ ジャンル:下ネタ中心のギャグ作品

舞台:とある高校の生徒会

主人公:生徒会副会長(津田タカトシ)


基本的なストーリー展開

・1:生徒会会長や書記、顧問、さらに新聞部部長らが下ネタ寄りのボケをかます

・2:タカトシと生徒会会計が、ツッコミを入れる


【生徒会役員共】最終回の流れ


続いて、「生徒会役員共」の最終回の流れをざっくりご紹介しましょう。


<1>

最終回と言えども、大枠は変わりません。

第11話までと同じく、ギャグストーリーが続きます。


<2>

ところが9分32秒経ったところで、突然ED曲が流れ始める。

妙にしっとりした曲です。「生徒会役員共」らしくない。

第一、ED曲には早すぎる。

「これは何かあるぞ」と鑑賞者の期待が高まる。


<3>

ED曲が終わると……生徒会室に、お馴染みに生徒会メンバーが集まっています。

ホワイトボードには「最終回特別座談会」


そして、会長がしみじみと言った「いままでいろいろあったなぁ」

書記が同意「ホントねぇ」

タカトシが驚く「……えっ!?どうしたんですか、いきなり」

会長は平然と「いや、特に意味はない」

書記もいつも通りに「思い出すわね、津田くんとの出会い」

タカトシがツッコむ「……何すか、とってつけたようなこの流れ」


直後、第1話冒頭の映像(タカトシが会長らと出会い、生徒会の一員になる場面)が流れます

映像が終わると、タカトシが懐かしそうに「あー、あったなぁ!」


以降、主要キャラが次々と生徒会室にやってきて、思い出話に花を咲かせることになります。


【生徒会役員共】「主人公らが作中の出来事を振り返る」というメタ的な展開


つまりこれ、「主人公らが作中の出来事を振り返る」というメタ的な展開ですね。


「えっ、過去のエピソードを振り返るだけ?それって退屈じゃない?」と心配される方もいるかもしれませんが……大丈夫。ご安心ください。

単に過去を振り返るだけではありません。

じつは、会長や書記の回想はちょくちょく改変・捏造されており、タカトシが「もういいよ!」「全部新作カットだろ!」とツッコみを入れるという展開になるのです。


なお、この「座談会」はおよそ9分間続きます。


なぜ「クライマックス」で、物語は終わらないのか?


<1>

ところで話はガラッと変わりますが……物語には、「クライマックス」ってものがありますよね。

日本語で言えば、「山場」

物語の頂点、最高潮、最も盛り上がるところ。


<2>

また大体の物語では、クライマックスで問題が解決します。

例えば……

・ヒーローがラスボスと対決する → 勝利

・名探偵が真犯人を突き止める → 逮捕

・主人公がヒロインに告白 → ♥


<3>

さて多くの物語では、

・1:終盤にクライマックス

・2:クライマックスの後、少しばかりの「後日談」

・3:その後、エンディング

……という流れを辿るわけですが、これ、よくよく考えてみると奇妙ですよね。


だって上述の通り、

・1:クライマックスで、物語は最高潮を迎える

・2:クライマックスで、事件は解決する

……わけですよ。

だったら、クライマックス後、スパッとエンディングに移ればいいじゃないですか。その方がスマートじゃないですか。


それなのに、なぜ「後日談」なんてものを挟むのか?


「後日談」が必要な理由


ここでは、K.M.ワイランド(K.M. Weiland/アメリカの作家、小説執筆術の研究家)の知恵を拝借しましょう。


彼女はこんなことを言っています。

(クライマックスで)勝負がつけば物語は実質上終わりますが、そこで小説もぷつんと終わってしまったら読者は物足りなさを感じます。
クライマックスでは感情が激しく刺激されますから、ほっとできるくだりが必要です。いわば、戦いを終えた人物が立ち上がり、ズボンの埃を払って再び歩き出すところ。人物が変化を遂げた後の姿を少しだけ描いておきましょう。
ここまでうまく書いてきたならば、読者は人物が好きになったに違いありません。ラストシーンを読者が求めるのは「もう少しだけ一緒にいたいな」という純粋な思いのためです。

※「ストラクチャーから書く小説再入門」より引用


そう、クライマックス後の「後日談」は、「(主人公らと)もう少しだけ一緒にいたいな」という鑑賞者・読者の気持ちに応えるためのものなのです。

要するに、鑑賞者・読者へのサービス


より露骨に言えば

・1:鑑賞者・読者が「物足りない」と感じるのを防ぎ、彼らの満足度をより一層高める

・2:ポジティブなクチコミを拡散してもらう

……が狙いだと整理できるでしょう。


最高の「後日談」を作ろう!


クリエイターの皆さんは、いま、こうお考えでしょう。

「なるほど。『後日談』ってのは重要なんだな。よっしゃ、鑑賞者・読者に満足してもらえる『後日談』を作るぜ!……で、例えばどんな『後日談』があり得るの?


ここでご注目いただきたいのが……そう、「生徒会役員共」です。


先ほどご紹介した「主人公らが作中の出来事を振り返る」というメタ的な展開

あれ、かなり強烈な「後日談」だと思うんですよ。


だって、

・1:主人公らが過去を回想する → 鑑賞者は懐かしい気分に浸れる

・2:回想がちょくちょく改変・捏造されている → 鑑賞者は最後まで爆笑できる

……最高ですよね!


もちろんメタ的な展開が許容さない作品(比較的シリアスな作品など)もあるでしょうが、そんな時にも、主人公らが作中の出来事を振り返ることはできるはずです


「主人公らが作中の出来事を振り返る」という形式の【後日談】を使って、鑑賞者・読者の満足度をより一層高めるテクニック……みなさんもぜひ試してみてくださいねー!!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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