なんと無駄のない構成か!!|【第1話(3):教えてやろう】「みなみけ」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
【問】本話は、なぜこれほどまでに面白いのか?
いやぁ、面白いですねー!
ということで、本話はなぜこれほどまでに面白いのか、本話には一体どのようなテクニックが用いられているのか、解き明かしていきましょう!
【ポイント①】かわいい女の子に<あるあるネタ>を体験させる!
その手のアニメやマンガがお好きな方なら首肯いただけると思うのですが……世の中には【かわいい女の子やイケメン男子に<あるあるネタ>を体験させると、それだけでニヤニヤ楽しめるシーンになる】という法則がある。
そして、本話の冒頭シーンにはズバリこのテクニックが使われています。
つまり、
・1:【家族団欒時にテレビでキスシーンが始まった!気まずい!】というあるあるネタを、かわいい3姉妹が体験する
・2:たったそれだけのことなのに、私たち鑑賞者は思わずニヤニヤしてしまう
……というわけですね。
これ、鑑賞者のハートをがっちり掴むオープニングと言えるでしょう。
【ポイント②】トラブルメーカーが動き出す!
続くファースト・ターニングポイントでは、夏奈が「よーし!私が姉として、キスとはどういうものか教えてやろう!」と意気込みます。
つまり、【夏奈(= トラブルメーカー!)が余計なお節介を始めるシーン」から本話のメインストーリー(第2幕)が始まるのです。
多くの鑑賞者はここで、「おっ。お約束通り夏奈が余計なことを始めたぞ。こりゃひと悶着起こるに違いない♥」とワクワクしたことでしょう。
【ポイント③】ファースト・ターニングポイント直後の方向展開!
というわけで、夏奈は意気揚々とお節介を始めようとしたのですが……千秋曰く「あんなもの、ゴールデンに放送したらお茶のが気まずいだろ」。
嗚呼、この至極もっともなご意見!
春香も夏奈も、【千秋は「キスってなあに?」なんて純粋な疑問を抱えているに違いない】と想定していたわけですが……そうではなかった!
かくして、夏奈は肩透かしを食わされたのでした。
そして、そう!肩透かしを食わされたのは夏奈だけではありません。私たち鑑賞者も同様です。多くの鑑賞者は、夏奈による解説(?)が始まると思っていた。ところが……!
私たちはこの予想外の展開に、「さすが千秋!(笑)」「夏奈のこのポカンとした顔(笑)」と思わず吹き出してしまうのです。
本編が始まったと思いきや(= ファースト・ターニングポイントを過ぎたと思いきや)、あっという間に方向展開する!
このテンポのよさが最高ですよね。
【ポイント④】すかさず天丼!
<1>
さて肩透かしを食わされた夏奈ですが、彼女はこの程度ではへこたれません。
姉の威厳を示そうとしてか、きつい口調になって「キスのどこがいけないんだい!」「キスしたことない奴が、キスを否定するんじゃないよ!」と主張した。
ところが……これに対して千秋は一言、「お前はキスしたことあるのか?」
で、夏奈は再び言葉に詰まる。
<2>
お気づきでしょうか?
そう、【夏奈が姉の威厳を示そうとする → ところが千秋の一言で撃沈】という展開が繰り返されているのです。
つまりは、皆大好き「天丼」!
かくして私たち鑑賞者は、「またかよ!(笑)」「夏奈、もっと頑張れ!(笑)」と噴き出してしまう。
【ポイント⑤】ミッドポイントで、静から動へシフト!
そして迎えたミッドポイント。
物語は再び大きく動きます。ここから先は、夏奈が千秋にキスを迫り、千秋が逃げ出すという展開です。
第1幕~第2幕前半が会話劇であったのに対して、第2幕後半では夏奈と千秋が家の中を駆け回る。
つまりは、静から動へのシフト!
私たち鑑賞者は飽きる暇がありません。
【ポイント⑥】スピーディーにオチヘ!
そして、セカンド・ターニングポイントで春香が登場。
物語は三度大きく変化して、<千秋が夏奈をぶん殴る>という「みなみけ」らしいオチに至ります。
まとめ
ここまでにご説明してきたことをまとめると……
・ポイント①:かわいい女の子に「あるあるネタ」を体験させる
・ポイント②:トラブルメーカーが動き出す
・ポイント③:ファースト・ターニングポイント直後の方向展開
・ポイント④:すかさず天丼
・ポイント⑤:ミッドポイントで、静から動へシフト
・ポイント⑥:スピーディーにオチヘ
おお、なんと無駄のない構成か!!
皆さんも、こうしたテクニックをぜひご自身の作品に取り入れてみてくださいねー!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)