2022年の日記集:布と人と。
【3月16日】
「ああ、スれてない頃のひかるね」
前職の先輩と連絡を取ったときのこと。
純粋無垢(それは言い過ぎで、結構計算高い)で、素直過ぎた新卒一年目。
そのころの自分のことを こう表現されたのだ。
スれた。精神が。
確かにそうだと思う。 でも、私はそれを否定的に捉えてはいない。
すり切れなかったし、修復した。
パッチワークみたいだな、と思う。
自分がボロボロなぶん、色んな人の考え方を吸収したり模倣したりして、色んな立場や環境を想像する(あくまで想像止まりであって、ケースバイケースで聞く以外に"わかりよう"がないし、聞いたことが本音かすら実際のところはわからないということを念頭に置く)ようになった。
共感や理解ができないこともあるけれど「そういうのもあるのか」と、とりあえず受け止める。
まだピカピカで真っ白な布の人や、自分の色がはっきりしている綺麗な布をもった人もいる。そういった人たちに対して不思議と、今はあまり憧れない。数年前までは、それを追い求めていた気もするけれど。
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ブレイディみかこさんの本をようやく読んだ。 読み始めたら、下巻まで一気読みしてしまった。 イギリスで暮らす、みかこさんと中学生の息子を中心に描いたエッセイ。
「リスペクトって、うまく日本語に訳せないね」
何度も妻と話したことがある。
リスペクトを互いにできる人とだけ、交流したいよねとよく話す。
尊敬、尊重ってなんだか重々しくて、ちょっとニュアンスが違う気がする。 相手の立場に立って考える。つまり、そういうことだった。
私はこれからも色んな布を知りたい、集めていくのだ。
時に傷つけたり傷ついたりしながら。
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※この記事は、過去にメンバーシップ内の掲示板に投稿していたものを再編集したものです。
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