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靴下はどうも……
僕は季節を問わず、室内では靴下は一切穿かない。要は素足で過している。
どうやら、ルームソックスというのもあるらしく、一般的には靴下を穿いたままという人が多いらしいのだが、僕の場合には外出時に限られる。当然、夏場は仕事以外は外出時も素足にサンダルだが……
ちょっと昔を振り返ってみたのだが……幼少期を別にすれば……やはり室内では素足だったと思う。
お袋などは冷え性だったので室内でも靴下を穿いていたが、家族の男性陣はやはり素足だったはずだ。別に、足が臭いという血筋でもなかったのだが……
たぶん……学校から帰ると、靴を脱ぐと同時に靴下も脱ぎ捨てていたと思う。
要するに、素足でないと、どうしてもリラックス出来ないのだろう。
確かに「靴下」は読んで字のごとく「靴の下に履くもの」……つまり外出の前提というイメージが強い。
冬場などは温かいとも思うのだが……いったん靴下に足を通してしまうと、どこかに出かけなくては、と言う、強迫観念に襲われるようである。
加えて、靴下を穿いたまま炬燵に入ると……これはかつて友人の家に遊びに行ったときの印象なのだが……足が蒸れて、かえって気持ちが悪い。
早い話、僕は元来「靴下」が嫌いなのだろう。
つい視線を転じると……ピンチハンガーには白の靴下が四足ほどぶら下がっているが、これは全てバイト用である。
とにかく、働くことが死ぬほど嫌いなので……実際の所、見ているだけでイライラする。
休日の外出には、白以外の色ものが多い。これは、全く別な所に保管してしていて、堕落と屈辱の労働用とは区別している。
思えば、日本に於ての「靴下」と言えば……「足袋」を連想するのだが……こちらの原形は、労働とは真逆の、高貴な人達の履物だったらしい。
まあ、外出の機会も少なく、足などふにゃふにゃだったのだろう。
反面、下層の労働者達は当然素足で、大地を踏みしめていたはずである。
ふと、自らの足を見てみると……とても高貴とは言いかねる。足の裏はマメだらけだし、節くれ立ってもいる。
もとより働かなくても生きられるご身分なら、ふにゃふにゃ足を高級靴下で保護して、生活とは無縁の花鳥風月に現をぬかすのもラクチンそうではあるが……想像しただけで、吹き出してしまいそうである。
やはり、靴下を拒絶したマメだらけの足を炬燵に突っ込んで、花鳥風月とは相反する反逆の悪夢に溺れる方が……僕には相応しそうである。
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