儘・詠叢 風の子
風の子は大地を渡り
静かな夜を駆け抜ける
果てしない空、星の光
そのささやきに耳を澄ます
山を越え、川を渡り
風の子は行く先も知らず
ただ、流れる風に身を任せ
草のざわめきに心を溶かす
どこかで聞いた物語を
風は静かに語り継ぎ
大きな夢も、小さな願いも
すべての思いを風に託して
空高く流れる雲
風の子はその形を追い
時々、青い空に溶け込み
また別の世界へ導かれてゆく
夜の闇に包まれながらも
風の子は迷うことなく進み
星のかけらを集めながら
夜明けを待つ心を抱く
風の子が触れた場所には
静けさが広がり
その冷たさは優しさとなり
心を温かく包んでゆく
風の子の歩く道には
足跡も形も残らず
ただ、その痕跡は
空の一片に記される
時に嵐が襲いかかっても
風の子はその中を舞い
強い風に応じて
さらに新たな風を呼び起こす
孤独な旅の終わりに
風の子は何を見つけるのか
答えはいつも風の中
揺れる葉に託されている
それでも風の子はただ
風のままに漂い続け
流れに身を任せ
やがて空の一部となってゆく
そしてまた、新しい風が
風の子を呼ぶその時
その心は澄み渡り
広がる世界を感じながら
風の子はひとりではなく
風とともに歩み続け
そのたびに新しい空を
感じ取るその存在
風の子の物語は
終わりなく続いてゆく
彼がどこへ行こうとも
風の中に生き続ける
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