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《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法   その29 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-㉓ 変な行動をする子どもを見つけたら、普通の対応をしない

事例23 中学生で窓に登る生徒を見つけたら、普通の対応をしない

 中学校1年生W君が、5階の上の方の窓に登っているのを、先生が発見した。身体を大きく乗り出して外を見て遊んでいる。
 「危ないから、降りて来なさい」と注意したが、返事もせず降りてもこない。「どうして降りないんだ」と怒った先生が、Wの足を引っ張った。Wも怒って「何をするんだ。危ないだろう」と怒って、先生を蹴った。足が顔に当たって、先生の鼻が折れて大騒ぎになった。

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【解説】中学生にもなって、5階の上の窓から身を乗りだして、外を見ているなんて普通ではありません。なのに、先生は先生として1番普通の反応をしてます。一般の方なら「どうしたんだい、そんなところに登って」と心配して尋ねるところから始めるでしょう。

 先生なら「想像」して「何かW君が、気になるものを見ているに違いない」から始めるべきです。

【セリフ】
先生「W君。そんなと子に登って、何かいいものでも見えるのかな(「想
         像」
)?」

W君「お風呂屋の煙突が、見えます。」

先生「どうして見ているのかな?」

W君「なんか、元気が出るんです。次は僕の嫌いな英語なんです。」

先生「そうか。英語が嫌いだから、頑張ろうと思って煙突を見ているのか
   (「共感」)。何か他に、元気になるものはないのかな?」

W君「家から持ってきた本を読んだら元気が出ます。」

先生「じゃ、それを読んだら?」

W君「さっき、授業中に見ちゃって、数学の先生に取り上げられてしまいま
  した。」

先生「そうか。それで、次点の煙突を見ているんだね(「共感」)。こうし
  よう。先生と一緒に数学の先生のところに言って謝って本を返してもら
  おう。」

W君「そんなこと、できるんですか?」

先生「『すみません。次からしませから、本を返してください』といえば返
  してくれるよ(「覚えて」)。だから、さあ、そこは危ないから降りて
  おいで。」

W君「分かりました。先生、親切に教えていただいて、ありがとうございま
  す。」

先生「いいえ。どういたしまして。」

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やまと たける
本好きです。本を買います。余暇のための本ではなく、勉強のための本を買います。よろしくお願いします。