■ CV for Creator #003 / 100NEN BOUSAI SHA Business card
“CREATIVE VIZION(クリエイティブ ヴィジョン)”のシリーズ投稿は、主にクリエイターに向けてクリエイティブの考え方を共有する“クリエイティブ オープンソース”です。
#003は、株式会社 百年防災社さんの名刺について。
“ベンチャーが考える防災”の百年防災社さんのブランディングに携わっており、名刺の在り方を考えました。
“希望”を想起させるコーポレートカラーの桜色の紙をセレクトし、
合紙というやり方で、この桜色の紙をサンドするように、白い紙で挟むという仕様です。断面を見ると、この桜色が見えるのです。
ここまでは、意匠の話で。このツールを見た人に、意識的になってもらうためのフックみたいなものです。
以下が、企業のブランド価値を上げるためのアプローチです。
今回、このサンドした白い紙が、おそらくグラフィック業界では誰も使っていない紙でして。耐洗紙という紙で、これはクリーニングのタグで使われる、その名の通り、水に強い紙です。
余談ですが、
今回、紙業界というよりも、クリーニング業界に声を掛けて、紙を提供していただいています。
クリーニング業界では、年間でこの耐洗紙が使われる量がある程度毎年決まっており、生産量が決まっているとのことでした。
そのため、この紙の購入には多少融通が必要になったという経緯がありました。
手に入れるためには、少し手間のいるこの紙を使用したかったのは、
例えば、“水害にあった際にも連絡先が残る。”というものを語れるようにしたかったからです。
つまり、今回の名刺を制作するということが、“防災の紙を開発した”というプロジェクトになったのです。
実際にそのようなシーンがあるか、というよりも、
“防災につながることであれば、その可能性がたとえレアケースであっても、追求する。”という姿勢を示せるツールにしたということです。
そして名刺は、会社を紹介する際に使うもので、言わば30秒程度のプレゼンテーションの場です。(ちなみに30秒を1分にするのも大事な考えです。)
その時に“ツールひとつにおいても、それ程までに、防災に向き合っている”というストーリーを、社員が語れるというものに昇華出来たのです。
昨今、名刺の存在意義に変化がある中で、
名刺の意味を考え、新たに価値をプラスしていこうとしました。
ブランド価値を上げていく目的の上で、
通常フォーマット化されているツール類が、その中でどこにマッピングされ、どのような役割を持っているのかを理解して、時にその役割に別の価値を付けながら、大局の目的を見失わない。
ということを、私は常に意識します。
CREATIVE VIZION #003
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