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□□□とボードゲーム(2.3)〜5種類の数学詩
前回の記事はこちら。
数学詩が何かを知るのにちょうどよい海外のサイトと、日本国内での数学と詩歌の合体で、数学俳句・数学短歌にふれてみました。
今回は、おそらく最も突っ切っている数学詩を描く方を紹介します。
書く……からはちょいと外れます。
その名はKaz Maslanka
紹介するのは、Kaz Maslanka(カズ・マスランカ)さん。
……名前にカズ(数)とマス(Math)とカ(歌)が入っている時点で、数学詩の申し子決定。
Kazさんはどのような数学詩をつくるのか。
その説明としてKazさんが「Five Types of Mathematical Poetry」にて数学詩のタイプを5種類あげています。
1.)“Mathematics Poetry”(数学の詩)
2.)“Mathematical Visual Poetry”(数学の視覚詩)
3.)“Equational Poetry”(方程式詩)
4.)“Visual Mathematical Poetry”(視覚的数学詩)
5.)“Pure Maths Poetry” (純粋数学詩)which encompasses ”Number Poetry”(数詩)
数学詩を5種類にわけてみる
1.)“Mathematics Poetry”(数学の詩)
数学やそれに関する分野(物理など)の用語やそれらに影響された語彙を含んだ詩です。
前回紹介した、JoAnnaさんのブログでとりあげる数学詩のほとんどはこのタイプです。
2.)“Mathematical Visual Poetry”(数学の視覚詩)
1.)と異なるのは、文字(テキスト)だけでなく、そのほかの視覚的情報なども用いた詩です。
Kazさんは例として、Karl Kempton(カール・ケンプトン)さんの「The Root of Pi」をあげています。
![](https://assets.st-note.com/img/1726408619-oDG28reRELXxPqUy0hNKBw7H.png?width=1200)
3.)“Equational Poetry”(方程式詩)
ここから先が、Kazさんの描く数学詩のタイプとなります。
ざっくりなイメージは「数式に言葉を代入したもの」です。
そして、これに2.)の視覚的情報も用いると
4.)“Visual Mathematical Poetry”(視覚的数学詩)
のタイプとなります。
例ですが、珍ぬが個人的にシンプルでお気に入りの、Kazさんの「Golden Fear」をあげます。
![](https://assets.st-note.com/img/1726409141-TsfgRQMbDU36JGXzlI0E9ZBo.png?width=1200)
連分数であらわした黄金比の数式ですが「1」を「fear(恐怖)」に置き換えています。
Kazさんが方程式詩をいつごろから作成したのかは定かではありませんが、見つけたなかで一番古いものは1986年の「Karmic Influence on the Double Helix(和訳:二重らせん構造へのカルマの影響)」です。
※リンクをたどって詩をみていただくとわかるのですが、なかなかタフな方程式詩です……が、Kazさんはもっとゴツいやつもつくっています。
5.)“Pure Maths Poetry” (純粋数学詩)which encompasses ”Number Poetry”(数詩)
ざっくりいうと、単語や語彙を使わない(数学で用いる記号や変数などは別)、純粋に数学で表現した詩です。
その特別な例として、数しか使わないのが数詩となります。
ただ単に
例えば、魔方陣やパスカルの三角形なども数詩といえます。
ただ単に数字を適当に並べているのではなく、なんらかのリズムやパターンに沿っています。
ブリッジスの数学詩朗読会でも数詩がいくつかあります(例として、Geof Huth(ジェフ・フース)さんの詩を一部引用します)。
![](https://assets.st-note.com/img/1726410521-JNcD59jLtOb7vMPzdweTFiSZ.png)
5種類の数学詩をLexical Poetry(語彙的詩)とPure Mathematics(純粋数学)の2つの傾向で並べたのが以下の図となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1726410923-OwnZjK3fJs9i0UWXqzEDorQg.png?width=1200)
なお、数学詩を5種類のタイプに分けて、それらに名称をつけておりますが、Kazさん個人のアイデアとなります(本人も自身の数学詩の説明のために、美学などの用語に寄せながらそれらしくこしらえた、とのたまっております)。
締め
ということで、数学詩詩人のKaz Maslankaさんを紹介しました。
次回から何回か、いろいろと気になってみた(珍ぬレベルでもなんとかなりそうな)数学詩を取り上げて見ようかと思います。
では。