私が生きる本
本や本棚の永遠について考えると、寂しさを感じてしまう。
いつか、手放さなければならないときがくるかもしれない。
ある日、急に失うことになるかもしれない。
そんなときのことを思うと、私の頭にあの本が思い浮かぶ。
講談社文庫の「獣の奏者」たち。
2000年生まれの私が9歳のとき、土曜日の夕方に夢中になったアニメは、あの魅力を変えないまま5冊の本となって私の手元にある。
18歳で一気に読んで、それから約3年の間に読んだ回数は5回。
一度読むと1冊目から全て読んでしまうのだから、読み始めるときにはある程度の覚悟がいる。作品の壮大さや魅力を知っているからこそ。
毎回、読むたびに私は何かを考え直し、私の何かが変わっていく。
他にも大事な本はいくつかあるけれど、この本ほど良くも悪くも私の身になっているものはない。
どちらかといえば、暗いことをたくさん考え得た。
生きること、孤独、虚無感、選択。
でも、そんな思いから生まれる、生き延びようとするエネルギーが私は大好きだ。
6回目を読んでいる今、ふとこれだけは何があっても手元に置いておきたいと思った。
引っ越しても絶対に持っていくし、失くしてもまた手に入れる。
人生の最後に読みたい本だと思った。
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