見出し画像

ロベルト・ロッセリーニ監督『ロベレ将軍』身代わりとなった詐欺師の運命



<作品情報>

「無防備都市」「戦火のかなた」のロベルト・ロッセリーニ監督が数年の沈黙を破って作ったレジスタンスにまつわるドラマ。インドロ・モンタネリの原作をセルジオ・アミディが脚色し、撮影はカルロ・カルリーニが担当。音楽はレンツォ・ロッセリーニ。出演するのは「カジノ・ド・パリ」のヴィットリオ・デ・シーカ、「脱獄十二時間」のハンネス・メッセマー、サンドラ・ミーロ等。製作モリス・エルガス。

https://moviewalker.jp/mv12856/

<作品評価>

75点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆

<短評>

おいしい水
素晴らしい戦争ドラマです。ロッセリーニ監督のリアリズムに基づく描写は素晴らしく、役者としてのシーカの佇まいも素晴らしいですね。
なくなった将軍の身代わりになった詐欺師の男が次第にイタリアという国のことを考えるようになります。大半が牢獄のシーンでありながら全く飽きることがありません。
金獅子賞もむべなるかなといった作品で、ロッセリーニの見事なストーリーテリングが味わえます。ちんけな詐欺師だった男が大義に目覚める様をリアリティたっぷりに描いています。
ビターな後味を残すラストも絶品です。国のために死ぬことを選んだ気高さを感じる見事なラストです。シーカ入魂の演技もとてもいいです。非常に面白く、戦争がもたらす悲劇と人間の気高さを描いた傑作です。

吉原
本作はムッソリーニの失脚によりファシスト政権が崩壊し、ナチス占領下に置かれたイタリアが舞台となっています。詐欺で逮捕された男が、ナチスが殺してしまったイタリアの英雄ロベれ将軍になりすましパルチザンから情報を聞き出す命令を受けるという物語。
黒澤明「影武者」を彷彿とさせるストーリー展開が非常に面白かったです。祖国イタリアを裏切ってナチスに従うということへの心の揺れ動きが繊細に描かれていたと思います。
しかし、前半パートが少し長かったようにも感じました。詐欺で逮捕されるまでで約1時間。ここがもう少し短かったらコンパクトでより良い作品になっていたのではないかと思います。
この手の題材の作品は時代背景や当時の軍部についての知識がないと分かりにくいことも多く、煙たがられがちですが、詳しいことは知らなくても純粋に楽しめる作品だと思います。
僕もこの時代のイタリアについては知らないことが多いので少し勉強が必要かなと思ってます笑 

<おわりに>

 映画監督としても有名なヴィットリオ・デ・シーカの名演が光る秀作です。

<私たちについて>

 映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓


いいなと思ったら応援しよう!