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【第37回東京国際映画祭】ミディ・ジー監督『チャオ・イェンの思い』成功した女優の抱える秘密



<作品情報>

中国西南部の国境の町で生まれ、努力の末にスター女優となったチャオ・イェンは、表面的な華やかさとは裏腹に、他人には言えないプレッシャーを感じていた。そんなチャオ・イェンのもとに匿名の脅迫状が届く。時を同じくして長年連絡が途絶えていた姉が突然訪ねてくる。この再会をきっかけに、チャオ・イェンはこれまで隠していた過去に脅かされることになる…。ミャンマー出身で『マンダレーへの道』(16)などで知られる映画作家ミディ・ジーがジャン・ユエランの小説「大喬小喬」を映画化した作品。人気スター女優チャオ・リーインを主演に迎え、スケールの大きなサスペンス映画を作り上げた。『ロングデイズ・ジャーニー この世の涯てに』(18)のホアン・ジュエが共演。

https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37002CMP15

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
欠点は多々あれど決して嫌いではないです。なにより『ニーナ・ウー』から引き続き力のある映像が引っ張っていくのがいいですね。
構成としてはあまり上手くはないです。特に終盤幼少期のエピソードが挟み込まれますが、それが唐突な上にそれまで語ってきた内容を繰り返しているだけなので完全なる蛇足です。なくてよかった。
また、あまりに露悪的なのではないかというのも一つの問題でしょう。容赦のないストーリーテリングと言ってしまえば聞こえは良いものの、芸能界のセクハラパワハラ、家族の醜さをこれでもかと見せられるのはあまり気持ちの良いものではないです。
ただ、やはり映像の力が大きいです。本作では特に色に込めた意味というのは感じられなかったですが、色彩設計を含めプロダクションのレベルは非常に高いですね。役者の演技も含めクオリティは高いと思います。
まぁかなりガチャガチャした構成、演出で受け入れられないという意見も分かりますし、『ニーナ・ウー』の劣化版という印象も受けたことは事実です。家族ドラマという面では確かに前に進んでいかないです。
しかし映像の力は確かにありますし、タブーを飛び越えて汚さを見せていくミディ・ジーの手腕は確かだと思います。今後はより洗練された構成、脚本での監督作が観たいですね。

熊谷
素直に面白かったと感じます。
2時間という尺の中で、いつの間にかチャオ・イェンの立場になって物事を観るようになっていました。
2人のチャオ・イェンと、両者に葛藤には胸を揺さぶられます。
ただ、この映画はかなり粗も多いと感じました。
とりわけ中盤と、最後15分くらいはもはや描写しなくても映画として成立したのではないかと感じます。
元々ドキュメンタリー出身の監督の劇映画2作品目ということもあり、今後の活躍に期待していきたいと思います。

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