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【第37回東京国際映画祭】ドン・ズージェン監督『わが友アンドレ』謎の友人アンドレの正体とは?



<作品情報>

ジャ・ジャンクー監督作品『山河ノスタルジア』(15)に出演し、第36回東京国際映画祭で上映された配信用シリーズ『平原のモーゼ』に主演したドン・ズージェンが出演も兼ねた監督デビュー作。父の葬儀のため中国東北部の故郷の街に向かったリーは、中学卒業以来会っていなかった友人アンドレが同じ飛行機に乗っているのに気づく。だが、アンドレはリーのことを知らないと言い張る。この奇妙な再会をきっかけに、リーの少年時代の記憶がよみがえる。「唐人街探偵」シリーズ(15、18、21)で知られる人気俳優リウ・ハオランがリー役を演じる。『羊飼いと風船』(19)などペマ・ツェテン作品の撮影監督をつとめたリュー・ソンイェの寒々とした空気をとらえた撮影が素晴らしい。

https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37002CMP09

<作品評価>

85点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
とにかく撮影が素晴らしいですね。話としては既視感がありますし予想もつくものですが、スピリチュアルな世界に片足を突っ込んだ演出もなかなか魅せます。個人的にはコンペの外国作品で今のところ一番かもしれません。
リー役の少年、成長したリーを演じたリウ・ハオランそっくり!キャスティングの勝利でしょうこれは。オーバーになりすぎない落ち着いた演技をみせるメイン二人、少年期のメイン二人が素晴らしいです。
不思議な旧友との再会話、に終わらない展開力もいいですね。正直アンドレの正体については予想が出来てしまうのですが、脚本だけに頼らない映像力もしっかりある作品です。
友情の終わりをもの悲しく描いた作品でもあり、その素晴らしさを逆説的に教えてくれる作品でもあります。落ち着いた語り口が印象的なステキな作品でした。これはいい。発見です。

熊谷
これが初監督作品とはとてもじゃないが思えない。洗練された力作です。
ノスタルジーに満ちた少年時代と、それを追憶する2つの時系列で進む物語なのですが、徐々にそれらが一本線に繋がっていく様は圧巻でした。
何より特筆すべきは終盤にかけての盛り上がりですね。
秀麗な風景描写と、主人公の心情。それらを巧みに交差させた演出の数々には心を打たれました。

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