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短歌

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最新を含めた短歌のみをまとめています。
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2024年8月の記事一覧

短歌  羽化すると

羽化すると
決めれば天気は選べない
せめて一度は陽射しの中を

台風の   
近付く予報はさらってく
終わり近付く真夏の音も

8/30(金)

短歌  一匹の

一匹の
羽音の呼吸を追い続け
休みなく鳴く力の元は

この雨に
何を感じて控えてる
晴れてまた鳴き伝えてほしい 

8/29(木)

短歌  稲妻が

稲妻が
夏の終わりの田に落ちて
新米清める祓い厳か

夕焼けに
見紛う雲のグラデーション
神話の島が見えてくるよう

8/28(水)

短歌  釣り銭の

釣り銭の
一番上に見えた時
ババ引き当てた気持ちに似てる

真ん中に
“0“がいっぱいよく見れば
子供が作るお札に似てる

8/26(月)

短歌  八つ当たり

八つ当たり
してきた相手が恥ずかしいと
思えるほどに
優しくなりたい

誰よりも
愛されたくて潰したら
愛してくれる
人もないのに

8/24(土)

短歌  離れると

離れると
分かっていると話せない
別れの前は黙すも言葉

姿消え
キャリーケースが消えるまで
目に焼き付けたまま帰路につく

8/22(木)

短歌  食べるかも

食べるかも
分からないのにレジカゴに
普段は買わぬ巨峰など入れ

『かあいい』と
片言話す子の指した
白い木綿のレースのブラウス

8/20(火)

短歌  毎日が

毎日が
洗濯槽の情報に
振り回されて脱水される

活きのいい
主張の強い部品らが
現れ消えるタイムラインに

8/18(日)

短歌  気に障る

気に障る
相手の態度が鏡なら
昨夜の愚痴は一括削除

かけられた
タオルケットに気付いてた
足元だけはかけ直したのも

8/16(金)

短歌  寝つかれず

寝つかれず
起きる毎日今日だけは
自然に目覚め幼子のいて

玄関に
消えて大きく見えてくる
げんこつほどの靴の残像

8/15(木)

短歌  蝉の音に

蝉の音に
氷を削る音を聴く
生命愛しく思う今なら

岩清水
蝉の時雨に濡れ濡つ
夏ならではの目覚めに浸る

8/14(水)

短歌  流された

流された
涙乾かすためだろうか 
暑さ極まり
沁み入る悲しみ 

盆飾り
暑い暑いと言いながら
過ぎた生命と 
過ごせる生命  

8/13(火)   盆の入りに

短歌  スクロール

スクロール
純正律のコメントで
1立米の
世界が変わる  

作業する
手のため選んだ音なのに
コメント欄の
BGMに

8/12(月)

短歌  増幅する

増幅する
不安の芋蔓断ち切って
人を信じて神を信じる

自分から
動いてきたと思ってた
動かしてたのは自分の恐れ

8/10(土)