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草創肇希
2021年6月5日 18:29
私は現実ではない物を見ていた。私が見ていた物は魔法で、嘘だった。存在しない物だった。 私が見ていた物を再現する為に、私は学んだ。何でも食った。勉強が嫌いなどと言ってられなかった。自分で自分を洗脳して「勉強が好き」と思い込ませる事で、身体を勉強に向かわせた。 哲学、建築学、数学、文学、物理学、言語学。雑に食って「これも違う」と捨てて、学問を無礼にも食い荒らした。必要な所だけを、文脈を殆ど無視
2021年6月1日 19:23
久しぶりに時間が出来た。そんな時、私はお菓子のポッキーと共に近所の公園を散歩する。 ポッキーをチマチマと食べながら、舗装された道、木漏れ日が揺らめく樹の下を心地よくふらめいていると、一羽の雀が声を掛けてきた。 「お散歩ですかい。」 「えぇ。久しぶりに暇ができた物で。」 顔馴染みの雀だった。最近離婚したばかりだそうだ。 「よければタバコを一本。」 「もちろん。」 タバコとはポッキー
2021年5月28日 10:43
フィクションですので、お気になさらず。 昔私は、リストカットをした。 その時、私は自身の血が透き通っていた事を初めて知った。 私の血は赤色ではなく透明だった。 金剛石みたいなヘンな虹色の輝きなんて無くて、ただただ透き通っていた。清水が太陽を含んだ時の純粋さにも似ていた。 それまで私は、私自身の血の色を知らなかった。 他の子の前で膝を擦りむいた時、誰か解りたくない人間に殴られ