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佳作になるにはあと一歩。「線は、僕を描く」感想
うーん。細かいところがなあ。
STORY:
大学生の青山霜介は、アルバイト先の絵画展設営現場で運命の出会いを果たす。
白と黒だけで表現された【水墨画】が霜介の前に色鮮やかに拡がる。
深い悲しみに包まれていた霜介の世界が、変わる。
巨匠・篠田湖山に声をかけられ【水墨画】を学び始める霜介。
【水墨画】は筆先から生み出す「線」のみで描かれる芸術。描くのは「命」。
霜介は初めての【水墨画】に戸惑いながらもその世界に魅了されていく。
演出やキャラ設定は良いが、致命的に話が雑
正直、感想はこの一言に尽きます。
登場キャラクターは全員やや記号的ですが、王道でわかりやすくて良い。
横浜流星が演じる主人公・霜介は心の傷と水墨画の才能を併せ持つ繊細な青年。水墨画を通して自分と向き合うことで成長していくストーリーに、線の細い感じのキャラクターが合致していました。
清原果耶が演じるツンデレ気味の天才女流画家、いかにも師匠然とした雰囲気のある三浦友和、朴訥としているのに実は凄まじい実力を秘めた江口洋介と、漫画っぽい大袈裟なキャラクターはやや短目の尺感の中でうまく機能していたように思えます。
登場人物が水墨画を描いていくシーンは迫力があるし、音楽も作品のトーンとマッチしていました。
演出もカッコ良いし、邦画にありがちな鬱陶しい演出もなし。
1カット目の横浜流星の顔面アップから入る導入は引き込まれました。
ただしかし、本当致命的に話が雑。
あまりにも全てがうまくいき過ぎだし、特にラスト15分は「話を畳みにいったなー」と思ってしまう。
致命的にリアリティを奪う雑さ
ストーリーに荒があると、細かい設定もどんどん気になってしまいます。
まず、主人公たちが立ち上げた水墨画サークル。
開始早々めちゃくちゃ人が集まるんですが、あんなに人気出ますかね?
いくら人気の美人画家が会社に来てくれるとはいえ、あんなにすぐうまくいくとは僕には思えなかった。
年齢設定も謎。
霜介は大学2〜3年の設定なのでおそらく20〜21歳ぐらい、清原果耶は亡くなった横浜流星の妹と同い年という設定なので恐らく10代のはずなんですが、普通にお酒を飲んでる。マズくない?笑
原作があるらしいんですが、この描写はままなのかな?
あと、盛大なネタバレですが最後霜介が結構ちゃんとした水墨画の賞を獲ります。水墨画始めて多分1年ぐらいで。
ちょっとわからないですが、水墨画ってそんな簡単なものなんでしょうか?
後半、清原果耶がスランプを抜け出した理由もイマイチしっくりこない。
霜介に影響を受けたのはわかりますけど、あまりにも急。
細かい違和感って一個だと気にならないんですけど、重なると大きくなっていく。作品全体は悪くないだけに、非常に勿体なかったです。
音楽や演出は良いので、Yahoo映画のレビュー評価が高いのとかはなんとなくわかるんですけど。
個人的に映画のキモはやっぱストーリーなので。そこには目をつむれませんでした。