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夏のたのしい晩酌計画

夏は、晩酌の準備がことさら楽しい気がする。

そもそも飲酒という行いが、いつにも増してきらめく季節なのだ。金曜、仕事が早く終わったときなどに外を見てかんかんに晴れていると、蒸し暑い外気のイメージと開放感が同時に湧き上がってきて、ああ、ビール! と喉が鳴る。

そこから近くの居酒屋に駆け込むのももちろんサイコーなのだけれど、気持ちと体力に余裕のある日ならば、グラスを冷凍庫に放り込み、スーパーマーケットへ出かけるのもまたおつなもの。
夏に旬を迎える食べものは、なんだってこんなにわかりやすくキラキラしているんだろう。はちきれそうなトマトの赤、桃のこよなく甘い匂い、つやつやのピーマンや茄子に、ぴんと尖ったきゅうりのトゲ。

それらをつぎつぎ手に取りながら、自分の欲望と対話する。今日の私は何をのみたい? ひたすらビールやハイボール? それともビールは最初だけにしておいて、きりっと冷やした白ワイン? はたまた冷酒で夕涼み?
心を決めて、お酒コーナーへ。近くにはお総菜コーナーもあったりして、ついつい手が伸びる。

スーパーから出て家についたら、下ごしらえをしてからシャワーを浴びる。さっぱりした身体でおつまみを仕上げたらいよいよ冷凍庫を開けて、白く霜の張ったグラスの登場だ。
ことがうまく運ぶとビールを注ぐその瞬間、窓の外がまだ明るい――という幸せを味わえるのも、夏の特権だと思う。

さあ、お酒が飲みたくなってきましたか。私はもう準備万端です。
ということでここからは、お気に入りの夏おつまみ覚え書き。


①ガーリックシュリンプ

まあ別に一年中食べられるっちゃ食べられるんだけどさ、ハワイ生まれのイメージからかにんにくと油のがっつり味からか、夏に無性に食べたくなる。
ニチレイのレシピが手軽でおいしくて、いつもお世話になっている。

レモン汁とオリーブオイル、塩とにんにくに海老を漬け込んでフライパンで焼き、バターで仕上げ。レシピにはタマネギも入っているけれど省略しても問題なかった(もちろん入れるとさらにおいしい)。
普段海老の背ワタは爪楊枝で取る派なんだけど、これをつくるときは背中に包丁を入れて取るパターンを採用します。なぜならそのほうが何となく味が良く染みそうだから。

油でてらてら光るパリパリの殻と、レモンに漬かってぎゅっと締まった海老の身の、食感のコントラストが幸せ。そしてそこにガツンとにんにく!
キンキンに冷やしたやっすい白ワインを炭酸で割って、一緒にごくごく飲むのが大好き。もちろんビールやハイボールとも。

がつんと苦いIPAと一緒に

食べた後はにんにくの風味と海老の出汁がこれでもかと出たオイルが残るので、それで〆にガーリックライスをつくるのが定番です。バゲットにつけるのもいいけど、つい米を入れてしまう。
仕上げに黒コショウたっぷり挽いて、あ、嘘、これ〆じゃない、締まらない。米でワインがのめる。困った。
敢えて海老を余らせて、上に乗っけるのもよいですね。うひひ。

②リュウジさんのとうもろこしかき揚げ

皆さんご存知リュウジさんのレシピで、多分いちばんリピートしているのがこれ。

とうもろこしの身を包丁で削いで、衣は片栗粉・小麦粉・水と塩、それに味の素。前に横着しててんぷら粉で済ませたら全然別物になってしまったので(おいしかったけどね)、レシピ通りの配合で作るのがキモのよう。

粉多めで結構もったりしたタネは、天ぷらといいつつ唐揚げに近い印象で、浅めの油でじっくり揚げ焼きにすると、ふちのところがカリッカリになっておいしい。衣をまとったとうもろこしひと粒ひとつぶがサクッとしてぷちっとして、甘くてちょっとしょっぱくて、口の中がお祭り騒ぎである。
黒胡椒を振ってビールやハイボールと、青のりをまぶしてきりっと冷やした日本酒と。

③だしやっこ

この記事を書いた2022年以降、夏は毎年山形の「だし」にお世話になっている。

これまではイワキのいちばん大きな保存容器(容量1.2L)いっぱいに仕込むのが常だったのだけれど、ひとり暮らしの今年はそれだとさすがに持て余す。いろいろやってみて、ちょうどよい分量が以下の通り。

・茄子 1本 長茄子など大きいものなら半分
・きゅうり 1本
・大葉 5枚~入れたいだけ
・みょうが 1本~入れたいだけ
・すりおろし生姜 大さじ1~入れたいだけ
・醤油 大さじ2くらい
・酢 大さじ1/2~1くらい
・みりん 小さじ2くらい
・白だし 小さじ1/2くらい

がごめ昆布のかわりの旨味要員として白だしをいれているよ
ふつうにだしの素とかでもよさそう

あとはオクラとかにんじんとか、余った野菜をなんでも適当に。野菜の量によって味の濃さが変わるので、調味料は味見しながら好きな配合を見つけるのが吉。大丈夫、適当でよいです、だいたいおいしいので。

ごく細切りにした大葉・みょうがと、5ミリ角に切ったその他の野菜(茄子は最初に切って、水につけて灰汁を抜いておく)、調味料をボウルで全部混ぜる。最初は嵩高いけれど、野菜がしんなりしたらイワキの中型保存容器(容量500ml)ぴったりくらいの量に。私ひとりの消費ペースだとこのくらいがちょうどよい。

お酒と合わせるなら、冷ややっこにたっぷりかけるのが好きだ。浅漬けみたいにぎゅぎゅっとした食感になったナスやきゅうりの歯ごたえ、薬味各種のさわやかな風味。それらが豆腐のまろやかさ、豆の風味を引き立たせて、安物の豆腐でも驚くほど味が濃く感じられる。
これはもう、日本酒! 涼しげなガラスのおちょこで、すいすい飲み干したい。あ、でも、焼酎のソーダ割なんかも合うかも。意外とビールも。煩悩は尽きない。

④出汁漬けトマト

そもそもトマトはそのままで十分。しっかり冷やしたトマトを櫛切りにするだけで優勝、見栄えよく輪切りにしてマヨでも添えようものなら、れっきとした居酒屋メニュー「冷やしトマト」である。

だからなのか、簡単な調理でも、すっごく手をかけたような印象になる。お得な食べものだと思う。おまけにおいしいし。

ぶくぶく沸いている鍋にフォークを刺したトマトを沈め、ひと呼吸置いたら流水で冷まして薄皮を剥く。
面倒くさいようだけれど皮がするっと剥ける様子は案外楽しいし、別に食べてもぜんぜん支障のないものを「口当たりのよさ」という理由だけで手間暇かけて取り除く行為は、自分を甘やかしているみたいで気分がよい。湯剥きしたトマトって、もてなしの象徴だと思う。薄皮の下からあらわれる、うっすら透き通った果肉の質感は、野菜から一気にフルーツに寄る。

そのあとは白だしを水で割ったものに浸して冷蔵庫へ。サントリーさんがそれで十分だと言っているので。かんたんかんたん。

出汁の味が染みたトマトをまるごと器へ盛って、細切りの大葉や小葱、みょうが、花かつおなどでお化粧。ひんやりとした果肉が出汁をふくんでキラキラ光っているところにさっくり箸を入れる瞬間、すずしい風が吹き抜けたような気持ちになる。

これも冷酒と好相性。私は飲む習慣がないけれど、梅酒のソーダ割なんかも合うだろうな、と思う。

⑤生ピーマンの肉詰め

ピザトーストについて書いたときに気づいたのだけれど、私、そもそもピーマンが好きだ。あの苦み、みずみずしさ、パリッとシャクっとした食感、全部好き。

千切りにしてごま油と塩昆布で和えたり、じっくりとろ火で丸焼きにして醤油orポン酢とかつお節で食べたり(この食べ方だとヘタや種もまるごと食べられる)というのも大好きだけれど、今が旬とばかりに表皮がぱつんぱつんに張った大きなピーマンが手に入る夏は、生のピーマンの歯ごたえ、水気、味を思う存分感じたい。

そこで食べたくなるのが、生ピーマンの肉詰め。
最近は居酒屋なんかで出会うことも多くなってきたように思う。従来の、肉だねを詰めて焼くタイプのやつじゃなくて、半割にしたピーマンにつくねやそぼろを乗せて食べるやつだ。使うピーマンはでっかければでっかいほどよいです。
肉厚のピーマンのじゃくっ! しゅわ(水分)っ!という食べ心地と、甘辛くって脂っこいミンチの旨味との組み合わせがたまらない。

種はそぼろ状にすると作るのが楽ちんでおいしいし、小さめのハンバーグにすると特別感が増す。
要するにどっちも優勝なのだけれど、今ハマっているのがそこに五香粉を忍ばせること。八角とシナモンの香りで一気に台湾料理みたいな気配が出て、ただでさえビールに合うのに更にお酒が進む。

毎回適当に検索して出てきたレシピを参考に味付けしてしまうので、自信をもって貼れるURLがない……次作るときはオレンジページのルーロー飯のレシピを参考にしようと思います。おいしそう。
ピーマンは半分に切って種とヘタを取った後、氷水につけておくとパリッと感が増すよ。


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いよいよお盆に突入、暑さも引き続き殺意を感じるレベルだけれど、美味しいものと冷たいお酒の力を借りながら乗り切っていきたい。

あなたの夏の定番おつまみも、よかったら教えてください!

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