マーケターのバイブル「ハイパワー・マーケティング/ジェイ・エイブラハム」を読み解く② 〜ブレイクスルー思考〜
「ハイパワー・マーケティング」を読み解くシリーズ。第二回です。
今回は本質的な課題を打ち破る革新的な解決策をもたらすブレイクスルー思考について。
ブレイクスルーとは
何かをするための方法のうち、本質的な課題を打ち破る革新的な解決策であり、ビジネスの成果を最大化するもののこと。
こうやって書くと一部の天才にしか出来ないようなもののように思えますが、私たち一般人でもブレイクスルーのきっかけを見つけに行くことは可能です。
きっかけを見つけるにはブレイクスルーをより詳しく知り、きっかけを見つけるためのスタンスとアプローチを知らなければなりません。
斬新、偶然、追求のブレイクスルーの枠組みを紹介します。
①斬新/アイデアの再生
業界やクライアントにとって新しい手法。他業界で使い古されたものを別業界に持ち込む形でも問題ない。その場合は、海外で成功しているものを日本に持ち込むイメージに近い。
②偶然
偶然の発見をブレイクスルーに結びつける抜け目なさが求められる。
電子レンジの原点は電波実験をする施設で見つかりました。マイクロ波を発する機器の近くにランチを置いておいたことがきっかけです。
③追求
さらに良いアイデアや手法を追求する。
エル・コルテス・ホテルがエレベーターの増設を考えたときのこと、内部のエレベーターを増やすには工事期間中はホテルを閉館するしかないと思われていました。それを「エレベーターを外付け」にするアイデアで莫大な損失を避けることが出来ました。
ではブレイクスルーを自分のもとに引き寄せるにはどうしたらいいのでしょうか。
ブレイクスルーの方法論
ブレイクスルーのきっかけを掴むには、適したスタンスとアプローチが必要です。
■ブレイクスルーを近づけるスタンス
すべての物事に対して「今この瞬間に見過ごされたチャンスはないか」と鋭敏に嗅ぎ取る執着心。
自分の行動がもたらす効果を最大化する、というポジティブな精神。
言ってしまえば精神論ですが、「こんな仕事どうだっていいや」と言う気持ちでは、自ら手放しているものの存在があるということです。
■ブレイクスルーを近づけるアプローチ
・普段の活動範囲から離れた視点のアイデア、人、手順、哲学の観察をする。そして何故成功しているのか、の本質を調べて理解する。
・ブレイクスルーを実践する人をメンターにする。
得てして私たちは、自分たちの業界や会社内のやり方を漫然と受け入れてしまいがちです。ここに他業界、他者の成功事例を持ち込んでいくことがブレイクスルーを近づける簡単なやり方です。
余談ですが、
トヨタはミライという燃料電池自動車をラインナップしています。燃料電池自動車というのは環境に優しいカテゴリーですね。対してホンダは同カテゴリーにクラリティと言う車種をラインナップしています。環境保護、未来志向の車種をラインナップするときに将来を担う若者世代への訴求効果を考えなくてはなりません。そのときにミライとクラリティのどちらが車離れしてる世代にも刺さるのかといえば「ミライ」ではないか、と思います。
こういったミライの名前にある本質は「ターゲティングされた世代に刺さる徹底的にわかりやすいネーミング」です。
こういった事例を吸収して、本質を活用することがブレイクスルーを近づける手段となります。
本質の活用についてはUSJをV字回復させたスーパーマーケターの森岡毅さんも推奨しています。というよりも日本人は0から組み立てたがりが多いと苦言めいたことを書くほどです。
上記の例でもミライの名前そのものをパクったら即アウトですが、本質を横展開するのは全く問題ありません。
ブレイクスルーはどこにある
ブレイクスルーはどこにあるか、といえば気づく人と気づかない人に別れているだけで「どこにでもある」のでしょう。
常にブレイクスルーのきっかけを探し、きっかけをブレイクスルーにできる引き出しを持った人にだけ、ブレイクスルーはやってくるんじゃないでしょうか。