焼き芋の誘惑
この冬、焼き芋にはまっている。
元々、年に一、二本食べるか食べないかくらいの頻度だったが、最近になって焼き芋が「ダイエット食品」として注目されていることを知った。
“焼き芋1本で、ご飯1杯分のカロリー”
“食物繊維が豊富”
“腹持ちがよく満足感がある”
などと書かれた記事を読み、それなら食べてみようかな、と思ったのがきっかけだ。
焼き芋の美味しさに目覚めてからは、頻繁に買うようになった。
近所のスーパーに買い物に行くと、野菜売り場の一角に、温められた焼き芋が紙袋に入って売られている。
スーパーに行くと大体、野菜売り場に立ち寄ることが多いので、この焼き芋コーナーを自然と目にすることになる。
ただ、以前より買うようになったとはいえ、品種によってはわりと値段が高かったり、同じ品種でも大きさによって値段にばらつきがあったりする。
一食分のお昼代としては作った方が経済的だし、さすがに毎回買うというわけには......
と思い、買うと決めた日以外は目当ての野菜だけカゴに入れ、焼き芋コーナーを通り過ぎようとするのだが、並んだ焼き芋たちの下に貼り出された太字のPOPが、やたらと目につくのである。
さつまいもの品種名と味の説明、そして“甘い”と強調された文字。
ついつい「へぇー、この品種はそんなに甘いんだ」「あ、先週無かった品種が今日は出てるんだ」などと気にしてしまう。
気付けば焼き芋コーナーの前で足を止めていて、慌ててその場から離れる。
いやいや、今日は買わないと決めているんだから!
その場を去り、ほかの売り場で買い物をしているうちに焼き芋のことを忘れてしまえれば大丈夫。
だが、ほかの買い物をしていても焼き芋が頭から離れないこともある。
そういう時、脳内では焼き芋たちが
“いいんですか?この時期だけですよ?
甘いですよー、おいしいですよー”
と誘惑してくる。
焼き芋に興味がなかった時には全く気にしていなかったあの焼き芋コーナーも、果たしていつまで出ているものなのか分からない。
だとすれば、食べないで後悔なんてしたくない!
というわけで、今日も私は焼き芋を手にレジへと向かっているのである。
2023.02.20
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