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「春めく」

春の渦に手を浸して
こぼれ落ちた欠片を拾いあげる

スキップするようにまばたきして
透明色のシャッターを切る

摘み取ったそれらを
陽に透かせば
光を帯びて 星座になる

赤い椿 花溜まり
  空を仰げば薄桃色の桜が揺れる

紫木蓮 ほどけゆく花びら
  祈りは天に放たれて広がる

菜の花 湯の中で躍る黄色い子ら
  咲かない蕾を口に運び噛みしめる

春の嵐 一晩で敷かれた花の絨毯
  花筏はないかだの意味を知る

葉桜 混じりあう命
 終わりと始まりはいつも傍にある

チューリップ 並んだ背丈
  それぞれの色で胸をはって咲いて

雨上がり 虹の足を見つける
   言葉は今でも胸の中で虹色に光る




切り取った春の記録

私だけの春の星座を、ここに記します。


2023.04.09 朝

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