サンタさんってお母さんなの?
【511日目】
ああ、ついにこのときがきてしまった。
わたしもついにサンタクロース卒業だ。
卒業証書、授与。
小学生の次女がついに気がついた。
Amazonの箱は押入れの奥に奥にしまってあったのに。
不都合な真実に、目を覚ましてしまったのだ。
甘い夢と幻想に10年以上楽しませてもらった。
最後まで黙っててくれた長女よ、ありがとう。
10年以上母をしていて、ひとり親のわたしは
間違いなく我が家のサンタクロースだった。
当然えんとつもなく、暖炉の前に大きなクリスマスツリーもない我が家では、
なかなか言い訳に苦しいサンタクロースライフだった。
いや、現代の日本の家庭では夢を抱かせるのも一苦労なのだ。
文字が書けるようになると、
毎年サンタさんへのリクエストを
一生懸命書いた次女の手紙は夜中にそっと回収した。
わたしっぽくない字で返事を書いたりした。
わたしは幸運なことに、
12歳までサンタクロースを信じていた。
「楽しかったわよ、サンタ役をするの」
母は今でも目を細めて振り返る。
「あんまりにもずっと信じてるから、可哀想だけどお母さんからバラしたのよ」
そうだ、うっすら覚えている。
その時はそれはもう、ショックだったのだ。
…魔法がとけた気がして。
でも、架空の存在をずっと演じて、
わたしの欲しがったものをそっと用意してくれた両親には感謝しかない。
英語で書いた手紙には、母が
「母らしくない字」で返事を書いてくれて
いたらしい。
そういや、あのトナカイ、へたくそな
お母さんらしい絵だったよ。
今思えばくすぐったい思い出だ。
サンタクロースは受け継がれた。
どうやら、それももう引退のようだ。
サンタは心の中にいるんだよ。
なんて次女に言いながら、
わたしはそわそわとしたさみしさに
包まれた。
今日もお付き合いいただきありがとうございました。
今日の推しnote
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