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編んだ言葉に込めた想い
おはようございます、劇団CLOUD9の小沢です。
今日は2月最終日。
昨日が2月最後のCLOUD9稽古日でした。
とりあえず現在地の確認ができたので、
ここから一気に加速できるよう、
出せる球を全部打ち込んでいきます。
明日(3/1)21時に、
ステキなチラシとともに、
整理された情報が公開になります。
情報整理整頓公開に先駆けて、
今日は今回の演劇公演に込めた想いを
書き連ねてみたいと思います。
今回、人生で初めて自分で脚本を書き上げました。
そしてそれを自分で演出することになりました。
書かないと断言していた僕にとって
これは天地がひっくり返るほどの状況です。
そんな状況の中で、想像し得なかったことが既にたくさん起こっています。
その事実自体へのむず痒さや不慣れ感は否めないのですが、自分史上最大の壁で、ちょっとメラメラしています。
その壁を乗り越える手立てになればなあと思いつつ、「脚本を書いた小沢として」と「演出を担う小沢として」という2つの側から、想いを書き綴ってみます。
書き手として(脚本家として)
正直な話、
正直言って、書き始めたときはテーマとか何を伝えたいかとか、そんな大層なことは何ひとつ考えていませんでした。
その点において僕は作家ではないなと思っていました。舞台に立たせたい人間を生み出して、立たせて、喋らせていただけなのです。
これを会話劇だと言うのは会話劇に失礼なのかもしれませんが、最終的に今は、これこそが会話劇なのではないかという作品には仕上がっている自信があります。
でも、書き始めはそんな大層なことも、何を伝えたいとかも特になくて、ただただ自分の中から湧いてきた言葉たちを書き起こしていただけでした。
書き始めた頃に
書き始めた頃に、感じていたことがあります。
「身近な人にほど素直になれない自分がいる」
「赤の他人にほど素直になれてる自分がいる」
人間ってこんな感じだよな〜って思いました。
人間を書こうと思いました。
実在するぐらいの鮮明な解像度の人間を
丁寧に書いてみようと思いました。
人間をちゃんと書こうと思いました。
人間について想いを馳せていました。います。
それは今書いていたからそうなのではなく、
僕の中では昔からずっとこうだったのだと思います。
人間を書こうとすると、
人間関係が生まれてきました。
会えないとか会いたいとか会わないとか
そんな気持ちが芽生えて、
呼吸が浅くなったり深くなったりしてきました。
人間が好き
あなたは人間についての愛と好奇心が強いのだと、
ある人に言われたことがあります。
その通りなのかもしれないと思いました。
そうだとすればこの脚本に説明がつきます。
これは人間を描いた物語です。
僕がこれまでの人生でみてきた人間を描きました。
もちろん自分自身もその中に居るし、
自分自身のフィルターを通しているので、
全ては僕そのものなのかもしれません。
けれどそれはただの妄想であり、
「書いた」で終わった戯曲の状態での話。
ここに息を吹きかけるのは役者で、
ここに演劇を構築するのは演出家で、
これをどう見せるのかは照明家で、
これをどう彩るのかは音響家で、
これをどう届けるのかは制作なのです。
そうやって責任放棄をしたいのは山々ですが、
せっかく書いたんで、もう少し喋りすぎてみようと思います。
書き手として込めた想い
書き手としての僕が込めた想いは、
最終的には「救い」だったのだろうなと、
書き終えてから気づきました。
これはねえ、言いたくなかったんですけど…😅
「他人を変えることはできない」
教職を志していた大学時代に
突きつけられた現実でした。
今思うとその時まで自分は他人を変えることができると信じて疑わずに生きてきたのだと恥ずかしくなるのですが。でも、それまではほんとに思っていました。
「他人を変えることはできない」
どうしようもないこの壁を乗り越える術など、
弱冠二十歳の僕には持ち合わせておらず
不器用で頑固な僕は「自分を変えるしかない」
と半ば強引に勇み足で進んでおりました。
「他人を変えることはできない」
「じゃあ自分が変わればいい」
そういう気持ちで人と関わっていたし、
それは今も変わらず同じ気持ちです。
でもさ、そんなんさ、
あまりにも無力じゃないっすか。
でさ、演劇とか映画とか観ると、
人の心を揺さぶってくるんですよ。
フィクションが人の心を振動させてんすよ。
ノンフィクションで生きてる僕には何もできないのに、空想のファンタジーが人の心動かしてんすよ。
今思えばちょっとした嫉妬だったんですかね。
僕が演劇を創っている理由とは全く異なるのですが、これはこれで、羨ましさのようなものはあったんだろうと思います。
今初めて言葉にしてみましたけど。
言葉になったということはあったんですよきっと。
だからね、少なからず書き終えたこの脚本には、そういう想いが込められているんです。きっと。
そういう、ってのは、
「人を変えたい」って想いです。
烏滸がましいのは百も承知です。
でも千載一遇、あるかもじゃないですか。
これを読んだ人の感想は十人十色かもですけど、
十人か百人か千人か知らないけど、
その中の一人でも二人でも、
「明日生きてみよう」って思えたらいいなって。
なんか、僕がヒーローになりたいとかそういう欲求はあんまりなくて。
ただ単に、これを観た人や読んだ人が、ちょっとだけ浄化されて、楽になったらいいなって。
そういう想いで書きました。
書き終えたあとに、
この脚本を書き終えて1週間後ぐらいに、
大学時代仲良くしていた友達から、
半年ぶりぐらいに連絡が来ました。
実は、、、
と、まあまあビッグな悲報を2つほど告げられ、
その一つが仕事に行けなくなった、という話で。
どうしようかと思って書きたての本を送りました。
44ページもあるし、全然演劇関係の人じゃないし、
読み慣れてない44ページの脚本読むのって
寝込んでる人への拷問だろ、と半ば反省していたのですが、、、
送った瞬間一気に読んでくれたらしく、
その2日後ぐらいに仕事復帰できたみたいです。
脚本のおかげか、ただ友達のタイミングがマッチしただけなのかはわかりませんが、少なからずこの本が影響を与えたことに変わりはないのだと思います。
これを「救い」と呼べるものなのかもわかりませんが、僕はこれを「救い」の末端にある何かだと思いたい。
大層な話じゃないはずが…
そんな大層なことを考えていない、と書き出して、どえらい大層な話をしてしまっています。
でも、実際に脚本に書かれている台詞は、ただの雑談です。
赤井 大人かどうかって、年齢関係ないと思いますけどね。
土橋 いやあるやろそれは。
赤井 ピーマン好きですか?
土橋 あ? うん。好きやけど。
赤井 コーヒーはブラックですか?
土橋 うん。
赤井 あー、じゃあやっぱり大人ですね。
土橋 はあ?
赤井 ブラック飲めて、ピーマン好きな人は大人です。
土橋 成人式行ってない人は子どもちゃうんか。
赤井 あれやっぱ無しで。
土橋 なんやそれ!
赤井 大人かどうかなんか、コーヒーとかピーマンぐらいで判断せなあかんと思います。
土橋 どっちやねんな。
赤井 どっちなんですか。
こんなのが連続しています。
今しているのはこんな大したことのない雑談なんですけど。でも彼らは20年なり30年なり、自分の人生に生きた証を刻んでいて、その刻んだ思い出なのか傷なのかが、響いたり痛んだりしながら雑談しているんです。
そういう思い出とか傷とかが乗っかった雑談って、雑談なんですけど、「雑」なやり取りに見える何かしらの大事な交信なんですよね。
「雑」なのは第三者にとってそうなのであって、あるいはそう思いたい思わせたい表向きの様相なのであって、その実裏側には複雑な過去が絡み合って存在しているんです。
そういうの、全部背負って、背負ったうえで、
「この物語に触れた人間が自発的に、その人にとって善なる方向に大なり小なり変わっていきますように」
そういう気持ちを込めています。
まとめるとすれば、こんな感じです。
全然まとまってませんね😅
文字量で勝負してるので、
読み取ってくださいませ😂
創り手として(演出家として)
一丁前に「演出家」なんて言ってますが、
言ってます。言っております。言います。
書き手に対してとりあえず創り手と書きましたが、
演出的視点で脚本を見たときに、何を想い、何を届けたいのか、みたいなことを書き連ねてみます。
能動的に
お客さん自身の手で掬い取ってほしい。
敢えて観客に対して使役の言葉を用いるとすればこうかな。
泣ける感動作品を拵えているつもりはないのですが、仮に涙が溢れる作品になっていたとして。
「泣かされた」「しんどい」という感想ではなく、
「泣いた」「気づいたら泣いてた」みたいな、
そういうニュアンスを目指したいなあと思っています。
違いは単純で、能動的に舞台上の出来事に自分を近づけていったのか、受動的に舞台の上のものたちが降りかかってきたのか、ということ。
前者であって欲しい。お客さんが自分から何かをキャッチして帰路についてほしい、そういう想いがあります。
その何かは、救いに類する何かであれば尚良いなあと思います。
それぞれの救い
登場人物4人。
過去と現在を切り分けるともう少し増えていきますが、彼らにとっての救いが各々で異なるように、観る人にとっての救いも様々であると思っています。
と、すごく難しいことを言っております。
さっきも書きましたが、書いてあるのは雑談に見える会話だらけだからです。
そこに複雑な絡まりを仕込んでおく必要があります。その絡まりが救いになるためには、登場人物の過去を全部ちゃんと背負う必要があります。
そしてその過去はほんの一部しか明確に書かれてはいないという…。雑談の中に忍んでいる小さなカケラを集めて構築していかなければキャラクターが出来上がっていきません。
その小ささは語尾、語感、言葉選びにまで至ります。文の内容だけの理解ではどうにもなりません。そして細かく見れば見るほど全体の構造を見失い、大きな流れを見落とします。
とんでもねえものを書いてしまったと、最近になってようやく気づきました。
少なくとも自分が役者なら頭から火吹きそうなほど大変だと思います😅
そんなとんでもない船に乗ってくれている今回のメンバーに大感謝の意を表しつつ、この難局を突破して欲しいという想いもあって、こんなとんでもない巻物を書いていたりもします。
内側にも外側にも
何かしら伝わればいいなという気持ちです。
そしてこれが僕の元を離れて舞台に起こされたとき、とんでもないのが出来上がるのだという確信も同時に芽生えています。
稽古もここからギアを2、3段階上げていきます。
がんばるぞー!頑張って着いてきてー!!
…と、話を戻します。
余白を活かして
観た人の救いになったらいいな。
そんな想いを成立させるために、
僕は「余白」を大切に創作しています。
単純なところでいうと「沈黙」
複雑なところでいうと「無意味に思える発話」
ここらへんが混ざり合った台詞の往来が編まれています。これらをひとつずつ丁寧に解いて、解釈して、表現して初めて、余白の中の心情変化が見えてきます。
そこらへんをまずは徹底的に押さえて、
外面の見え方はそのあとです。
どう見せるかなんてのは最後の最後。
大事なのはその空白で何を考え、何をしたのか。
「何をした」の中には
「声に出した」とか「声に出さなかった」とか
そういうのも含まれます。
言葉にしないというのはどういうことなのか、
セリフにあるものを追うだけでなく、
言葉にならなかったセリフにならなかったもののことまで読み解く必要があります。
それらを全部読み解いて表現できたとき、
ここに立つ登場人物たちは人間になります。
人間は本来、そうやって無意識に大量の判断をして生きています。その判断を全て有意識に一旦持ち込んで見る作業が必要です。
それを終えて、今度はまた無意識に落とし込んで表現へと昇華させていきます。
そういうことをやり切った役者たちが
人間として舞台上で生きています。
それが『まだここは』という作品が迎える
本番の形の最低ラインです。
こんなラインは悠に超えて、脚本が僕の手元から離れて想像を超える作品になっていることを信じています。そこへ向けて僕は船を漕いで行きます。
人間を人間たらしめるものは
人間を人間たらしめるものは過去の蓄積だと
僕は思っています。
たとえ記憶がなくなっても、身体や心に残ったものは全て過去の蓄積による何かしらです。
もちろん記憶があればそれは過去の残したものと価値付けることはできますが。
過去について
兎にも角にも、
人間は過去を背負って生きています。
過去に縛られている人がいて、
過去を守りたい人がいて、
過去を置いてきた人がいて、
過去を切り離したい人がいて、
そういうのを抱えたまま平然と日々を送るフリをしているのが人間です。
たまたま出会った人たちと過去の浄化をする話。
出会えなかった人にだって、心の中で出会ってる。
それは過去に別れたあの人かもしれないし
それは過去に置いてきた自分かもしれないし
それは過去を忘れかけた私たちかもしれないし
それは過去を許して進みたいあなたかもしれない。
そういうね、しこりみたいなものがすーっと溶けていくような、そんな物語を届けられたらいいなあって思います。
ぜひ、劇場で、
どんなもんやと見届けにきてください。
変えることのできない過去と向き合って
背負っていくことを決めて、
一歩踏み出す “ひとり ひとり” を描いています。
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今日生きた僕らの明日が
今よりも1ミリ平和でありますように。
令和5年2月27日【協和音】|込めた想い
* お し ら せ *
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月額500円で小沢の裏側を覗けます👀!!
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